スクール水着などを手がけるフットマーク(東京・墨田)は2022年6月、「男女共用セパレーツ水着」を発表した。男女の身体的な違いが現れる胸や腰などがゆったりしたシルエットになるよう素材を変え、パターンを微調整。体形の違いが目立たないデザインにしている。

サイズは小学校低学年から高校生まで対応できるよう、120センチメートルから4Lまで用意。価格は6380円(税込み)から。色は紺のみ
サイズは小学校低学年から高校生まで対応できるよう、120センチメートルから4Lまで用意。価格は6380円(税込み)から。色は紺のみ

 多くの学校で、男女の性差を目立たないようにデザインした制服、いわゆるジェンダーレス制服が注目されている。女性だからといってスカートを着用する必要はない。スラックスを好む人も多いからだ。スクール水着も同様で、学年が上がれば上がるほど「肌を見せたくない」「体の線を隠したい」というニーズが、女性だけでなく男性からも高まっているという。そんな声に応えたのが、フットマークだ。

 1946年に赤ちゃんのおむつカバーの製造業として創業したフットマークは、78年にスクール水着の製造販売に参入。スクール水着は同社の主力商品となった。スクール水着を企画・開発していく中で、同社が男女のニーズに違いがないと気づいたのは、2015年に同社近くの中学校の生徒とスクール水着の共同開発に取り組んだときのこと。「男子生徒がデザインしたのは、上下が分かれた、パンツが足首まであるスタイルの水着。男子にも肌を隠したい、体形が見えるのは恥ずかしいという思いがあることが分かった」とフットマーク学校教育事業部の佐野玲子氏は振り返る。

 さらに18年ごろから流通ルートなどを通じて、男女の性差が目立たないようにした水着に関する要望が年3~4件舞い込むようになったという。水泳授業でも、学年が上がるにつれ、水泳を休む見学者が増えることが課題になっていた。「特に女子は中学3年生ぐらいになると、見学者が4~5割になることもある」(佐野氏)

 そこで学校の課題を解決するため、21年8月から、男女共用セパレーツ水着の開発を開始した。ジェンダーレスな水着というと、LGBTQ(性的少数者)の人たちを対象にしている商品のように思われがちだが、フットマークの男女共用セパレーツ水着はそうではない。水着の選択肢を増やし、一般の人が抱える悩みに対応したものだ。

身体的な違いに対応する工夫

 性差の違いを目立たなくするため、男女共用セパレーツ水着にはさまざまな工夫を盛り込んだ。例えば上半身は、従来もスクール水着に使われてきたニット生地を採用し、胸の部分にはパッドを差し込めるポケットを用意した。裏地は「一目ではポケットがあると分からないように黒を採用している」(佐野氏)。泳いでいるときに開かないようロック機能付きファスナーを採用し、引き手をカバーするガードも付けた。

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