パナソニック サイクルテック(大阪府柏原市)がスポーツタイプの電動アシスト自転車(スポーツe-BIKE)の新ブランド「XEALT(ゼオルト)」を立ち上げた。2022年4月8日には、その第1弾となる「XEALT(ゼオルト)M5」を発売。体験重視の販売戦略でスポーツe-BIKE市場の拡大を狙う。

パナソニック サイクルテックのスポーツタイプの電動アシスト自転車の新ブランド「XEALT(ゼオルト)」第1弾モデルとなる2022年4月8日発売の「XEALT(ゼオルト)M5」(カラーはブルブラック)。44万2000円(税込み)
パナソニック サイクルテックのスポーツタイプの電動アシスト自転車の新ブランド「XEALT(ゼオルト)」第1弾モデルとなる2022年4月8日発売の「XEALT(ゼオルト)M5」(カラーはブルブラック)。44万2000円(税込み)
[画像のクリックで拡大表示]

スポーツe-BIKEを1ブランドに

 パナソニック サイクルテック(大阪府柏原市)がスポーツタイプの電動アシスト自転車(スポーツe-BIKE)の新ブランド「XEALT(ゼオルト)」を立ち上げ、2022年4月8日に第1弾となるマウンテンバイクモデル「XEALT(ゼオルト)M5」を販売開始した。税込み価格は44万2000円。同社のこれまでの最上級モデルである本格オフロード走行向けe-BIKE「XM-D2 V」(70万1800円)に比べると約26万円安い価格設定となっている。また販売目標数は年度内に300台。昨年発売されたケイリン先導車の開発で得た知見を生かしたクロスバイク「XU1」(25万1000円)の年間販売目標数が400台だったことを考えれば、同社としては順当な想定といえそうだ。同社担当者によれば、発売から約2カ月での販売状況は爆発的ではないものの好調だという。

 同社の稲毛敏明社長によれば、XEALTは21年10月に同社が新たに掲げた「世界中の人々が青空の下へ走りだせる未来を創造します」というミッションを体現するにあたり、その方向性と意思を社内外に伝えていくためのブランドだ。ブランド名は「Experience by E-BIKE Actualize Lively Time」から付けられており、これは「XEALTでのe-BIKEの体験が、あなたの生活の中に、ココロ踊る時間を創るを意味する造語」だという。

 今後はXM-D2 V、XM2をラインアップする「Xseries(シリーズ)」、コミューター(通勤・通学者)として活用される「ハリヤ」(14万5000円)、10万円台で入手しやすい「ベロスター」「ベロスター・ミニ」(ともに11万5000円)など、これまで統一していなかったスポーツe-BIKEのラインアップを、段階的に1つにまとめていくこともブランドの役目となる。

XEALTだけで3カテゴリーを創設

 坂本裕規スポーツバイク推進課課長によれば、XEALTブランドは3つのカテゴリーで展開していくとのこと。1つ目がオフロード仕様のマウンテンバイクで、野山や郊外など非日常を遊び尽くしたい人向け。2つ目が平日は移動を楽しむコミューター、週末は外遊びのツールとして、多目的にアクティビティーを楽しむスポーツユーティリティーバイク。3つ目が軽快に走れるオンロード専用車で、街をスポーティーに楽しむライトスポーツバイクだという。

 XEALT M5はこのうちマウンテンバイクカテゴリーに属するもので、日本のフィールドを走るのに最適なサイズにこだわったのが特徴だ。

カラーは22年4月8日発売のブルブラックと、22年7月発売予定のスターライトシルバーの2色。スターライトシルバーは初回限定50台のみ(画像提供/パナソニック サイクルテック)
カラーは22年4月8日発売のブルブラックと、22年7月発売予定のスターライトシルバーの2色。スターライトシルバーは初回限定50台のみ(画像提供/パナソニック サイクルテック)
[画像のクリックで拡大表示]

27.5型をベースにまたぎやすく

 同社が22年1月に行った、電動、非電動を問わずスポーツバイクを持つ人を対象にした調査によれば、自転車購入時に重視するポイントはサイズとデザインが同率だったという。一方で現在所持しているものは「大きい」「やや大きい」と答えた人が3割弱存在し、満足していない人が一定数いることが分かる。

 スポーツバイクでは走破性が求められるため、車体サイズが重要だ。欧州などでは高身長者も多いため、29型ホイールが主流となっている。足着き性だけを考えれば29型でも縦パイプを短くすることで調整できるが、それだけではハンドル位置が高かったり、遠すぎたりしてしまう。よってXEALT M5では日本人向けに27.5型ホイールをベースにフレームを設計し、またぎやすくしたのだという。

 スタンドオーバーハイト(クランク軸上の地面からトップチューブ上面までの高さ)を極力下げたことも、またぎやすさにつながっている。オフロード走行時や町中での乗り降りの際に、サドルの高さを簡単に上げ下げできるドロッパーシートポストを標準装備したことも、ライダーにとっては大きい。

