凸版印刷は「グラフィックトライアル2022」を印刷博物館P&Pギャラリー(東京・文京)で、2022年4月23日から7月24日まで開催している。グラフィックデザインと印刷表現の関係を追求し、グラフィックデザインの新たな可能性を追求する実験(トライアル)企画。06年にスタートし、今回で16回目となる。
今回のテーマは「CHANGE」(チェンジ)。新型コロナウイルス禍でさまざまに社会が変化する中、新しい価値観や世界観を予感させるようなポスター作りに挑戦した。会場では、完成したポスターと制作(トライアル)の過程を紹介する。
参加したのは、アートディレクター/グラフィックデザイナーの居山浩二氏、デザインユニットのGOO CHOKI PAR、アートディレクター/デザイナーの小玉文氏、ウェブデザイナーの田中良治氏、そして凸版印刷のセキュリティデザイナー増永裕子氏の4人と1ユニット。音声ガイドのナビゲーターは、アートディレクターの葛西薫氏だ。
居山氏の「Not Dot」は、「印刷の網点がドットでなければどうなるだろう」という視点で制作した作品。印刷の網点の形を変える「スクリーンメーカー」という表現技法を使用し、5枚の絵柄をオリジナルの網点で印刷した。
GOO CHOKI PARの「MASQUERADER」は、仮面舞踏会の人々という意味。紙の一部分を半透明にする「ワックスプラス」という特殊加工で紙の表裏の境界を曖昧にして、奥行きと質感を表現した。
小玉氏の「トライ・アン・ケム」は、印刷の色面の上にさらに印刷を重ねるという「隠し表現」の試み。「ケム」は小玉氏の造語で、煙・霞(かすみ)・雲などの何かを隠す要素を指しているという。
田中氏の「5 SISTERS」は、映画『ヴァージン・スーサイズ』の5人姉妹をモチーフにした。バックライトパネルを使用し、点灯時のみ紙の一部がネオンサインのように光る表現にした。
増永氏の「BORDER」では、ホログラムと印刷の共存に挑戦。さまざまなホログラムの表現を用いて、ヨーロッパの地図上に「時差」などの「見えない境目」を描き出した。
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