九州に本拠を置くディスカウントストアのトライアルホールディングス(トライアルHD、福岡市)が、注力している「リアル小売店のスマートストア化」について、将来の無人店舗運営も視野に入れた新たな一手を打った。福岡県宮若市との官民連携協定による共同事業として、次世代型スマートストア「トライアルGO脇田店inみやわかの郷」を2022年4月20日に開業。AI(人工知能)カメラによる「24時間顔認証決済システム」や、売り場カメラと電子棚札を連動させて自動で値下げするシステムなどを初めて導入した。

開業当日の「トライアルGO脇田店inみやわかの郷」
開業当日の「トライアルGO脇田店inみやわかの郷」

 2022年4月20日、トライアルHD傘下にあるトライアルカンパニー(福岡市)は、福岡市と北九州市のほぼ中間にある宮若市内に、24時間営業の次世代型スマートストア「トライアルGO脇田店inみやわかの郷(以下、トライアルGO脇田店)」を新たにオープンした。宮若市は、トライアルHDが行政や取引先などとの協働で「リテールDX(デジタルトランスフォーメーション)」を軸にしたまちづくり「リモートワークタウン ムスブ宮若」プロジェクトを推進するエリアである。

 トライアルHDは既に、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の手法で宮若市から旧吉川小学校を借り受け、校舎をほぼそのまま利用する形で、トライアルのITエンジニアとメーカー、卸のエンジニアなどが共同でリテールAI(人工知能)の開発を進める施設「MUSUBU AI(ムスブAI)」を21年7月に設立済み。今回は、旧吉川小学校の運動場跡地にトライアルGO脇田店を新たに建てた形になる(旧吉川小学校体育館は、地元食材を提供するグルメレストラン「グロッサリア」として再整備され、同日開業)。

新たな出店形態としてトライアルGOを開発

 トライアルGO脇田店は、トライアルカンパニーにとって「スマートストアの新たな出店形態の可能性を実験する場」(トライアルカンパニーマーケティング部部長の野田大輔氏)である。トライアルカンパニーの主力店舗である「スーパーセンタートライアル」をスマートストアとして出店するには、約4950~6600平方メートル(1500~2000坪)の売り場面積が望ましい。しかし、これだけの広さが必要となると、出店できるエリアが限られる。そこで、狭い売り場面積でも出店しやすくし、スマートストアをより多くの消費者に知ってもらうためのフォーマットとして、トライアルGOを開発したのだ。近隣にあるスーパーセンタートライアルを母店とし、そこからクルマで片道約20分圏内に設置するサテライト店という位置づけで出店する。

トライアルGOの店内。従来のスマートストア化したスーパーセンタートライアルと同じく、店内にはスマートショッピングカート(写真上)やAIカメラ(同中)、デジタルサイネージ(同下)などが配置されている(3枚目)
トライアルGOの店内。従来のスマートストア化したスーパーセンタートライアルと同じく、店内にはスマートショッピングカート(写真上)やAIカメラ(同中)、デジタルサイネージ(同下)などが配置されている

 トライアルGO脇田店の店内の広さは約990平方メートル(300坪)。そこへタブレットを搭載した自社開発の「スマートショッピングカート」40台、「AIカメラ」135台を導入した。これまで展開してきたスーパーセンターサイズのスマートストアと同じく、店内に設置したAIカメラで撮影した画像を使って、どの棚の前にどれだけ滞在したか、どの商品を手に取ってカートに入れたかといった来店客の行動データを計測し、POS(販売時点情報管理)から得られる購買履歴や商品ごとの売り上げデータなどと組み合わせ、来店客の購買行動をデータとして収集・分析していく。

 さらにトライアルGOでは、店舗運営(オペレーション)の負担をさらに引き下げ、省人化を進めて、将来は無人店舗運営も視野に入れた工夫にも取り組んだ。それがAIカメラによる「24時間顔認証決済システム」と、売り場カメラと電子棚札を連動させて自動で値下げするシステムだ。

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