35周年を迎えた花王の男性向けヘアケア用品「サクセス」シリーズの「サクセス 薬用シャンプー」がリニューアル。2022年9月26日に発売された新製品は、長年培ってきた頭皮環境の研究による新技術の搭載で、育毛トニック市場とシャンプー市場の両方を抱き込み、勢力の拡大を狙う。

毛穴汚れの洗浄をアピールしたボトルデザインにリニューアルした「サクセス 薬用シャンプー」(左)と「サクセス 薬用シャンプー エクストラクール」(右)。いずれも400ミリリットル。どちらもオープン価格(撮影/川本勇太)
毛穴汚れの洗浄をアピールしたボトルデザインにリニューアルした「サクセス 薬用シャンプー」(左)と「サクセス 薬用シャンプー エクストラクール」(右)。いずれも400ミリリットル。どちらもオープン価格(撮影/川本勇太)
[画像のクリックで拡大表示]

毛穴汚れの解消うたう新技術で訴求

 花王の「サクセス」は男性向けのヘアケア用品を中心としたシリーズだ。1987年にブランドをスタートした当初は育⽑トニックやスタイリング剤などが主力だったが、98年にノズルタイプの「サクセス薬⽤シャンプー」を発売すると、その後育毛トニックを超えて躍進。2011年から11年連続で男性シャンプー市場における売り上げNo.1(※1)の商品となっている。

※1:インテージSRI+ 男性用シャンプー市場 2011年8月~2022年7月 サクセスシャンプーシリーズ各年累計販売金額

 今回の改良は20年2月のリニューアルから約2年半ぶり。育毛剤の浸透を妨げる毛穴の皮脂汚れを1回のシャンプーで洗い落とす「ミクロ分解バブル」に、新技術を追加。その新技術が、日中に発生する皮脂を吸着して髪のベタつきを抑える「皮脂吸着テクノロジー」だ。これにより、毛穴の皮脂汚れ解消をより強く訴求する製品となったという。

 ボトルは頭皮に直接シャンプー液を出せる仕様で、アクアシトラスの香りと共に頭皮にすっきりした爽快感を味わえる。

3つの「C」ポイントに育毛ケア研究

 サクセスは、薄毛の一因となる頭皮トラブルのない健康な頭皮から髪を育むために、3つの視点で研究開発を行っている(花王ヘアケア研究所の吉川隼史氏)。吉川氏によると「1本の毛髪が成長し、抜け落ちるまでの周期である『ヘアサイクル(毛周期)』に焦点を当てた研究では、薄毛は頭皮トラブルによるヘアサイクルへの悪影響が一因ではないかと示唆されている。そこで、頭髪汚れをしっかり除去する『Clean』、有効成分を届ける『Charge』、日中の頭髪状態を整える『Condition』、この3つのCの視点から、頭皮トラブルのない健康な頭髪を目指す研究開発をしてきた」という。

花王 ヘアケア研究所の吉川隼史氏
花王 ヘアケア研究所の吉川隼史氏
[画像のクリックで拡大表示]

 これまでのサクセス 薬用シャンプーでも、頭髪汚れを除くCleanと、育毛トニックのChargeを補助する役割は十分果たしている。今回追加した皮脂吸着テクノロジーが担うのは、Conditionの部分。新製品に配合されたセルロース誘導体「C-HPC(カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース)」は皮脂吸着ポリマー素材で、頭皮トラブルの原因となる変性皮脂との親和性が高い。洗髪時にこのC-HPCが頭髪をコーティングするため、日中に分泌される変性皮脂を吸油してベタつきが抑えられ、変性皮脂による頭皮の刺激を低減すると考えているという。

マイシャンプー化を図りたい

 20年のリニューアルでは30代をターゲットに据えて幅広い年代での顧客伸長を図ったが、販売状況は決して狙い通りにはいかなかった。発売当初こそ30代の購買比率が上がったが、継続的とはいえず、全体でみるとこれまでサクセス 薬用シャンプーを購買していた各年代での離脱が続いたという。

 背景には年々拡大するメンズスキンケア市場において、ニーズが多様化していることがある。シャンプー分野においては、育毛や臭いケアに着目した商品だけでなく、スキンケアや髪質、ボリュームにこだわった商品が台頭してきている。

 一方で、22年6月にアデランスが発表した「シャンプーに関する全国意識調査」では、男性が家庭内で自分専用のシャンプーを使用している割合は約35%にとどまり、家族とシャンプーを共用している状況が明らかになっている。恐らく専用シャンプーを使っている約35%は、こだわりを持ち、各社が商品力発信に力を入れている商品を購買している層だろう。サクセスシリーズが狙うのは、まだ家族とシャンプーを共用している約63%の層と考えられる。だからこそ、サクセスシリーズの強みである「育毛トニックとシャンプーのシナジー」に目を付けた。

 「新型コロナウイルス禍で在宅時間が増え、健康意識が高まった。その中で髪や頭皮のケアを見つめ直す人も増えたが、まず何から始めたらよいか分からないという声も寄せられた。そこでシャンプーが育毛につながる価値を提案することで、共用シャンプー利用者のマイシャンプー化を図りたいと考えた」(ヘアケア事業部ブランドマネジャー林裕也氏)

 林氏は今回のリニューアルにより、育毛トニックと薬用シャンプーの併用者を現状の約1.5倍に増やし、売り上げはリニューアル前製品比で110%にしたいという。

「育毛トニックと薬用シャンプーのシナジーをアピールしたい」と林裕也氏
「育毛トニックと薬用シャンプーのシナジーをアピールしたい」と林裕也氏
[画像のクリックで拡大表示]

トータル育毛ケアを提案

 共用シャンプー利用者層を狙う上で、サクセス 薬用シャンプーの強みは価格設定にもある。メンズシャンプー市場において、人気商品の価格相場は1500~3000円だが、サクセス 薬用シャンプーは1000円以下で買える。頭皮環境に悩みを抱える人にとってケアを継続できるコストパフォーマンスは強みになる。前述の「シャンプーに関する全国意識調査」をはじめ、各社調査でも、男性がシャンプーを選ぶ決め手は価格ということが明らかになっている。育毛に関心があっても、高価な商品の購入には抵抗がある層や、妻が夫のシャンプーを選んでいる代理購入層にとって、値ごろ感は手に取ってもらう大きな武器になり得るだろう。

 サクセスは22年度からブランド名でもある「成功」の意味について消費者に問いかけ、「前を向くチカラに」をブランドメッセージに掲げている。年々市場規模が拡大し競争が激化しているメンズシャンプー市場において、主力製品である育毛トニックと薬用シャンプーをセットで使ってもらえるよう、「トータルケアブランド」として提案し、訴求する戦略を推進していく。

「サクセス 薬用育毛トニック(無香料)」。花王では育毛トニックと薬用シャンプーをセットで使ってもらえるよう、「トータルケアブランド」として提案していく
「サクセス 薬用育毛トニック(無香料)」。花王では育毛トニックと薬用シャンプーをセットで使ってもらえるよう、「トータルケアブランド」として提案していく
[画像のクリックで拡大表示]

(画像提供/花王)