中川政七商店(奈良市)は2022年2月7~9日、東京・渋谷にあるイベントスペース「EBiS303」で日本各地の工芸メーカーによる合同展示会「大日本市」を開催した。「日本のいいものと、いい伝え手を繋ぐ」をミッションにした商談イベントで、8回目の今回は“暮らしを愉しむものづくり”をテーマにした。
中川政七商店が開催した「大日本市」には全国から69社が出展し、小売りバイヤーなど約1400人が訪れた
初出展となる19ブランドをはじめ、衣服やバッグ、アクセサリー、文具関連、食品、調理道具など過去最多の69社が参加した。中川政七商店もスペースを構え、独自ブランドの商品を展示。小売店バイヤーや商業デベロッパー、デザイナーなど、約1400人が訪れた。
今回は環境に配慮する商品など、サステナビリティー(持続可能性)を打ち出す企業のブースが目立った。例えば手袋などを扱うフクシン(香川県東かがわ市)は、リサイクル素材も活用した手編みブランド「ecuvo,」を出展。環境大善(北海道北見市)が手がけた消臭液「きえ~る」は、牛尿を使ったアップサイクル型の商品だ。環境を意識した商品の開発は工芸メーカーも無縁ではいられない。
メイン会場とは別に、出展ブランドの一部商品を棚に並べ、その場で来訪者が購入できる販売コーナーも設置。多くの雑貨好きなバイヤーが立ち寄り、にぎわっていた。さらには会期後、各メーカーの一押し商品を一般消費者が期間限定でオンライン購入できる「推しの逸品」というサイトも22年3月に開設。これまでの商談会の枠を超え、一般消費者に向けてアピールする新たな取り組みも実施し、好調だったという。
次回の大日本市は22年9月に開催予定だ。
手袋などを手がける香川県東かがわ市のフクシンは、リサイクル素材も活用したサステナブル(持続可能)ブランド「ecuvo,」を出展した
奈良県大和高田市の川東履物商店の「HEP」は、日本の家庭で使用されてきた“ヘップサンダル”を、現代の履物としてアップデートしたブランド
大阪府八尾市の木村石鹸工業のブランド「12/JU-NI(ジューニ)」は、傷んだ髪や癖毛などに向けたシャンプーとコンディショナー
北海道北見市の環境大善が開発した消臭液「きえ~る」は、酪農による水質汚染や悪臭被害の改善を目指し、発酵処理による牛尿の無害化と発酵液に含まれる機能性成分を活用したアップサイクル型の商品
福井県越前市の山次製紙所は手すきによる越前和紙のメーカー。手すき和紙を活用した「茶缶」や「カードケース」などの商品を出展
熊本市のプロダクトユニット「itiiti(イチイチ)」による、「イグサをまとう」ことを意識してデザインしたアクセサリー
福岡県みやま市にある江の浦海苔本舗は、デザイン性に優れたパッケージで商品展開し、有名企業ともコラボ
兵庫県姫路市の播磨屋茶舗が手がけるティーバッグ茶のブランド「t to(ティートゥー)」
鹿児島市のcodeによるブランド「日々是薬膳」には、「薬膳茶」「薬膳おやつ」「薬膳カレースパイス」などがある
福岡県広川町の坂田織物の「sakata」は、文様がかすれて見える繊細な木綿織物で、暮らしの中で気軽にまとえる羽織ものを目指したブランド
中川政七商店の「日本の暮らしの定番茶 番茶」には、美しい茶畑を残していくため、もっと気軽でおいしいお茶を届けたいという思いが背景にある
中川政七商店の「はっぴコート」は、作業着の“はっぴ”に着想を得て作ったコートで、サイズを問わずに着られるという
(写真提供/中川政七商店)