わさびなどの食品製造・販売を手がける金印(名古屋市)は、2022年2月に発売した新製品「わさびアイスクリーム」のパッケージデザインの開発にAI(人工知能)を活用したことを明らかにした。当初は同年5月までの期間限定販売を予定していたが、好調な売れ行きを背景に販売延長を決めた。中小企業にもAI導入が広がってきた。

金印が2022年2月に発売した「わさびアイスクリーム」。同社のECサイトでも購入可能できる
金印が2022年2月に発売した「わさびアイスクリーム」。同社のECサイトでも購入可能できる
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 金印が活用したAIは、リサーチやデザインを中心としたマーケティングソリューションを提供するプラグ(東京・千代田)が開発したデザインの評価サービス「パッケージデザインAI」。東京大学と共同研究し、920万人分の消費者調査データをAIが学習している。消費者がデザインをどう評価するかをAIが予測する「評価AI」と、デザイン生成と評価を繰り返して1時間で1000のデザイン案を生み出す「生成AI」という2つのメニューを持つ。金印が活用したのは評価AIの機能で、デザインを約10秒で診断できるという。評価AIの利用料金は1画像当たり1万5000円(税別)と手ごろだった点も、金印の導入を後押しした。

 1929年に創業した金印は業務用のBtoBビジネスけが中心だが、100周年に向けてBtoC向けの販売チャネルを開拓しようとさまざまな商品を考えた。その1つが、わさびアイスクリームだった。業務用わさびを扱う金印が作る商品だけに、長野県安曇野産の本わさびを使った高級品。だが今まで金印によるデザインはBtoB向けばかりで、BtoC向けはどんなデザインが好まれるか自信がなかった。

 そこで着目したのがパッケージデザインAIだった。プラグのウェブサイトにアクセスするだけで使用できる。金印は評価AIの機能を2回活用した。AIが予測する好意度やイメージ、ヒートマップの結果を参考にプラグのアドバイスも聞きながら、高級感を伝えるデザインにしようと考えた。

 「BtoC向けには新しいやり方を取り入れる必要があった。パッケージデザインAIは性別や年代別の評価を見ることができるため、なぜこのデザインにすべきかを論理的に検討できた」(金印の常務、岡本主計氏)

 金印が評価AIを活用した際の流れは、こんな具合だ。まず高級品として30~50代を狙いながら金印のデザイナーがいくつかのデザイン案を事前に作成し、そのうち3つに絞った。「当初はわさびをポイントにして、高級感が出るようにデザインした」(金印でデザインを担当した商品開発課の武藤有希氏)

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