2022年2月16日のオンライン記者会見「BMWグループビジネス・ストラテジー」で22年はラグジュアリーセグメントのモデルの強化、電気自動車(EV)の新型投入を明らかにしたビー・エム・ダブリュー。22年も既に3車種を投入している。
22年はラグジュアリーとEV新型投入
ドイツBMWの日本法人であるビー・エム・ダブリュー(東京・港、以下BMW)が、2022年も積極的に新車を投入する姿勢を見せている。2月16日に行われたオンライン記者会見「BMWグループビジネス・ストラテジー」では、21年の日本販売の振り返りと22年の新車計画の一部を発表。22年はラグジュアリーセグメントの車種を強化するほか、電気自動車(EV)の新型投入を明らかにした。
記者会見ではミドルサイズ4ドアクーペの新型「BMW i4」の販売開始と、4月22日に発売予定の電動スクーター「BMW CE04」も発表。EV専用ブランドの「BMW i」にはエントリーのコンパクトカー「i3」、ミドルサイズSUV(多目的スポーツ車)「iX3」、今年2月に発売されたばかりのミドルサイズ4ドアクーペ「i4」、電動車のフラッグシップモデルとなるミドルサイズSUV「iX」という4車種があるが、このうちiXに高性能モデル「Mモデル」を追加することも発表した。高級感のあるEVモデルの投入で、EV分野のリーダー的地位を確保したい考えだ。
一方で新型コロナウイルス禍における新車開発や不安定な供給の先行きに対する配慮からか、新車計画では具体的な車種名の公開を控えたようにも感じられた。そうした中、予告通り3月23日に新型BMWクーペシリーズのフラッグシップとなる「BMW 8シリーズ」のマイナーチェンジを実施し、販売をスタート。下半期には「さらなるエキサイティングなラグジュアリーモデルを用意する」(クリスチャン・ヴィードマン社長)と、高級カテゴリーへの意気込みをうかがわせた。
3月1日には、コンパクト2ドアクーペである新型「BMW 2シリーズ クーペ」をフルモデルチェンジし、販売開始。22年内には14年に日本で発売したコンパクトワゴン「2シリーズ アクティブ ツアラー」のフルモデルチェンジも予定している。2シリーズ アクティブツアラーは投入以来、新たな若いファミリー層を取り込むことに成功したモデルだけに、期待も大きいだろう。
コロナ禍下でも堅実に伸長
ヴィードマン社長は、21年の日本販売については、コロナ禍と半導体の供給不足の影響を受けながらも、他の高級輸入車の状況に比べて好調に推移したと振り返り、厳しい状況下の中でよく戦ったと評価した。
BMWの各ブランド別の販売は、BMW(4輪車)が3万5905台、MINIが1万8211台、BMWモトラッド(2輪車)が5866台で、最も好調だったのが過去最高台数を記録した2輪車のBMWモトラッドだったという。前年と比較しての販売台数は、BMWが100.5%とわずかに前年を上回ったが、MINIは中核モデルのハッチバックシリーズをマイナーチェンジしたにもかかわらず前年比90.2%と下回る結果に。ただし輸入車単一車種としては、21年も年間販売台数1位を記録。16年から6年連続首位をキープしているという。
堅実な結果が出せているのは、コロナ禍の影響があってもフルモデルチェンジやマイナーチェンジ、限定車を含め、BMW車が16車種、MINIが3車種、BMWモトラッドが14車種と、積極的に新車を投入してきたことが奏功しているという。例えば4輪車の新型では、BMWのラグジュアリーなミッドサイズクーペ「4シリーズ」をフルモデルチェンジ。2ドアクーペに加え、人気の4ドアクーペの「4シリーズ グラン クーペ」やオープンカー「4シリーズ カブリオレ」をそろえ、さらに高性能モデル「Mハイパフォーマンスモデル」の「M3セダン」と「M4クーペ」も投入した。欧州での積極的なEV展開を受けて新たに投入した、iX3とフラッグシップSUVのiXの存在も大きいだろう。
マイナーチェンジでは、BMWのミッドサイズSUV「X3」とそのクーペSUVである「X4」、MINIの中核的モデル「MINIハッチバック」とオープンカー「MINIコンバーチブル」が好調だった。
日本独自の取り組みに関しては、20年に本格始動したオンラインによる車両販売が成果を見せているという。コロナ禍の影響もあり、オンライン商談予約の申込数が20年との比較で3倍以上に成長。今後も機能やサービスを強化し、積極的に展開していく方針だという。
22年にBMWは2つのアニバーサリーイヤーを迎える。1つは走りの良さを重視するBMWの象徴でもある高性能モデルの「Mモデル」が50周年を迎えることだ。日本では8年連続で成長していることもあり、日本専用の限定車など、多くのMモデルを投入する計画とのこと。もう1つはMINIだ。現行型の初代となるBMW版MINIが、日本投入から20周年を記念し、イベントを予定しているという。同記者発表でのMINIの新型車や限定車への言及はなかったが、3月2日に開催されたオンラインイベント「MINI DAY 2022」では、記念イベントの開催予定に加え、今年2月に発表された特別仕様車「ブリックレーン エディション」に続き、複数の限定車が控えていることを発表している。
(写真提供/ビー・エム・ダブリュー)