インテリア関連団体が参加するIDM(Interior Design Meeting)の主催で、「IDM AWARD 2022」が決定した。日本の伝統的な素材やものづくりの技法を現代のインテリア空間に継承しようと、最優秀賞1作品をはじめ、合計12作品を表彰した。最優秀賞は国産木材を使ったユニークなウッドスピーカーだった。
2017年に発足したIDMは、インテリア関連団体(現在24団体)が連携し、インテリア界の活性化・発展を目指している。その取り組みの一環として、店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2022」(22年3月1〜4日開催)で、特別展示「NIPPON プレミアムデザイン」を企画した。この企画には、インテリアに携わる中小企業合計24社が出展。その中から「IDM AWARD 2022」として12作品を選出した。
最優秀賞に選ばれたのは、ネーブル・ジャパン(三重県松阪市)。国産のスギ材に音響ユニットを取り付けたウッドスピーカーで、厚い板そのものが振動することによって生まれるナチュラルな音が特徴だ。同社専務、小林益久氏は、「壁や天井そのものがスピーカーになり得る。その自由度がデザイナーの関心を引くのではないか」と言う。
同じ技法で小型のウッドスピーカーを製作し、「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」に納入した実績を持つ。同ホテルの内装に使われた北海道産トドマツを利用したこのウッドスピーカーは、21年、林野庁の「ウッドデザイン賞」も受賞している。
地元の知財を活用する地方創生会社が手掛けた国産スギ材のスピーカー。厚い木の板そのものが振動し、ナチュラルな音を伝える。「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」はこの小型タイプを全室に導入済み。
「日経デザイン賞」は、共和鋼業(大阪市)。屋外のフェンスや落石防止に使われるひし形金網を、インテリアに応用しようという意欲的な取り組みが評価された。ひし形金網は適度な遮り感(透け感)を生かして、室内のパーティションに使うことができる。また、目が細かく、柔らかいアルミ製の金網であれば、バッグや器などに使える可能性がある。
同社がデザイナーの倉本仁氏と製作した「NETBENCH」は、ひし形金網を座面に使ったシンプルなベンチで、21年、日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)の「JIDAデザインミュージアムセレクション」にも選ばれた。
フェンスや落石防止に使われるひし形金網を、インテリアに活用しようとする試み。デザイナー倉本仁氏と「NETBENCH」を、きづきデザインラボ(大阪府箕面市)と松下工作所(大阪府東大阪市)とのコラボブランド「amiMono」で「収納ラック」を製作している。
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