経済産業省(以下、経産省)は、政策立案にデザインのアプローチを取り入れようと、「JAPAN+Dプロジェクト」を推進している。「人に寄り添う優しい政策の実現」を目指す。2022年3月にオンラインで実施したキックオフイベントには、自治体や企業から問い合わせが多数寄せられ、800人弱の申し込みがあるなど大きな手応えを感じている。職員有志が自主的な活動として始めた取り組みが、正式なプロジェクトとしてスタートを切った。
「JAPAN+Dプロジェクト」は、2021年6月、経産省の20~30代の若手官僚による有志6人が結成したチームがベースとなっている。当初、美術大学の学生らデザイン人材の活用などを検討していたが、チームで協議し、行政側にこそデザインのアプローチが欠けているとの結論に至った。
そこで21年7月、チームは経産省で政策立案プロセスの改善を所管する業務改革課との連携を開始した。21年10月には、政策立案プロセスにデザインのアプローチを取り入れてイノベーションを起こすことを目的とした「Policy Design事業」をスタートさせた。これによって、現在のJAPAN+Dプロジェクトの目的が、政策立案へのデザインアプローチの活用に絞り込まれることになった。
21年度は海外リサーチとトライアル
Policy Design事業では、大きく2つの活動を行った。1つは海外リサーチだ。デンマークや英国における政策デザインの活用事例や、国内でも佐賀県や滋賀県の取り組みに着目し、オンラインでヒアリングを実施した。もう1つが、政策分野におけるトライアルだ。デザインファームのKESIKI(東京・渋谷)や省内外の政策関係者らとともにデザインアプローチを用いて3つの政策分野を試験的に検証した。例えば、中小企業診断士制度の硬直化を課題とし、ユーザーインタビューや課題設定、課題解決のアイデア出しや解決策の検討を行った。
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