2022年6月14日、日本玩具協会(東京・墨田)は「日本おもちゃ大賞2022」を発表した。29社295商品の中から7部門の大賞を選出。受賞商品には、AIなどのテクノロジーを取り入れたものや、新型コロナウイルス禍での世相を反映したものが目立った。

2022年6月14日、「日本おもちゃ大賞2022」が出そろった
2022年6月14日、「日本おもちゃ大賞2022」が出そろった

 「日本おもちゃ大賞」は、新しい玩具を生み出す作り手のモチベーションアップを図り、業界の活性化につなげることを目的として2008年に創設された。14回目となる22年は、29社295商品の中から、7部門の大賞・優秀賞に加え、21年の国内玩具市場をけん引した玩具に贈られる「ヒット・セールス賞」、それら以外にも玩具業界に貢献したことを評価する「特別賞」などを選出した。

 各部門の大賞は以下の通り。

  • エデュケーショナル・トイ部門:タカラトミー「coemo(コエモ)」(税込み1万2980円)
  • ベーシック・トイ部門:アガツマ「すみっコぐらし ピピッとスキャンでおかいもの!すみっコセルフレジスター」(同9680円、予価)
  • アクション・トイ部門:タカラトミー「チョロQ」(同1699円)
  • コミュニケーション・トイ部門:メガハウス「3D立体オセロ」(同4378円)
  • キャラクター・トイ部門:バンダイ「DXドンオニタイジン」(同9350円)
  • ハイターゲット・トイ部門:BANDAI SPIRITS「超合金魂 GX-100 ガイキング&大空魔竜」(同8万2500円)
  • 共遊玩具部門:アガツマ「アンパンマン 光るドレミファ♪マジカルボンゴ」(同6578円)
  • ヒット・セールス賞:セガトイズ「カメラもIN! マウスできせかえ! すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス」(同2万900円)
  • 特別賞:タカラトミー「トミカシリーズ」、バンダイ「仮面ライダーシリーズ」
  • イノベイティブ優秀賞:タカラトミー「トリミングペットサロン(ピンクトイプ―・クリームトイプ―)」(同5940円、22年10月発売予定)

おもちゃは大人の世界の鏡

 そんな顔ぶれとともに、日本玩具協会は9つのトレンドを紹介した。1つ目が「こんなおもちゃ、今までになかった!」(日本玩具協会)というものだ。テクノロジーなどを用いて、新しい価値を提案するおもちゃが登場している。

 例えばそれに該当するのが、知育・教育に役立つ玩具を選出するエデュケーショナル・トイ部門で大賞になったタカラトミーの「coemo」だ。同商品は、専用アプリで家族の声を登録すると、家族そっくりの声をAI(人工知能)が合成し、童話などの読み聞かせを行うスピーカー型のおもちゃ。開発したタカラトミーの担当者は「2人の息子がいる母としての実体験から生まれた。読み聞かせの時間を楽しいものにしてほしい」と語った。

「coemo」は、専用アプリで家族の声を登録すると、家族そっくりの声をAIが合成し、童話などの読み聞かせを行うスピーカー型のおもちゃ
「coemo」は、専用アプリで家族の声を登録すると、家族そっくりの声をAIが合成し、童話などの読み聞かせを行うスピーカー型のおもちゃ

 2つ目は、「おもちゃは大人の世界の鏡です!」(同協会)というトレンドだ。コロナ禍の世相や社会の変化は、おもちゃにも反映されている。

 例えば、五感を育む玩具であるベーシック・トイ部門で大賞に選ばれたアガツマ(東京・台東)の「すみっコぐらし ピピッとスキャンでおかいもの! すみっコセルフレジスター」は、コロナ禍での非接触決済やスマートフォン決済の普及でスーパーなどでも多く見られるようになったセルフレジスターを再現したおもちゃだ。スマートフォン、カード、現金の3種類の決済方法を選んで遊べるようになっており、時流に沿っていた点が評価された。

「すみっコぐらし ピピッとスキャンでおかいもの! すみっコセルフレジスター」
「すみっコぐらし ピピッとスキャンでおかいもの! すみっコセルフレジスター」

 ヒット・セールス賞に選ばれたセガトイズ(東京・品川)の「カメラもIN! マウスできせかえ! すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス」も、その例の1つ。パソコン型のおもちゃで、プログラミングや学習コンテンツ、カメラが搭載されている。セガトイズ国内マーケティング企画本部 国内マーケティング部の箕箸雄教氏は、「家で親がリモートワークをしている様子を見て、子供たちはパソコンに憧れを持っている」と開発背景を説明する。おもちゃ大賞の選外だが、フードデリバリーを題材にした、アガツマの「ピッ!と注文 料理をお届け! アンパンマンのフードデリバリー」も一例として挙げられる。

 サステナブルを意識したおもちゃも登場している。ベーシック・トイ部門の優秀賞の1つ、カワダ(東京・新宿)の「ダイヤブロック OKOMEIRO(オコメイロ)L」は、お米由来の素材「RiceResin(ライスレジン)」で造ったブロック。鼻を近づけると、せんべいを思わせる、かすかに香ばしい匂いがする。ライスレジンは、米菓メーカーなどで発生する廃棄してしまうお米をプラスチック素材にしたもの。それを用いることで「脱プラスチック」の一環として、環境に配慮したおもちゃになっている。

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