LINEは22年4月13日から、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)総合マーケットプレイス「LINE NFT」を開始する。ブロックチェーン(分散型台帳)関連事業を展開する子会社のLVC(東京・品川)を通じて提供すると22年3月23日に発表した。NFTマーケットプレイスは22年2月、楽天グループも開始しており、NFT市場の拡大が加速しそうだ。

 LINE NFTは、LINEのアカウントベースで利用できるのが大きな特徴だ。開始当初は、吉本興業やスクエア・エニックスなどの17コンテンツと連携し、「エンターテインメント」「スポーツ」「ゲーム」など7ジャンル100種類以上のNFTコンテンツを販売する。利用者は、暗号資産(仮想通貨)のLINKとLINE Payを使った日本円決済でNFTコンテンツを購入できる。

 LINEのプロフィルにNFTを設定できるようにしたり、LINEスタンプでもNFTを活用したりできるようにする。購入したNFTを、LINEの友だちと交換したり、送りあったりすることもできるという。

 21年6月から始めた「NFTマーケットβ」では2次取引にあたるユーザー間取引のみを提供していたが、「LINE NFT」では、NFTの発行から1次販売、2次流通までをワンストップでできるようにした。今後はソフトバンクやZホールディングスのグループ企業とも協業してNFTの活用を進める。例えば「ヤフオク!」では、NFTを簡単に出品・落札できるように準備中。ZOZOとは、一部のファッションブランドとのNFT販売を予定しているとのことだ。

LINE NFTで提供されるコンテンツ。7ジャンル100種類以上のNFTコンテンツを販売する
LINE NFTで提供されるコンテンツ。7ジャンル100種類以上のNFTコンテンツを販売する。「LINE NFT」戦略発表会の資料より

NFTのヒットコンテンツは? 試行錯誤続く

 3月23日に開催された「LINE NFT」戦略発表会でLVCの林仁奎(イム・インギュ)CEO(最高経営責任者)は、「NFTおよびブロックチェーン分野で世界をリードする存在になりたい」と意気込みを語った。LINEは18年からブロックチェーンの研究・開発に取り組んできた。21年12月には米国と韓国にNFTをグローバル展開するための会社を設立して、180カ国8言語に対応したNFTプラットフォーム「DOSI(ドシ)」を22年上半期に開始する。独自のブロックチェーンである「LINE Blockchain」とこれらのNFTプラットフォームを通じて、日本国内と海外、それぞれでNFT事業の拡大を狙う。

 NFT関連事業にはLINEをはじめ様々な企業が参入してコンテンツが増えているが、市場拡大に向けた試行錯誤が続く。LVCのブロックチェーン事業部 上遠野大輔事業部長は「NFTの盛り上がりはまだ一部のユーザーに限られる」とした上で、普及への課題として大きく2つを挙げた。1つは購入の際に暗号通貨を使ったりといったNFTを体験するまでの複雑な経路がユーザーに理解されにくいこと。もう1つはNFTを保有する価値や意味が理解しにくいことだ。日ごろから利用しているLINEを通じてNFTを利用できるようにすることで、多くの人が気軽に売買できるようにしたいという。

 NFTにはどんなコンテンツが最適なのか、広く利用してもらうためのUI(ユーザーインターフェース)はどう設計すべきか――NFT市場の拡大をにらみ、多くの企業がその解を探っている。

LVCの林仁奎CEO(左)。LVCのブロックチェーン事業部 上遠野大輔事業部長(右)
LVCの林仁奎CEO(左)。LVCのブロックチェーン事業部 上遠野大輔事業部長(右)
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(写真提供/LINE)

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