新型コロナウイルスの感染拡大によってリモートワークが進み、働き方も大きく変わった。企業とフリーランスのマッチングサービスを手掛けるHajimari(東京・渋谷)によれば、ITやマーケティングなどに副業を含めたフリーランスの活用が進み、こうした人たちにリモートで仕事を依頼する企業が増えているという。同社が提供している求人のうち、リモートワークでも大丈夫な案件の割合は2018年の13.2%から21年では85.9%と約70ポイントも増えた。新型コロナ禍で、働き方はどう変わってきているのか。Hajimariの代表取締役の木村直人氏、執行役員CTO(最高技術責任者)兼ツクラス事業部長の柳澤雄也氏に聞いた。

 Hajimariでは、地方にいながらITエンジニアとして活躍できる新サービス「TUKURUS(以下、ツクラス)」を2022年4月1日より開始した。長野県にサテライトオフィスを設立してITエンジニアがリモートで東京の案件などを請け負えるようにした。その背景にあるのが、世の中の働き方の変化だという。

Hajimariの⻑野県サテライトオフィス。正社員とインターン⽣を含めて6⼈が働く
Hajimariの⻑野県サテライトオフィス。正社員とインターン⽣を含めて6⼈が働く

地方にいながら首都圏と同レベルの仕事を受けられる

 新型コロナによって様々な業種でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなど、IT業界が急成長しているのは周知の事実だろう。そこで必要になるのが新たなシステムの開発や維持管理だが、それと同時に、IT人材の確保も急務となっている。パーソルキャリア(東京・千代田)が運営している大手転職情報サイト「doda(デューダ)」によると、毎月の新規求人倍率のうち、IT技術職は19年で3~5倍だったが、21年後半からは8倍以上になっている。

 ツクラスでは、地方で働きたいIT人材を採用して、IT人材を必要としている企業の案件を受託する。地方にいながらも首都圏と同レベルの仕事ができるのが特徴で、2022年3月1日に長野市にサテライトオフィスを開設してサービスを始めた。もともと展開していたスタートアップ向けの受託開発事業の名称をツクラスに変更して、長野県でエンジニアを採用し、東京本社で受注した東京都内の企業から開発業務などを請け負う。長野のエンジニアが東京のメンバーと一緒に仕事をするという。

 現在、長野支社には正社員とインターン生を含めて6人が在籍している。ITエンジニア志望の若手インターン生は業界未経験が多いが、東京のメンバーと同じ仕事をする中でスキルを身に付けられる。22年6月現在、IT系の案件を2件、受注しているという。

 Hajimariのマッチングサービスには全国約6万人が登録している。なぜ、地方でIT人材を採用する事業を展開しようと思ったのか。執行役員CTO兼ツクラス事業部長の柳澤雄也氏は、「僕自身、長野県出身で大学の卒業を機に首都圏に移住して仕事をしてきたが、両親の体調を気にする年齢になり、いつか地元に帰らなければいけないと考えるようになった。また、地元では少子化が進んでおり、地元の友達も仕事がないと話している。そういった地元の状況や自分の気持ちと向き合い、これからどう生きていくかを考えたときに、地方拠点での事業展開をしたいと考えた」と経緯を話す。

Hajimari執行役員CTO兼ツクラス事業部長の柳澤雄也氏
Hajimari執行役員CTO兼ツクラス事業部長の柳澤雄也氏

 加えて、「地方ではIT人材が不足していることも課題の一つだ」と話す柳澤氏。「東京ではIT企業数は1万2000社と言われるが、長野は約450社と東京の30分の1程度」(柳澤氏)。当然仕事量も東京の方が多くなり、地方では案件数が少なくなるため、IT人材が育ちにくいという現象が起こる。「地方でIT人材を育てたいという思いもあった。また、地方に移住した人、あるいは大学を卒業して今まで東京にいた人たちを地方にとどめながらITエンジニアとして活躍してもらうというような人たちを増やす事業部にしていきたい」と柳澤氏。同社社長の木村直人氏も、「リモートや地方で働きたいというニーズは大きくなってきており、働き方が変化してきた」と感じている。

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