米国の飲料・食品大手ペプシコ傘下で家庭用炭酸水メーカーを手がけるソーダストリーム(東京・港)が2つの新商品を日本で発売した。新型コロナウイルス禍で増えた在宅時間おけるリフレッシュ需要、健康への意識の高まりを背景に同社商品が販売数を伸ばす中、さらなる攻勢をかける。
新商品は新機構による手軽さを強調
ソーダストリーム(東京・港)が新たに発売したのは、シリンダーを片手でセットできる同社の新技術「クイックコネクトシリンダー(CQC)」を採用した2つの新商品「TERRA(テラ)」「DUO(デュオ)」。テラは1万5400円(税込み、以下同)で2022年2月25日から、デュオは2万7500円で4月15日から、ソーダストリームブランドサイトや各販売店で販売を開始している。
同社の商品(ソーダメーカー)は専用ガスシリンダー(高圧液化二酸化炭素)の入った容器、水位線まで水を入れた専用ボトルをそれぞれ所定の位置にセットし、本体ボタンを押すことで、好みの強さの炭酸水が作れるというもの。手動モデルと電動モデルがある。テラを含む手動モデルは1秒ごとに繰り返しボタンを押し炭酸の強さを調整するが、デュオを含む電動モデルは3段階から炭酸の強さを選び自動で調節する。
既存商品とテラ、デュオの2新商品の最大の違いは専用ガスシリンダーだ。これまではねじ込み式だったのが、ワンタッチでセットできるようになった。
ソーダストリームの平野幸恵マーケティング部長兼ディレクターは、テラの発表会で「ソーダストリーム テラは3年ぶりの新商品で、CQCはレバーの下に片手でもはめられるのが特徴。ボトルをワンタッチでセットして、ボタンを押すだけでソーダができる」と新商品の手軽さを強調した。
平野氏によれば、ソーダストリームは現在、国内6000以上の取扱店舗があり、商品はもちろんのこと、交換用専用ガスシリンダーの販売もしている。それでも生活動線上に店舗がないという場合は、楽天グループやAmazonなどのEC(電子商取引)サイト、ソーダストリームのブランドサイトなどオンラインでの購入も可能だ。ブランドサイトでは、購入から2年以内の自由なタイミングでガスシリンダーを2本ずつ交換できる「お得便」という商品も用意している。お得便は交換用ガスシリンダーが届いた際に、古いガスシリンダーを宅配業者に預けて返却するだけで、代引き手数料・送料の2490円分が浮く計算になる。
プラとガラス両ボトルに対応のデュオ
一方、デュオはCQCモデルであるだけでなく、炭酸水を作る際に使用するボトルが、外出時に持ち運びやすいプラスチック製ボトルと、インテリアとしてなじみやすいガラス製カラフェ(水差し)の2種類となっている。プラスチック製ボトルとガラス製カラフェを併用できるモデルは、ソーダストリーム初だという。
またデュオは商品に付属するシルバーの「フラスコ」にボトルを入れてセットし、「炭酸注入ヘッド」を下ろすことで炭酸水を作る仕様であることも特徴的だ。ボトルの口に自分の手で炭酸注入ヘッドを差し込む必要がない点は、これまでのモデルと異なる。
カラーはブラック、ホワイトの2色展開で、ドイツの「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞したデザイン性も売りだ。
イスラエルの本社からオンラインでデュオの発表会に登壇したソーダストリームのデイビッド・カッツ代表は、「ソーダストリームは創業から約120年の歴史を持つが、一番売れている国はドイツだ。そのドイツで人気を得てきた『Crystal(クリスタル)』というモデルを進化させ、最新技術を搭載したのが今回のデュオだ」と説明。CQC、フラスコにボトルを入れるスタイル、キッチンのカウンターにも設置しやすいサイズ感にもこだわったと言い、「日本の消費者にも使いやすい、美しいと評価してもらえるよう尽力した」と話した。
テラ、デュオに付属するサービスとして、購入後保証の延長もある。通常、ソーダストリームの製品保証期間は2年で、同社によれば「炭酸水メーカーとして最長」というが、テラとデュオについては購入後、ソーダストリーム ブランドサイトに会員登録すると、さらに2年間延長となる最長4年の製品保証を付帯する。
2商品ともシリンダーに新機構を取り入れ、手軽さを向上させているが、その違いを平野氏は「テラはプラスチックボトルを使用している点からも従来品に近い存在で、1万5400円と買い求めやすい価格。プレゼントにも適しているだろう。また本体が軽くアウトドアニーズにも応えられると考えている。デュオはガラス製カラフェのデザイン性が食卓を彩る存在になる。炭酸水の消費量が高いような、家での食事時に毎回飲むような人に日常的に使ってもらいたい」と説明した。
10年間2桁成長、コロナ禍でさらに
ソーダストリームは専用の炭酸を注入するためのガスシリンダーを充填する、ガス再充填工場「ソーダストリーム ジャパンシリンダーファクトリー」を、21年6月1日にアジアで初めて岐阜県土岐市にオープンした。
同社によれば、炭酸水を自宅で作り楽しめるようにすることがプラスチックごみ削減につながることから、ソーダストリームへの関心が高まっているが、国内でのガス再充填工場開設前は、空のシリンダーを海外に輸送し、海外の工場でガスを充填、日本へ返送していたため、この部分の環境負荷を免れなかったという。
ガス再充填工場を国内に開設したことで、同社の炭酸水普及を促すとともに、輸送エネルギーの大幅削減につなげ、さらに地域の雇用創出にも貢献する。今後、「国民の約20%がペットボトルではなく、ソーダストリームを使って炭酸水を飲んだ場合、約34.4万トン分のプラスチックごみ削減にもつながる」と同社では算出している。
同社は10年前に日本市場に参入したが、当時は炭酸水を飲む習慣が今ほど根付いてはいなかった。しかし「欧米での状況から食文化とともに根付いていくと考え市場に投入した。結果、10年間2桁成長を続けた」(平野氏)。その後、プラスチックボトルを使い捨てないという環境への配慮や無糖炭酸水のトレンドとともに販売数を伸ばし、コロナ禍でのステイホームや健康への高まりから、21年は予定販売数を大幅に上方修正するようになったという。
(画像提供/ソーダストリーム)