日本音楽著作権協会(JASRAC)は2022年5月18日、2021年度の音楽著作物使用料徴収額が1167億3000万円、権利者への分配額が1159億7000万円だったと発表した。徴収額が過去2番目、分配額は3番目に高い実績だった。新型コロナウイルス禍でカラオケの利用などは伸びなかったが、動画や音楽などのインターネット配信の利用拡大がけん引した。音楽サブスクリプションは前年度から22.2%伸びた。

 ネット配信などの「インタラクティブ配信」の徴収実績が前年度比16%増の374億5000万円。うち動画が前年度比17%増の177億7000万円、音楽サブスクは22.2%増の163億円だった。

JASRACが21年度の使用料徴収額などを発表した。冒頭であいさつする4月に会長に就任した弦哲也氏
JASRACが21年度の使用料徴収額などを発表した。冒頭であいさつする4月に会長に就任した弦哲也氏

 一方、カラオケや演奏会などを含めた「演奏等」の徴収実績は前年度比4.8%の伸びにとどまった。その内訳でみると「上演・演奏会等」は前年度比で56.5%伸びたが、「社交場・カラオケ」は同7.6%減少している。コロナ禍による、飲食店・カラオケ店の厳しい状況が改めて浮き彫りになった。カラオケでは著作者への分配額は93億円で、「100億円を切るのは1996年以来25年ぶり」(JASRACの伊澤一雅常務理事)という。

 同日発表した22年のJASRAC賞では、アニメ『鬼滅の刃』の主題歌であるLiSAの『紅蓮華(ぐれんげ)』が2年連続で金賞を受賞した。銀賞は同じくLiSAの『炎』、銅賞は優里の『ドライフラワー』だった。3曲とも、インターネットで聞かれた割合が50%以上を占めた。

LiSAの『紅蓮華(ぐれんげ)』が2年連続で金賞を受賞
LiSAの『紅蓮華(ぐれんげ)』が2年連続で金賞を受賞
紅蓮華を作曲した草野華余子氏
紅蓮華を作曲した草野華余子氏
JASRAC賞、国内作品の分配額TOP10【総合】。アニメ関連が強い
JASRAC賞、国内作品の分配額TOP10【総合】。アニメ関連が強い

 JASRAC賞は、著作物使用料の分配額が多かった作品の作詞者・作曲者・音楽出版社に贈られる。国際賞に選ばれた『NARUTO-ナルト-疾風伝BGM』は、過去10年間で5回目の受賞と根強い人気で、分配比率は米国が41.9%、フランスが27.6%、ドイツが23.6%。カナダ、マレーシア、ブラジルなどとあわせ25の国や地域で利用されている。総合トップ10にもアニメ主題歌が多く入っており、アニメ曲の強さが際立った。

5月18日にJASRAC賞の贈呈式も行われた
5月18日にJASRAC賞の贈呈式も行われた
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