2022年4月に新たなスタートを切ったパナソニックの事業会社の1つ、パナソニック コネクトを率いる樋口泰行氏は、どのようにしてパナソニックのマーケティング体制を刷新してきたのか。第2回はソリューション提案の考え方について、樋口氏が語る。
※新刊『パナソニック覚醒 愛着心と危機感が生む変革のマネジメント』(日経BP)の第3章の一部を抜粋・再構成したものです
▼第1回はこちら パナソニックが旧態依然のマーケティング組織を刷新 成功したワケ2021年に約8630億円を投じて買収した米ブルーヨンダーは、サプライチェーンソリューションを展開するITベンダーです。同社との取り組みは、両社のテクノロジーを合わせ、顔認証、動線分析、配送センターの仕分けシステムなど、4つのジョイントソリューションを作ることから始まりました。
また双方のカスタマー・エクスペリエンス・センターに展示をして、お互いの製品の理解を深めていく取り組みをしました。
現在は、パナソニック コネクトの執行役員 常務で技術研究開発本部長の榊原彰を中心に、コネクトの中にある現場系のクラウドベースのソフトウエアについて、開発ツールやアーキテクチャーをブルーヨンダーに合わせ、すぐにつながれるような取り組みを行っています。
一方で、ブルーヨンダーのお客さまを訪問し、改めて現場プロセスイノベーションというキーワードでニーズをヒアリングし、それをテーブルの上に乗せて絞り込み、標準化して開発を進めていく取り組みも始めています。そこにひもづくハードウエアが必要であれば開発します。
ソリューションは自分で勝手に決めない
どんなビジネスでも、それがスケールを大きくしていく打率というのは、それほど高いわけではありません。簡単に大きなビジネスは生まれてこない。横展開ができるかどうかの見極め、さらにはそれが利益を生み出せるかなど、さまざまな判断が求められます。
ブルーヨンダーはソフトウエアに近いところ、パナソニックはハードウエアに近いところで、ソリューションビジネスをお互いにやってきていますので、お互いの知見を出し合いながら、どのソリューションに投資していくか、見ていきたいと思っています。
やってはいけないのは、自分たちで勝手に決めた「これだ」というソリューションだけを展開しようとしたり、特定の1つの顧客にこだわったりしてしまうことです。そうではなく、もっと視点を高めて、本当にいけるかどうかをブルーヨンダーとパナソニックでマイルストーンを作ってチェックしていこうと考えています。
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