テックベンチャーのTHECOO(ザクー)が、インフルエンサーマーケティングに取り組む広告主向けに、Twitterのフォロワーを分析して熱量の高いファン(コアファン)を“見える化”した「解析レポート」の提供を、2022年4月26日から開始した。インフルエンサーが自分のフォロワー(ファン)に与える影響力の強さを数値で示し、広告主の担当者が自社のブランドや商品、サービスの志向とマッチしたインフルエンサーを選定できるようにした。これによりインフルエンサーマーケティング市場の健全な拡大を目指す。
「インフルエンサーマーケティング市場を日本で健全に伸ばしていく一助にしたい」。THECOO法人セールス事業本部インフルエンサー事業部の阿部孝裕氏は今回、Twitterの解析レポートを提供し始めた大きな理由をこう語る。
インフルエンサーをマーケティングに活用したい企業やブランドが増えた結果、「日本のインフルエンサーマーケティング市場はここ数年、年率20%ほどの伸びが続いている」(THECOO法人セールス事業本部マーケティング部部長の浅井健太氏)。だが、THECOOのようにインフルエンサーマーケティングを推進するマーケティング支援企業から見ると、手放しで喜べない状況だという。
自社のマーケティングに合ったインフルエンサーを選ぶのが難しい
企業がインフルエンサーをマーケティングに活用する場合、どのインフルエンサーが、何を、どうやって投稿するかが重要になる。ところが、市場の成長に伴ってインフルエンサーの数も急増。「今や少なく見積もって13万人、多く見て20万人に達する」(THECOO取締役COO[最高執行責任者]法人セールス事業本部長の下川弘樹氏)。これだけインフルエンサーが増えると、企業が自社ブランドや商品をアピールするのにぴったりのインフルエンサーを探し出すのは難しくなる。
それでもインフルエンサーをマーケティングに活用したい企業は、例えばフォロワーが多そうだなどの理由で、あるインフルエンサーを選び、自社の商品やサービスについて投稿してもらう。しかし、インフルエンサーのフォロワーとその商品やサービスがマッチせず、企業が期待したほどの手応えを得られないケースがどうしても出てくる。成果が得られなかった企業はインフルエンサーマーケティングから身を引いてしまう可能性が高く、こうした事態が続けば、中長期的には市場の縮小を招いてしまうというわけだ。
そこでTHECOOは、Twitterのフォロワーを分析し、インフルエンサーごとに熱量の高いファン(コアファン)を“見える化”した。そうすることで、自社のマーケティングに合うインフルエンサーを企業が選びやすくなると考えたのだ。具体的にはインフルエンサーや企業ブランドなどが運営するTwitterアカウントからの投稿を分析し、「リアクション率」と「注目度」を数値で示す。
フォロワーのリアクションと相対的な注目度で熱量を可視化
リアクション率とは、対象となるインフルエンサーのアカウントからの直近の100投稿に対して、フォロワーがどのくらい「いいね!」を押しているかで示す。例えば、あるフォロワーが100の投稿のうち80に対して「いいね!」を押していたら「80÷100」でリアクション率80%、50に対して「いいね!」を押していたら「50÷100」でリアクション率50%になる。リアクション率が高いほど、アカウントを運営するインフルエンサーに対して高い熱量を持っているとみなす。
注目度とは、フォロワー側を分析し、直近の100「いいね!」のうち、対象となるアカウントへの「いいね!」が何%を占めるかで示す。例えば、100の「いいね!」のうち60が対象アカウントに向けられたものだったら注目度60%になる。注目度も、リアクション率同様、高いほどアカウントを運営するインフルエンサーに対して高い熱量を持っているとみなす。
解析レポートでは、インフルエンサーのTwitterアカウントごとに、リアクション率を横軸に、注目度を縦軸に取ったマップの形でエンゲージメントを示す。そのインフルエンサーのファンの持つ熱量がどのくらい高いかが一目瞭然で分かる仕組みだ。
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