カゴメとTWO(東京・渋谷)が提携して、卵、乳製品、肉などの動物性食品を使わないオムライスを開発した。初の共同開発商品として、成長が予想されるプラントベースフード市場でシェア拡大を狙う。Makuakeでは販売開始から4時間で、応援購入総額が100万円を超え、本格展開にはずみをつけた。

カゴメとTWOが共同開発した、代替卵で作られたオムライス
カゴメとTWOが共同開発した、代替卵で作られたオムライス
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 煮込まれた焦げ茶色のデミグラスソースに浮かぶ、鮮やかな黄色い卵。上からスプーンを入れると、ふわっと崩れた半熟の卵の中からスパイシーな香りのチキンライスが現れる――。一見、洋食店やファミリーレストランで提供されていそうな見た目だが、実はこのオムライス、卵、乳製品、肉などの動物性食品を一切使用していない。すべて植物由来の食材から作られた「プラントベースオムライス」なのだ。

デミグラスソースも含め、すべて植物由来の食材で作られている
デミグラスソースも含め、すべて植物由来の食材で作られている
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 オムライスの卵はにんじんと白インゲン豆を、チキンライスの具材はソイミートやコーンを、デミグラスソースは玉ねぎ、赤ワイン、豆乳バターを使用。色味はそっくりでも着色料は入っていない。

 実際に食べてみると、味も本来のオムライスと遜色ないうえ、デミグラスソースの濃厚な香りや、代替卵のとろっとした食感、少し硬めに主張してくるソイミートの食感が食欲をそそる。食べ応えもあるうえにヘルシーだ。1食当たり120グラム分以上の野菜を使用し、コレステロールフリーに仕上がった。

販売から4時間で100万円超え

 このプラントベースオムライスは、TWOが展開するプラントベースフードブランド「2foods」とカゴメが提携して開発した。2021年4月から2foodsは飲食店を展開。ドーナツやカレーなど、植物由来の食材で作られたメニューを提供している。

 2foodsにとって「プラントベースオムライス」は、初のパッケージングされた商品となる。顧客には、オムライスを構成する代替卵、チキンライス、デミグラスソース、トマトケチャップがそれぞれ冷凍で袋詰めされて届き、それらを温めて食べる仕様だ。22年3月9日からMakuakeで限定2350食を先行販売し、同月10日から2foodsの全6店舗でも提供している。

2foodsのロゴ画像。コンセプトを「ヘルシージャンクフード」と謳い、プラントベースでヘルシーに仕上げながら、やみつきになる要素を備えた商品開発をモットーにしている
2foodsのロゴ画像。コンセプトを「ヘルシージャンクフード」と謳い、プラントベースでヘルシーに仕上げながら、やみつきになる要素を備えた商品開発をモットーにしている
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オムライスは、パーツごとにパッケージ化されている。プラントベースオムライスの店頭価格は、テークアウトで1188円、イートインで1210円(いずれも税込み)
オムライスは、パーツごとにパッケージ化されている。プラントベースオムライスの店頭価格は、テークアウトで1188円、イートインで1210円(いずれも税込み)
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 Makuakeでは販売開始から4時間で、応援購入総額が目標の100万円を超えた。商品ページのコメント欄では「卵アレルギーの子供(家族)でもオムライスを食べられるのがうれしい」といったコメントが散見された。TWOの東義和CEO(最高経営責任者)は「(プラントベースオムライスは)アレルゲンフリーとして売り出していないが、親御さんやプラントベースに感度の高い人などのユーザー層が購入している」と語る。

TWOの東義和CEO
TWOの東義和CEO
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 そもそもTWOとカゴメは、21年4月に包括業務提携契約を締結。TWOがカゴメに声をかけ、プラントベースオムライスの共同開発を進めてきた。TWOが商品開発やアイデアを、カゴメが商品を量産化する工場やマニュアル、資材の調達、安全性、営業のノウハウを持ち寄り、約1年かけて発売にこぎつけた。

 一見、120年以上続くカゴメと、新興ブランドの2foodsを展開するTWOの提携は異色にも見える。しかし、カゴメの山口聡社長は、2foodsの魅力や共同開発でのメリットをこう語る。

 「21年10月にプラントベースオムライスの試作品を見た時に、良い商品になると確信した。2foodsの(プラントベースフードなのにやみつきになる)コンセプトが表現されているし、試作を繰り返して完成度を追求し、当社としても商品開発の力がついてきた」(山口氏)

カゴメの山口聡社長
カゴメの山口聡社長
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 両社の開発チームは計100回以上の試作を繰り返してきたそうだ。一例を挙げると、チキンライスに混ぜたソイミートは、カゴメの野菜だしで漬けて臭みを消してチキンの食感に近づけた。デミグラスソースは野菜を厳選して香りづけを行い、煮込んだ色合いを出すためにフライドオニオンを使用した。

 また商品自体のクオリティーだけでなく、商品として量産するための改良も重ねた。商品を温めた際に代替卵が硬くならないようにしたり、工場で製造しても味のばらつきが出ないように注力したという。

「映え」を意識してオムライスを選択

 両社の提携で、プラントベースオムライスの商品化が実現したが、肝心なのはどのように流通、定着させていくかだ。日本は海外に比べてプラントベースフードを食べる文化が根付いておらず、2foodsというブランドも立ち上げから日が浅く影響力に限りがある。認知をどう広げていくのかという疑問に対して、東氏は「(2foodsの)店舗があることで、ユーザーやメディアとの接点をつくり、認知やブランド力を高められる」と説明する。

 「店舗で直接食べてもらい、おいしさやヘルシーさを実感してもらえれば、ECや小売店で買う強力な動機になる。そのうえユーザーが、店舗で食べたオムライスをSNSで発信してくれればブランド力も強化される。今回メニューにオムライスを選んだ一因として、『映え』でSNSでの発信を誘引して、認知を拡大させていく狙いがある」

 「実際にSNS上では、すでに購入した人や店舗で食べた人などによるプラントフードオムライスの投稿は多い」と東氏。商品の魅力を伝え、ブランドの知名度をあげていくきっかけの場として店舗を活用していく。ブランド力が確立されていけば、商品も購入されやすくなり、良い循環が生まれると期待する。

 現在プラントベースオムライスは、Makuakeと店舗でしか販売していないが、今後はスーパーなどの小売店にも卸す予定だ。その際は、カゴメのブランド力を生かしていく。

 「小売りが仕入れる商品を選定する基準として『ちゃんと安全が確保されているか』はかなり重要。プラントベースオムライスなどを卸す際、カゴメとの提携で開発したものだと伝えることで、仕入れ先の反応もかなり変わってくる」と東氏。

 東氏によれば、世界のプラントベース市場は加速度的に伸びており、30年には約18兆円規模になるという海外の報告書もあるという。その中でも代替卵はマーケットのポテンシャルが高いそうだ。

 今後もTWOは、カゴメと商品を開発して、商品数や販路を拡大していく予定だ。商品のクオリティー、販路、ブランディング、多方面から抜かりない戦略でブランドを確立していく。

(写真提供/TWO)