米Premium Audio Company(プレミアムオーディオカンパニー)は2022年8月3日、ライセンスを保有する「オンキヨー」「インテグラ」「パイオニア」ブランドの新製品第1弾としてAVアンプを発表した。発表会には、以前にオンキヨーのCMに出演していた南野陽子さんも登場。オンキヨーブランド健在を印象づけた。

オンキヨーブランドの9.2チャンネルネットワークAVレシーバー「TX-RZ50」
オンキヨーブランドの9.2チャンネルネットワークAVレシーバー「TX-RZ50」

 プレミアムオーディオカンパニー(以下、PAC)は、米VOXXグループ(以下、VOXX)のオーディオ事業会社だ。VOXXとシャープとの合弁でオンキヨーテクノロジー(以下、OTKK)を設立し、OTKKを通じて、2022年5月に破産手続き開始を申請したオンキヨーホームエンターテイメントからオンキヨーとインテグラのブランド、AV事業の知的財産を取得した。また、パイオニアと、パイオニアブランドおよびホームAV機器のライセンス契約を締結している。

パイオニアブランドの9.2チャンネルネットワークAVレシーバー「VSX-LX305」
パイオニアブランドの9.2チャンネルネットワークAVレシーバー「VSX-LX305」
カスタムインストール向けブランド、インテグラの9.2チャンネルネットワークAVレシーバー「DRX-3.4」
カスタムインストール向けブランド、インテグラの9.2チャンネルネットワークAVレシーバー「DRX-3.4」

 OTKKには約80人のエンジニアが在籍しており、東大阪を開発拠点にオンキヨー、インテグラ、パイオニアブランドのホームAV機器を企画開発している。製品の製造は、マレーシアにあるシャープの工場で行い、PACを通じてワールドワイドで販売する。OTKKは流通販売網を持っていないため、日本国内の販売代理店とサポートはティアックが担当する。ティアックは、PACが取り扱っている米国のスピーカーブランド「Klipsch(クリプシュ)」、デンマークのオーディオブランド「Jamo(ヤモ)」の国内代理店も担当する。

オンキヨーの技術を継承 ホームシアター市場に商機

 PAC日本担当ディレクターの上山洋史氏は、「製品の企画、生産、販売体制が整い、ようやく新製品を紹介できることになった。オンキヨーのものづくりや音づくりといったDNAをOTKKの技術メンバーが継承しており、オンキヨー独自の技術をさらに進化させ、製品のクオリティーを高めている」と説明。発表会ではOTKKのエンジニアたちによるビデオメッセージも紹介され、オンキヨーのブランドだけでなく、技術力も健在であることをアピールした。

PAC日本担当ディレクターの上山洋史氏
PAC日本担当ディレクターの上山洋史氏

 発表されたのはAVアンプで、オンキヨーブランド3製品、インテグラブランド1製品、パイオニアブランド1製品。全モデルがHDMI 2.1と立体音響の規格「Dolby Atmos」や「dts:X」に対応し、上位モデルは音場補正機能「Dirac Live」に対応するなど、ホームシアター市場の最新トレンドに合わせた製品だ。

 PACによると、4Kの普及や新型コロナウイルス禍による在宅時間の増加、それによる需要増などの影響で、テレビは大型化が進み、約38%が50型以上になっている。今後は8Kの普及によりさらなる大画面化が進むという。また、動画配信サービスのNetflixやApple TVでDolby Atmos対応コンテンツが楽しめるようになるなど、立体音響も普及しつつある。それらに伴って拡大が見込まれるホームシアター市場を狙う。

 OTKKの宮城謙二マネージングディレクターは「まずは我々の本拠地であるホームシアターを深掘りしていく。ホームシアターは欧米ではすでに大きなマーケットになっていて、日本もポテンシャルは高い。イマーシブサウンド(スピーカーを多数配置するなどして、没入感を高めた音響のこと)が非常に話題になっていて、そこに大きな商機がある」という。

ゲストの南野陽子さん(右)とトークショーを行う、OTKKの宮城謙二マネージングディレクター(左)
ゲストの南野陽子さん(右)とトークショーを行う、OTKKの宮城謙二マネージングディレクター(左)

 今後はそれぞれのブランドで、AVアンプのハイエンドモデルやエントリーモデルを投入するなどしてラインアップを強化していく。テレビのオーディオ環境を簡単にグレードアップできるサウンドバーなどの発売も視野に入れているが、「サウンドバーは利便性が高い。しかしそこからもう1つ2つステップアップしたところに、我々のメインターゲットがある」と宮城氏。より本格的な製品を求めるオーディオファンを獲得していく方針だ。

ピュアオーディオ製品としてオンキヨーとパイオニアブランドから、それぞれプリメインアンプとCDプレーヤーも発売する
ピュアオーディオ製品としてオンキヨーとパイオニアブランドから、それぞれプリメインアンプとCDプレーヤーも発売する

 発表会には、1980年代にオンキヨーのミニコンポ「Radian」(ラディアン)のCMに出演していた南野陽子さんが登場。当時の映像や写真を交えながらトークショーを行い、ブランド健在をアピールした。PACが展開するオンキヨーやインテグラ、パイオニアの製品は、ブランドだけでなく、OTKKを通じて国内メーカーとしてのものづくりや技術力も継承している。それが本格的なオーディオ機器を求める層にとって、一番のアピールになりそうだ。

1980年代にオンキヨーのミニコンポのCMに出演していた南野陽子さん。当時のカタログやグッズなどを手に、「自分が持ってないレアなものもあります」と目を輝かせていた
1980年代にオンキヨーのミニコンポのCMに出演していた南野陽子さん。当時のカタログやグッズなどを手に、「自分が持ってないレアなものもあります」と目を輝かせていた

(写真提供/オンキヨーテクノロジー、写真/湯浅英夫)

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