サントリー食品インターナショナルは、「サントリー天然水」のラベルレス専用ボトル「氷雪ピュアボトル」を開発し、2022年7月5日に全国のコンビニエンスストアで発売した。ラベルレス専用ボトルの開発は同社初。

左からサントリー天然水ラベルレス「氷雪ピュアボトル」。コンビニエンスストアでは、食品表示を記した首掛けのポップを付けて販売している。通常品のサントリー天然水。通常品のラベルを取った状態。サントリー天然水ラベルレスとして、2021年10月からECを中心に販売していた(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
左からサントリー天然水ラベルレス「氷雪ピュアボトル」。コンビニエンスストアで、食品表示を記した首掛けのポップを付けて販売している状態。通常品のサントリー天然水。通常品のラベルを取った状態。サントリー天然水ラベルレスとして、2021年10月からECを中心に販売していた(画像提供/サントリー食品インターナショナル)

 コンビニでは、食品表示入りのポップを付けて数量限定で販売している。サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部ブランド開発事業部の佐藤匡氏は「通常品と氷雪ピュアボトルの2品を販売しているコンビニでは、互いの販売に多少の影響はあるものの、2品合わせて好調に推移している」と話す。同社は2021年10月から、サントリー天然水のラベルをはがしただけのラベルレス商品を、AmazonやアスクルなどのECチャネルで販売してきた。ケースで販売している550ミリリットル入りのサントリー天然水ラベルレスのボトルは、氷雪ピュアボトルに変更していくという。

ラベルレスのボトルが際立つように、首掛けのポップは上向きに折って取り付けている
ラベルレスのボトルが際立つように、首掛けのポップは上向きに折って取り付けている

ラベルレスでブランディング

 氷雪ピュアボトルは、サントリー天然水のブランディングのために開発した。サントリー天然水ブランドの年間販売数量は、国内清涼飲料市場で18年から4年連続首位(サントリー調べ)。ただ、コンビニではリーズナブルなプライベートブランド(PB)が販売され、サントリー天然水と同様に水源を訴求する競合商品もある。「多くのユーザーに受け入れられている実感はあるものの、水という味のない商品なので、絶対的優位とは言い切れない。絶えずブランディングをして、サントリー天然水の強みを伝え続けていく必要がある」(佐藤氏)

 サントリー天然水の強みは、空気が澄んだ山にある水源で、20年以上かけて磨かれたナチュラルミネラルウオーターであることだ。冷たくてピュアな天然水のおいしさを、あらためてユーザーにどう伝えていくべきか。その問いに対して、当時、サントリーコミュニケーションズでサントリー天然水の商品デザインを担当していた、現サントリーホールディングス大阪・関西万博準備室スペシャリスト シニア プロジェクト・マネージャーの大住裕一氏は「体に取り入れたくなる水という軸で、雪解けの冷たくておいしい水の“シズル”をペットボトルで表現しようと考えた」と言う。

 氷雪ピュアボトルは、縦方向に不規則で滑らかな凹みがあり、みずみずしさが伝わってくるようにデザインをしている。ボトルの上部は、ゴツゴツとした印象で、山に雪が積もっている様子を表している。ボトル中央から下は、雪が解けて山でろ過され、冷たい水があふれ出てくるようなイメージを曲線で表現した。「このデザイン案を見たとき、ラベルを巻く必要がないと思った。ラベルレスにすることが大前提ではなかったが、結果的にラベルレスになった」(佐藤氏)

 ラベルレス専用ボトルの開発は、サントリーでは初となる。複雑な形状のボトルを量産するために苦労したことの1つは、デザイン性と強度のバランスを保つことだったという。「雪が解けて水になり、山からふもとに流れていくイメージを表現しているので、強度のために必要な横方向の補強部分を極力なくしている。それでも、輸送中に上からの圧力でボトルがつぶれないように、何度も検証を繰り返した」(大住氏)

ディテールよりも印象を重視

 氷雪ピュアボトルには、サントリー天然水のロゴマークをエンボス加工で入れた。ロゴマークがあることで、ぐっと信頼度が高まる。それは、サントリー天然水が長年にわたって継続してきたブランディングの成果だろう。書道家の荻野丹雪氏による「天然水」のロゴは、1991年のブランド誕生時から変更していないという。

エンボス加工で入れた天然水のロゴマーク。ラベルに印刷しているロゴマークとほぼ同じ比率にした。特に小さな文字のディテールは曖昧だが、ラベルのイメージは再現できている
エンボス加工で入れた天然水のロゴマーク。ラベルに印刷しているロゴマークとほぼ同じ比率にした。特に小さな文字のディテールは曖昧だが、ラベルのイメージは再現できている

 「天然水」をはじめ、「SUNTORY」「Natural Mineral Water」「南アルプス」などのロゴは、ラベルと同じ書体のまま再現。ロゴマークの上には、ジグザグの線で山の絵柄をデザインした。「ロゴの読みやすさよりも、印象を重視した。大きくしたりデフォルメしたりせず、おいしそうに見せるというボトルの目的を優先した」と大住氏。

テレビCMの映像カット。サントリー天然水の強みや魅力を、映像のクリエイティブチームも表現した。美しい自然の映像で、冷たくてピュアな天然水のおいしさが伝わってくる(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
テレビCMの映像カット。サントリー天然水の強みや魅力を、映像のクリエイティブチームも表現した。美しい自然の映像で、冷たくてピュアな天然水のおいしさが伝わってくる(画像提供/サントリー食品インターナショナル)

 ラベルレス商品のユーザーにとってのメリットは、リサイクルのためにラベルをはがす手間が省けることだ。サステナビリティー(持続可能性)が求められる時代性と、ラベルレス商品の売れ行きからも、そのニーズはさらに高まっていくだろう。サントリー天然水も「氷雪ピュアボトルは、これからもブランディングに活用していく」と佐藤氏。今後の展開は、現在計画中だという。

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