サイズは2種類展開。360サイズは適応身長157~170センチメートル、股下寸法72~ 78センチメートル、スタンドオーバーハイト67.6センチメートル。420サイズは適応身長170~183センチメートル、股下寸法78~ 84センチメートル、スタンドオーバーハイト70.8センチメートル(画像提供/パナソニック サイクルテック)
サイズは2種類展開。360サイズは適応身長157~170センチメートル、股下寸法72~ 78センチメートル、スタンドオーバーハイト67.6センチメートル。420サイズは適応身長170~183センチメートル、股下寸法78~ 84センチメートル、スタンドオーバーハイト70.8センチメートル(画像提供/パナソニック サイクルテック)
[画像のクリックで拡大表示]

大容量バッテリーもすっきり小型化

 デザインは、「ライダーとの一体感と力強く走行する印象を強調しつつ、スポーツバイク未経験者、小柄な人でも一度またがってみたくなるような乗りやすさと、乗り物としての新しさを感じさせることを目指した」(坂本氏)。

 特にダウンチューブと一体化し、すっきりとした国内専用の短尺デザインの「フルインテグレーテッドバッテリー」により、フレームサイズの小型化とフロントからリアに流れるようなスタイリングになった。また小型化したとはいえ、36V-13Ah(25.2V換算で18.6Ah相当)の大容量リチウムイオンバッテリー搭載により、業界統一テスト条件におけるECOモード時で最大135キロメートルの走行が可能だという。

国内専用の短尺デザインの「フルインテグレーテッドバッテリー」(画像提供/パナソニック サイクルテック)
国内専用の短尺デザインの「フルインテグレーテッドバッテリー」(画像提供/パナソニック サイクルテック)
[画像のクリックで拡大表示]

 ドライブユニットは欧州市場で評価を得てきた同社製「GXドライブユニット」を日本用に最適化。最大トルク90Nmによるダイナミックでパワフルな走行感はそのままに、e-BIKE初心者でも「走りを操る楽しさ」が体感できるようにした。「サイド液晶ディスプレイスイッチ」にはBluetoothを搭載。スマートフォン用アプリの「komoot」と連動し、簡易ナビゲーションの表示ができるようになっている。なおアシストOFFの状態でも、ライト点灯や液晶表示ができる。

スピードや距離、アシストパワー、ケイデンス(1分間のクランク回転数)を表示できる「サイド液晶ディスプレイスイッチ」(画像提供/パナソニック サイクルテック)
スピードや距離、アシストパワー、ケイデンス(1分間のクランク回転数)を表示できる「サイド液晶ディスプレイスイッチ」(画像提供/パナソニック サイクルテック)
[画像のクリックで拡大表示]

「乗って体験して良ければ購入」へ

 同社によれば、21年度の自転車総需要は、前年度の急速な需要の高まりの反動や、部品の調達困難などにより、前年比87%(666万台)とマイナス傾向にあった。しかし「電動アシスト自転車総需要は約81万台で、前年比99%。総需要における電動アシスト自転車の比率は16年度が7%だったのに対し、21年度は12%。また16~21年の年平均成長率(CAGR、予測)は7.4%」(稲毛社長)となり、今後も市場は拡大していくとみている。同社のe-BIKEの販売台数はこの6年間で約7倍に伸び、21年度は過去最高を達成しており「市場をけん引し、30年にはスポーツe-BIKEの売り上げを現在の4倍程度、100億円まで引き上げたい」と稲毛社長は意気込む。

 ただスポーツe-BIKEは高価格帯商品が多いため、普及は容易ではない。これまでは普及のため、長野県白馬・岩岳や熊本県の阿蘇などで地元企業とともに体験イベントを実施し、同社の本社がある大阪でも行っている。しかしより広く浸透させるためには、「東京でもイベントを定期開催する必要性がある」と事業企画部事業企画の伊藤研二総括担当主幹は話す。

 「単なる移動のツールとしてではなく、スポーツe-BIKEはライフスタイルに変化をもたらす。中でも舗装していない砂利道など、今まで行けなかった道で走る楽しみを一番体感できるのがマウンテンバイク。だからこそXEALT M5が誕生した」(伊藤氏)

 同社のスポーツe-BIKEの購入者層はこれまで男性が多かったというが、今後は東京都稲城市にある都内唯一のマウンテンバイクパークである、「Smile Bike Park(スマイルバイクパーク)」でコンスタントにイベントを行っていく計画もあるという。

 「爆発的なヒット狙いではなく、地道な活動にはなるが、『店舗で見て価格やデザインを気に入ったから買う』のではなく、『乗って体験して良かったから購入する』というストーリーを考えている」(伊藤氏)

 「レジャー白書2021」(日本生産性本部)によれば、20年の余暇関連市場規模は55兆2040億円で前年比マイナス23.7%と新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け減少したが、その中でスポーツ自転車はプラスだったことが示されている。

 稲毛社長によれば「これまでのモデルも順次、XEALT に統一しながら、3年以内に新たに数機種出していく」とのこと。XEALT M5は価格帯も仕様もハイスペックだが、街で乗るのに手が出やすいモデルがいつ発売されるのかによって、スポーツe-BIKE100億円計画に影響を与えそうだ。

XEALT M5は子乗せタイプやコミュータータイプの電動アシスト自転車に比べ、メリハリのあるアシストとなっており、ペダルを踏みこんだときの急加速を感じにくく、操作しやすい
XEALT M5は子乗せタイプやコミュータータイプの電動アシスト自転車に比べ、メリハリのあるアシストとなっており、ペダルを踏みこんだときの急加速を感じにくく、操作しやすい
[画像のクリックで拡大表示]