キングジムは2022年7月12日に、テキスト入力に特化したデジタルメモ「ポメラ」シリーズの新モデル「DM250」を発表した。文章作成を趣味や仕事とする人たちに支持され続けてきたシリーズで、薄型軽量で持ち運びやすく、多彩な文章作成モードを備える。新モデルもその延長線上にある製品だ。

 2016年に発売した「DM200」の後継モデルで、コンパクトさはそのままにハードとソフトの両面で機能を強化。既存ユーザーの満足度アップと新規ユーザーの取り込みを狙う。7月29日発売で、キングジムストアでの直販価格は6万280円(税込み)。

キングジムが2022年7月12日に発表した、デジタルメモ「ポメラ」シリーズの新モデル「DM250」
キングジムが2022年7月12日に発表した、デジタルメモ「ポメラ」シリーズの新モデル「DM250」
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 強化されたのは、まずテキスト入力で重要なキーボードだ。キーピッチは横17ミリ、縦15.5ミリで従来モデルと変わらないが、内部構造を見直すことで静音化された。

 見やすさも向上している。キートップの色は黒で、ボディー色がダークグレーになったことでコントラストがつき、キーとボディーを見分けやすくなった。キートップの刻印には可読性の高いフォントを採用し、ローマ字入力で重要な英字を中央に配置することで視認性を高めた。日本語配列のキーボードだが、設定でUS配列や親指シフトに切り替えることができ、切り替えたときにキートップに貼る刻印シールが付属する。従来モデル同様に、Bluetoothキーボードとして利用できる機能も備える。

従来モデルより見やすく、また静かになったキーボード
従来モデルより見やすく、また静かになったキーボード
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 ディスプレーは従来モデルと同じ、モノクロの7型TFT液晶だ。ボディーサイズは従来モデルと変わらないが、重さは620グラムと若干重くなっている。

 バッテリー容量を増加し、駆動時間は従来モデルの約18時間から約24時間に伸びた。充電やPCとの接続に使う端子は、普及が進むUSB-Cになり、充電用のUSBケーブルとACアダプターが付属する。USB-Cの横には充電確認用LEDが追加され、ディスプレーを閉じた状態でもバッテリー残量を確認できる。バッテリー残量は、使用中にディスプレーにも表示される。

充電用端子はUSB-Cになった。充電確認用LEDも強化ポイントの1つ。メモリーカードスロットは、最大32ギガバイトのSDHCカードまでの対応となっている
充電用端子はUSB-Cになった。充電確認用LEDも強化ポイントの1つ。メモリーカードスロットは、最大32ギガバイトのSDHCカードまでの対応となっている
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 ストレージ容量は1.3ギガバイト、1ファイルあたりの保存文字数は従来モデルの2倍にあたる20万字になった。文字数はディスプレー下部に表示される。間違って削除したり上書き保存したりしたファイルを復旧できるゴミ箱機能や、オートバックアップ機能も備える。

 ソフトウェア面では、日本語入力システム「ATOK for pomera[Professional]」が強化された。校正支援機能が追加され、仮名づかいの誤りや誤用などを指摘してくれる。文章作成モードは、縦書きで脚本や台本作成に適したシナリオモードが追加されたほか、従来モデル同様にアウトライン、2つのテキストを並べての表示、縦書き、原稿用紙スタイル、白黒反転、行番号付き表示など多彩なモードを備える。

縦書きで演劇やイベントなどのシナリオ作成に役立つ、シナリオモードを搭載した
縦書きで演劇やイベントなどのシナリオ作成に役立つ、シナリオモードを搭載した
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 スマホとの連携も強化されている。専用アプリ「pomera Link」は、iOSだけでなくAndroid(9以降)にも対応。ポメラとスマホの間をWi-Fiで接続し、ファイルの送受信ができる。従来通り、文章をQRコードに変換する機能も備える。変換可能な文字数は20万字に増加した。

 実際にDM250を試してみると、まずキーボードが見やすくなったことが実感できた。17ミリというキーピッチは10型クラスの小型モバイルノート並みで、ノートパソコンで一般的な19ミリピッチのキーボードに比べると狭く感じるが、すぐに慣れる。打鍵音も静かになっていて、コワーキングスペースやカフェなど、周囲に人がいる環境でも気兼ねなく使えそうだ。

 スマホとの連携機能は、iOSに加えてAndroidにも対応したのが大きな変化だ。ポメラで作成した文章をスマホに送ってメールで送信したり、スマホで受信したデータをポメラに送って編集したりできる。

新型コロナ禍でも売り上げ変わらず

 ポメラシリーズは08年の発売以来、テキスト入力に特化したコンパクトなデバイスとして支持を集め、ロングセラーとなっている。

 新型コロナウイルス禍でリモートワークが増えても、ポメラの売り上げに影響はほとんどない。キングジム執行役員 開発副本部長 兼 電子文具開発部長の立石幸士氏は、「新型コロナ禍の前から、売り上げは下がることなくほぼ一定を保っている。仕事で使っている人もいるが、ユーザーの多くが個人の創作や趣味で使っている方たちだからでは」(立石氏)と推測する。

 ポメラシリーズを支えているのは、愛用し続けてきたコアユーザー層だ。「発売当初は外出先で仕事のメモを取るなどビジネスユースを想定していたが、発売すると2タイプのユーザーからの反響が多かった。1つはガジェット好きで、もう1つは小説、記事、論文などテキストをしっかり打ちたい人たち。このジャンルはものすごく大きな市場があるわけではなく、今のところ、そうしたコアなユーザー層の声を聞いて(ポメラを)進化させていくべきと考えている」(立石氏)という。

 例えば、DM250で搭載されたシナリオモードも、台本やシナリオ作成に使っているユーザーからの声を反映したもの。今後課題になりそうなのは新規ユーザーの獲得だ。「ポメラをまだ使っていない方たち、特に若い層にどうやって訴求していくのかが課題」と立石氏。

 キングジムの直販サイト限定で用意した、250台限定のホワイトモデルが予約開始早々に売り切れるなど、DM250の出足は好調だ。この勢いを新規ユーザー層の開拓につなげられるかどうかが注目される。

予約開始早々に在庫切れになった、250台限定のホワイトモデル。オプションの専用ソフトケースや保護フィルムが付属するお買い得なパッケージだ。ボディーが白いので、通常モデルよりさらにキーが見やすく感じられる
予約開始早々に在庫切れになった、250台限定のホワイトモデル。オプションの専用ソフトケースや保護フィルムが付属するお買い得なパッケージだ。ボディーが白いので、通常モデルよりさらにキーが見やすく感じられる
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(写真提供/キングジム、写真/湯浅英夫)