「Web3(3.0)」への関心が急速に高まっている。元MITでデジタルガレージ共同創業者・取締役である伊藤穰一氏は、書籍『テクノロジーが予測する未来』で、Web3によってどのような未来が到来するのかを説く。Web3の世界ではDAO(Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織)が数多くつくられ、トークンによって価値の交換が行われるようになるという。このような潮流の中、今はまだ規制が厳しい日本において、我々は何をすべきなのだろうか。伊藤氏は、Web3型のベンチャーを育てる必要があるとし、自らも投資をしていく考えを語った。
今、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)やメタバースと共に、注目を集めているのが「Web3(3.0)」だ。ブロックチェーン技術を基盤とした分散型インターネットと説明されるが、このWeb3によって、我々の社会は「非中央集権的」になっていくという。そのベースとなるのが「DAO(Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織)」だ。このDAOという組織形態によって、我々の仕事や働き方が根底から変わる可能性があるという。
「DAOでは、上意下達ではなく、参加者全員による直接民主主義的にものごとが決まっていく。トークンでやりとりするので、銀行口座は不要だし、すべてが透明だ。リアルに会社を設立しようとすると、登記したり印鑑を作ったりなどと時間とお金がかかる。しかし、DAOであれば今この場で数分で作ることができる」と伊藤氏はそのメリットを説明する。
また、すでに多くのツールがそろっており、それらがすべて一体化しているという。DAOを立ち上げるプロジェクトマネジメントは「Dework」、チャットは「Discord」、プログラムコード管理は「GitHub」などのツールがあり、これらはすべて無料だ。
「Deworkは2人のスウェーデン人が立ち上げた会社が4カ月で開発したサービスだ。これは面白いと思い、ヘルプから問い合わせたところ、翌朝にはサポートのZoomがブッキングされていてCEO(最高経営責任者)が出てきたので、投資させてほしいと言ったらOKとなった。スピード感が全く違う。これはやってみないと分からない」と伊藤氏。
伊藤氏は、今のWeb3の状況は、インターネット初期の状況と似ているという。当時はブラウザーについて説明しても誰も理解してくれなかった。
「『ウェブサイトは、HTMLというプロトコルでできていて、リンクをクリックすると別のサーバーを見に行って』などと説明しても誰も分からなかった。でも使ってみるとすぐ分かる。それと同じだ」
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー