サッポロビールが2022年5月24日、RTDの新商品「三ツ星グレフルサワー」を発売する。ポイントは「グレープフルーツ」というフレーバーを選んだことだ。レモンに続く人気フレーバーのグレープフルーツだが、RTD市場ではまだメガブランドがない。伸びしろのある領域で新商品の浸透を狙う。

2022年5月24日から発売される「三ツ星グレフルサワー」
2022年5月24日から発売される「三ツ星グレフルサワー」
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 サッポロビールの「濃いめのレモンサワー」、日本コカ・コーラの「檸檬(れもん)堂」、サントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」など、近年、レモンサワーテイストのRTD(Ready to Drink、プルタブを開けてそのまま飲める缶飲料)のヒットが目立つ。躍進の要因には、新型コロナウイルス禍で家飲みの需要が拡大したことや、さっぱり飲みやすい味わいが若い世代から支持を集めていることがある。

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 レモンフレーバーの商品は、2021年1~12月の低アルコールRTD市場の販売規模の50%弱を占めている(インテージSRI +による推計)。この市場をけん引するレモンフレーバーだが、その陰に隠れ「不動の人気ナンバー2」に位置するフレーバーがある。

2021年の低アルコールRTD市場における、グレープフルーツフレーバーの販売規模のシェア(画像左)と販売数量(画像右)のデータ(画像はサッポロビールの資料より)
2021年の低アルコールRTD市場における、グレープフルーツフレーバーの販売規模のシェア(画像左)と販売数量(画像右)のデータ(画像はサッポロビールの資料より)
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 それがグレープフルーツだ。レモンと同じかんきつ系でなじみも深い。サッポロビールのアンケート調査でグレープフルーツフレーバーを飲用する人は、家飲みと外飲みの両方でレモンの次に多いことが分かった。

 しかし、レモンテイストと近しい存在でありながら、グレープフルーツの販売規模は小さい。前述の低アルコールRTD市場の販売規模でもレモンが50%弱に対し、グレープフルーツは10%程度にとどまっている(インテージSRI +が21年1月~12月に調査)。

 逆に言えば、グレープフルーツフレーバー市場には、開拓の余地や伸びしろがあると言える。ここに目をつけたのがサッポロビールだ。サッポロビールマーケティング本部 ビール&RTD事業部長の武内亮人氏は、グレープフルーツフレーバーのポテンシャルをこう語る。

 「レモンとグレープフルーツは、ユーザーからしたら飲用する意向に大きな差はないが、RTD市場全体ではグレープフルーツテイストで大きく目立つ商品はない。レモンサワーの活況を見ていると、グレープフルーツ市場にはまだまだ拡大の余地がある」

サッポロビールマーケティング本部 ビール&RTD事業部長の武内亮人氏
サッポロビールマーケティング本部 ビール&RTD事業部長の武内亮人氏
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 そこでサッポロビールは22年5月24日、グレープフルーツテイストの新商品「三ツ星グレフルサワー」を発売する。同社でこれまでにないグレープフルーツの専門ブランドを生み、潜在的な需要の掘り起こしを狙う。

 三ツ星グレフルサワーはフレーバーが2種類。一般的な果皮が黄色い品種を使用した「贅沢(ぜいたく)ホワイト」と、果肉がピンク色の品種を原材料に用いた「芳醇(ほうじゅん)ピンク」だ。ペーストを果皮部分まで使用し、果汁量だけでは醸し出せない苦味や香りを表現した。

 価格は350ミリリットル缶で150円、500ミリリットル缶で210円(税別)。RTDカテゴリーでは価格帯が若干高めだが、家飲み需要の拡大で質や満足感を求めるユーザーが増えている背景もあり、ブランドとして認知を確立するため、クオリティーを追求した。

 「グレープフルーツはジューシーさや味の濃さが特徴で、果汁だけでなく果実感を前面に出した。ユーザーが求めている満足感と親和性がある」と武内氏。1缶250ミリリットル換算で、販売目標年内140万ケースとした。

しっかりとした濃い味を堪能してもらうため、同じグレープフルーツながら、品種ごとにフレーバーを2種類用意した
しっかりとした濃い味を堪能してもらうため、同じグレープフルーツながら、品種ごとにフレーバーを2種類用意した
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 「三ツ星グレフルサワーのコンセプトは『もうひとつの定番サワー』。ユーザーにとってなじみがありながらも今までにない定番フレーバーの専門ブランドは、ユーザーにとって商品を選択する動機になりやすい」

 また、サッポロビールが21年4月に1200人に行った調査では「様々なフレーバーを楽しみたい」と回答した人は71%、21年7月に180人に行ったものでは「レモン以外の選択肢が増えてほしい」と回答したユーザーは90%となった。近年ではレモンサワーブランドの台頭が目立つが、多くのユーザーは、多彩なラインアップを求める傾向にある。

 定番でありながら新しい、なじみのあるテイストだが有名なブランドは出ていない。こうしたグレープフルーツフレーバーの絶妙なポジションに着目し、三ツ星グレフルサワーを発売するサッポロビール。間口を広げて新規層にアピールしつつ、既存ユーザーにも納得して選んでもらう味わいを担保する。

 将来的には、RTD市場のグレープフルーツカテゴリーをけん引する地位を築くのが目標。「『グレフルサワーといえばこれ』と思われる位置を狙っていく。1つのフレーバーに絞り込んでコンセプトを追求していく専門性を重視し、熱狂的なファンやリピーターを増やしていく」と武内氏。ありそうでなかったグレープフルーツの専門ブランドで市場拡大を目指す。

(写真提供/サッポロビール)