東京・品川に誕生した野村不動産「プラウド」の新しいマンションギャラリー「PROUD GALLERY GOTANDA」が注目を集めている。内装設計を担当したのは、大野友資氏が率いるドミノアーキテクツ(東京・目黒)。従来のマンションギャラリーとは大きく異なる仕上がりとなった。
マンションギャラリーとは、竣工前の物件を販売するために仮設的に建てられるデベロッパー独自のショールームで、設備や仕様の展示のほか、商談スペースなどを内包している。プラウドは野村不動産の分譲マンションブランドで、都心の高価格帯の物件も多く取り扱う。2022年2月にオープンしたPROUD GALLERY GOTANDAは、カーテンを印象的に用いた開放的な空間が特徴だ。家具のスタイリングも含めて上質な雰囲気ではあるが、いわゆる高級マンションから連想するきらびやかな装飾的要素がない。
今回のマンションギャラリーを担当した野村不動産住宅事業本部の竹内優氏は、大野氏に内装のデザインを相談した。「マンションごとの個別解ではなく、一般解となるようなマンションギャラリーにできないかという提案を頂いた。自分たちとは全く異なる視点で、ぜひ実現したいと思った」と竹内氏は話す。
これまでのマンションギャラリーの多くは、新築マンションごとに造られてきた。それぞれのマンションのコンセプトを反映するため、高価格帯マンションであれば石貼りや豪華な装飾を施し、高級感を演出するのが一般的だったという。しかし近年は、感染症対策も兼ねていくつかの物件の合同拠点とし、広めの空間を設けるのがトレンド。今回も23年8月に竣工予定の「プラウドタワー目黒MARC」のほかに、東京の山王やそのほかの物件との合同拠点としている。
大野氏がまず着目したのは、合同拠点になったことで増えた改修工事だった。1つの拠点で複数のマンションを扱うと、各物件の販売終了などによる増改築の工事がたびたび行われるが、無駄に見える部分も多かったという。
そこで従来のレイアウトを分解し、今後変更の可能性がある部分と大きく変える必要のない部分に分けて、あらかじめ工事のしやすい動線を引いた。
「例えば、バックヤードである事務所や洗面所はずっと必要な場所なので、改修のたびに動かさなくてもよいように固め、逆に余白として残る部分は変更しやすいように考えた。これまでは物件個別の販売活動のための動線として設計していたため、壁が入り組んでしまったり工事のたびにつぎはぎ感が生まれたりと工数の無駄も多かった。このやり方が時代に合っているかという疑問もあり、大きな考え方をひな型として進めることをデザインのディテールより前に提案した」と、大野氏は話す。
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