パソコン周辺機器大手のエレコムが家電市場に参入する。IH型のホットプレート「HOT DISH(ホットディッシュ)」で、2022年6月以降に発売する。社内にデザインチームを結成し、単身世帯の増加や晩婚化の進む社会を背景に、1人で暮らす人の生活空間になじみやすいデザインを意識して開発した。
「HOT DISH」はエレコム初となる家電のプロジェクト。IHヒーターと調理するホットプレートで構成し、ホットプレートをそのまま皿として使える点が特徴だ。パスタやリゾット、炒め物のほか、豚汁やトーストなど幅広いメニューに対応する。調理や食事、後片付けなどの一連の動きの大部分をHOT DISHの上で完結できるほか、洗って乾かすまでも手軽にできるようにした。クラウドファンディングサイト「Makuake」で2021年1月に発表したところ、目標金額を超えた526万1140円が集まった。発売後の一般販売予定価格は2万1780円(税込み)。
発売に当たり、家電ブランド「LiFERE(リフィーレ)」を打ち出し、第1弾の製品としてHOT DISHを位置付けた。料理に興味はあっても自炊を面倒に感じている人は少なくない。HOT DISHの特徴は簡単なメニューでも見栄えが良くなる点。メインターゲットは30代半ばから後半にかけての比較的、生活にゆとりのある単身世帯だが、大学生やシニアで一人暮らしをする人や夫婦で二人暮らしの小規模な世帯なども視野に入っている。
「家電メーカーが作るホットプレートとは違う外観になったのではないか」とエレコムの商品開発部デザイン課デザイナーの佐伯綾子氏は言う。
自分たちが欲しい家電を開発
開発のきっかけは、スマートフォンケースやマウス、キーボードなどを手掛けるデザイナーたちが集まり、「家電で何か新しい提案ができないか」と議論したことだという。
その場にいたデザイナーは、偶然にも一人暮らしばかり。そこで、自分たちが本当に作りたいものを作ろうと、社内の各領域を横断したデザインチームを結成した。18年夏にはチームとして新しい企画を立ち上げ、最終的には4人のデザイナーと生産・技術担当、品質管理担当を含めた6人で、自社にない新しいカテゴリーを目指して開発した。
自分たちが毎日使いたいものを突き詰めると、ホットプレートが出てきたという。「食事の最後まで温かいプレート」という理想を掲げ、既存の技術やコストとの兼ね合いもある中で、「四角いホットプレートではなく丸い皿のようなホットプレートにする」「食べる人が座った状態でホットプレートを見下ろしたときに、下にあるIHヒーターを見えないようにする」などにもこだわった。
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