ニコニコのり(大阪市)が、初の化粧品ブランド「EMILUS(エミラス)を立ち上げた。ブランドスローガンは「日々の暮らしにほほえみをプラスするのりの新しい魅力と新しいカタチ」。2021年に創業100周年を迎えた老舗ののり(海苔)専業メーカーがなぜ今、食品とは全く異なる化粧品ブランドを立ち上げたのか。

ニコニコのり(大阪市)の初の化粧品ブランド「EMILUS(エミラス)」。2022年秋に第1弾商品「EMILUS ツヤ肌メイクフィックスミスト」を発売予定
ニコニコのり(大阪市)の初の化粧品ブランド「EMILUS(エミラス)」。2022年秋に第1弾商品「EMILUS ツヤ肌メイクフィックスミスト」を発売予定

のり成分活用の化粧品ブランドとは

 のり専業メーカーのニコニコのり(大阪市)が、のり成分を活用した化粧品ブランド「EMILUS(エミラス)」を立ち上げた。第1弾商品として、フェイスミスト「EMILUS ツヤ肌メイクフィックスミスト」を2022年9月末から10月ごろに、公式オンラインショップおよび電子商取引(EC)サイト「楽天市場」で順次発売する。ターゲットは、食品では十分にアプローチできていない20~30代女性。EMILUSブランドとして早い段階で年間売上金額1000万円を達成し、その後は商品バリエーションを拡充したうえで、将来的には年間売上金額1億円を目指すという。

 同商品は保湿成分としてのりから抽出したスサビノリエキスを配合した2層タイプのフェイスミストで、メーク崩れ防止と保湿の2つの機能を両立。オイル配合なので肌のツヤ感もアップするという。美肌菌ケア成分とUV(紫外線)ダメージケア成分も配合。香りも重視し、海を連想させるマリンとシトラスを掛け合わせた香りを採用している。

ニコニコのりの化粧品ブランド「EMILUS(エミラス)」第1弾商品のフェイスミスト「EMILUS ツヤ肌メイクフィックスミスト」(50ミリリットル)はオープン価格で、希望小売価格は2500円前後(画像提供/ニコニコのり)
ニコニコのりの化粧品ブランド「EMILUS(エミラス)」第1弾商品のフェイスミスト「EMILUS ツヤ肌メイクフィックスミスト」(50ミリリットル)はオープン価格で、希望小売価格は2500円前後(画像提供/ニコニコのり)

のりの持つ機能が世の中のニーズに応えることができると考え、開発

 食用ののりの品種の1つであるスサビノリに含まれるポルフィランという成分は、保湿や皮膜形成促進などの効果が期待されており、その保水力はヒアルロン酸にも匹敵するという。「新型コロナウイルス禍で『保湿』と『メークよれ改善』ニーズが高まっている。のりの持つ機能がこうしたニーズに応えることができると考え、開発した」(ニコニコのり大阪支店営業三課の豊平愛実氏)

 化粧品開発のアイデアは以前からあったが、21年に入りチームを再編成し、豊平氏と東京支店営業二課の青木里江氏、さらに商品開発部商品開発課の北尾真也氏という若手3人をコアメンバーとして、同年10月から本格的な開発に着手。外部メンバーをアドバイザーに迎え、化粧品を得意とするOEM(相手先ブランドによる生産)先との出合いもあり、商品化が一気に進んだ。とはいえ、パッチテストで安全性が確認できたのは同年7月。発表会直前だった。

ニコニコのり東京支店営業二課の青木里江氏(左)と同大阪支店営業三課の豊平愛実氏
ニコニコのり東京支店営業二課の青木里江氏(左)と同大阪支店営業三課の豊平愛実氏

 開発段階では、ハンドクリームやヘアケア製品など、さまざまな案が浮上。しかし化粧品ブランドとしては後発であり、基礎化粧品などの大きな市場にいきなり挑むのはリスクが高い。そんな中で、商品の訴求力を高めるため、本当にのり成分の良さを生かせるアイテムを模索し、着目したのがフェイスミストだった。

 同社が行ったアンケート調査によれば、フェイスミスト使用者は回答者全体の27%と決して高くはないものの、その使用者のうち毎日使うと答えた人の比率は87%に上っており、裾野は狭くとも使用頻度が高い商品であることが分かった。さらに現在使用するフェイスミストに対し「どこか物足りない」という不満を持っている人が一定数いるという調査結果も、フェイスミスト開発の決め手となったという。

「EMILUS」のロゴには、ほほえみを表現した温かみのあるオレンジと海をイメージしたブルーグリーンの2色を使用することにより、食品と化粧品の2面性も表現しているという(画像提供/ニコニコのり)
「EMILUS」のロゴには、ほほえみを表現した温かみのあるオレンジと海をイメージしたブルーグリーンの2色を使用することにより、食品と化粧品の2面性も表現しているという(画像提供/ニコニコのり)

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