ローソンストア100が、即配サービスのOniGOと協業した。OniGOの配達スタッフが、生鮮食品や日用品など約700〜800種類の商品を、実店舗からピックアップして届ける。ローソンストア100はこれまでもウーバーイーツのサービスを導入してきたが、なぜ、わざわざOniGOと組んだのか。

ローソンストア100が即配サービスのOniGOとの協業を開始
ローソンストア100が即配サービスのOniGOとの協業を開始

 「OniGOのサービスを導入したことで、配達できる商品数も増え、配達時間も10分程度に短縮できる。ローソンストア100を冷蔵庫のように使ってもらいたい」

 そう語るのは、ローソンストア100次世代事業本部 統括マネージャーの森本洋史氏だ。ローソンストア100は2021年7月、ストアコンセプトを「献立応援コンビニへ。」とリブランディング。新型コロナウイルス禍による内食や自炊のニーズの高まりを受け、従来の100円均一モデルから、スーパーに近い業態へシフトしている。

ローソンストア100次世代事業本部 統括マネージャーの森本洋史氏
ローソンストア100次世代事業本部 統括マネージャーの森本洋史氏

 この業態変更の流れを加速させるため、ローソンストア100はOniGOと協業した。

 OniGOは、販売する店舗を持たず、アプリからユーザーの注文が入ったら、指定の商品を倉庫からピックアップして届ける即配サービス。売りは、注文してから10分を目安に商品が届くスピードだ。ネットスーパーの多くは注文から配達までに最短で2~3時間を要する中、即配を強みに規模を拡大している。

 ローソンストア100は22年2月からの協業で、OniGOの配達ノウハウと宅配スタッフを利用して、実店舗の商品を素早く顧客に提供する。OniGOのサービスを導入した第1号店として、22年2月25日からローソンストア100中野中央店で運用を始め、順次、協業する店舗を増やしていく。

 注文から配達までの流れは、一般的なデリバリーサービスと同じだ。OniGOのアプリから注文が入ると、配達スタッフが指定の商品を取りにローソンストア100の店舗に向かう。そこで店舗スタッフにレジを通してもらい、ユーザーへ届けに行く。ユーザーがOniGOのアプリを立ち上げた際、半径2キロメートル以内に連携しているローソンストア100の店舗があれば、自動的にその店舗の商品が表示される。

 商品は生鮮食品や日用品を含めた約700〜800種類。商品の価格に加えて配送料が一律300円かかる。生鮮食品カテゴリーの商品はよく注文が入るそうだ。

OniGOのアプリ画面、ローソンストア100の商品が自動的に表示される仕組みに
OniGOのアプリ画面、ローソンストア100の商品が自動的に表示される仕組みに
OniGOのスタッフがローソンストア100から商品をピックアップしている様子
OniGOのスタッフがローソンストア100から商品をピックアップしている様子

 しかし、ローソンストア100は、すでに約130店舗がウーバーイーツと協業している。なぜ新たにOniGOとの協業を始めたのか。森本氏は、短時間で商品を届けられるメリットに加えて、ウーバーイーツとの違いをこう語る。

 「OniGOのほうが圧倒的に店舗スタッフの負担が少ない。ウーバーイーツだと、注文を受けてから商品をピックアップして、ドライバーに渡すまでの一連のオペレーションを従業員が担っている。そのうえ、アプリ上で各商品が品切れかどうかを表示する作業も行う必要がある。OniGOは注文から在庫管理までを担ってくれるので、店舗スタッフはレジを通すだけで済む」

 OniGOとの連携なら、店舗の営業を圧迫することなく、デリバリーにも対応できると判断したわけだ。店舗の負担が少ないこともあって、配達できる商品種類もウーバーイーツの400種類に比べて、前述の700〜800種類までに拡大できた。

 また、10分前後で商品が届くスピード感が「これまで取りきれていなかったユーザーの獲得に貢献している」と森本氏は分析する。

「ウーバーイーツでは注文から30分程度で届けられる範囲を商圏としているが、OniGOは注文から10分前後で届けられる半径2キロ以内を商圏としている。即配の選択肢を用意することで、店舗から1~2キロ程度離れている距離のユーザーにアプローチできる」

ローソンストア100は、全国に668店舗ある(2022年3月17日時点)
ローソンストア100は、全国に668店舗ある(2022年3月17日時点)

 ユーザーとしても配達時間を選べるメリットは大きい。来店するには遠いが、かといって配達時間が30分程度だと待てない。こうしたインサイトを持つユーザーに向けて、サービスを行きわたらせる考えだ。

 同時にOniGOにも、協業のメリットは多い。倉庫の設置費用など初期費用を抑えられる、物件を探す手間もなく立地が豊富に選べる、商品の品ぞろえが増えるなど、実店舗と組むことでビジネスの幅が広がる。ローソンストア100は立地と商品を、OniGOはデリバリーのリソースとプラットフォームを持ち寄ることで、お互いに商圏を広げていく。

 「ローソンストア100では、カット野菜やキノコ類、価格帯を抑えた肉など、OniGOでは扱っていない商品も提供している。また、OniGOの倉庫だと足の早い生鮮食品は管理が難しいが、当社の実店舗を活用することで取扱いがしやすい」と森本氏。

 今後は商品数を1500~2000まで拡大し、購買履歴やアプリ内のアンケートを参考に、時間帯や時期に合わせてラインアップも調整していく。24年には100店舗にOniGOのシステムを組み込んでいく予定だ。ユーザーに対して時間や商品数の選択肢を増やすことで、これまで取り切れていなかった新規層の獲得を狙う。

(写真提供/ローソンストア100)

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