世界的に人気のバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』。様々なコンテンツやアスリート、アーティストとのコラボレーションでも話題になる同タイトルに2022年3月、プロテニスプレーヤーの大坂なおみが登場した。本人もゲーム好きだという大坂なおみにフォートナイトに“参戦”した経緯や、自身が投資する仮想現実(VR)や拡張現実(AR)のビジネスなどについて聞いた。

プロテニスプレーヤーの大坂なおみがバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』のコラボキャラクターに。衣装のデザインは姉のまりさんが手がけた(写真提供/米エピックゲームズ)
プロテニスプレーヤーの大坂なおみがバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』のコラボキャラクターに。衣装のデザインは姉のまりさんが手がけた(写真提供/米エピックゲームズ)

 米エピックゲームズが運営するフォートナイトは、これまでDCシリーズの「ハーレイ・クイン」やスター・ウォーズシリーズの「マンダロリアン」、プロバスケットボール選手のレブロン・ジェームズやアーティストのアリアナ・グランデなどとのコラボレーションを展開してきた。これらのコラボでは、ゲーム内にそれぞれをモチーフにしたコスチュームなどが登場。ユーザーはフォートナイトのプレー中、このコスチュームを装備することで、自分が操作するキャラクターの見た目を変更できる。

 そのコラボに、女性アスリートとして初めて“参戦”したのがプロテニスプレーヤーの大坂なおみだ。エピックゲームズは、コスチュームのほかにも、いくつかのツールを用意。コスチュームのデザインは、元プロテニスプレーヤーで実姉の大坂まりが手がけた。本人もゲーム好きだという大坂なおみにフォートナイトに“参戦”した経緯や、自身が投資するVRやARのビジネスなどについて聞いた。

――どういう経緯で、フォートナイトに“参戦”することになったのですか。

大坂なおみ(以下、大坂) 私はずっとフォートナイトのファンで、熱心なゲーマーでした。フォートナイトとレブロン・ジェームズとのコラボレーション(2021年7月)を見たのですが、それが素晴らしかったので、それ以来、参加したいという野望を抱いていたようなものです。フォートナイトのスタッフはとてもクリエイティブで、素晴らしいパートナーです。本当に光栄に思っています。

――大坂さんは熱心なゲーマーだったのですね。どんなゲームを楽しんでいるんですか。

大坂 ファンタジーやバトル系のゲームをよくやります。 漫画、ゲーム、映画など、アニメ全般の大ファンです。現在、主に『Apex Legends』(米エレクトロニック・アーツ)、『The Elder Scrolls V: Skyrim』(米ベセスダ・ソフトワークス)、『Overwatch』(米ブリザード・エンターテイメント)をプレーしています。

――トレーニングで忙しいのでは?

大坂 トレーニングは1日の半分くらいなので、残りの半分で楽しむことができるんです。動画も見ますよ。最近、Netflixでネイマールのドキュメンタリー『ネイマール:パーフェクト・カオス』を見たのですが、面白かったですね。人の知らないことを知るのが好きなんです。

――今回はプレーヤーが大坂なおみさんでプレーをすることができます。また姉のまりさんがコスチュームをデザインしました。できあがった自身のコスチュームを見た時、まりさんデザインのコスチュームを見た時の感想を聞かせてください。また、それらをプレーヤーが使用してプレーすることについてはいかがですか?

大坂 まりはとてもクリエイティブな天才です。彼女がテニスをやめた今、ファッションとデザインのコラボレーションは、私たちが一緒に仕事をし、絆を深めるために行う場所なのです。

 私はよく頭の中にアイデアを思い浮かべますが、彼女はそれをスケッチで具現化してくれるのです。本当に楽しくて、彼女は素晴らしいです。私は日本人とハイチ人の両方の血を受け継いでいるので、このプロジェクトでは、その両方からインスピレーションを受けることができました。他のプレーヤーが私のキャラクターを使ってプレーするなんて夢にも思わなかったことです。

コスチュームが公開されたことで、世界中のプレーヤーが大坂なおみのキャラクターを使ってプレーすることになる(写真提供/shutterstock)
コスチュームが公開されたことで、世界中のプレーヤーが大坂なおみのキャラクターを使ってプレーすることになる(写真提供/shutterstock)

――ちなみに、テニスゲームを楽しまれたりはするんですか?

大坂 あはは、そうでもないですよ。「Wii」のテニスを何度かやったことがあります。実は、レブロン・ジェームズや(ラッパーの)ドレイクと一緒に、StatusProという会社に投資しています。一緒に拡張現実テニスゲームに取り組んでいて、とてもクールなものになりそうです。

NFTやWeb3にも興味あり

――その取り組みについてもう少し聞かせてください。Status Proとはどのような会社なのでしょうか。またそこで取り組んでいる拡張現実テニスゲームというのは、実際のテニスのトレーニングになるものなのでしょうか。それともアミューズメントゲームなのでしょうか。

大坂 ビジネス製品向けのARやVRを開発する企業ですが、ゲームもあります。例えば、NFL(米ナショナル・フットボール・リーグ)の多くのチームがすでにこの技術を使い、VRでチームと一緒にプレーを進めています。当面のところ、テニスでのプランは、どちらかというとゲーム側ですが、将来どうなるかは誰にも分かりません。

――現在、The SandboxやDecentralandのようなメタバースが話題ですが、大坂さんはプレーヤーとして参加したいと思いますか。参加したいと思う場合、そこでどんなことがしたいですか?

大坂 ええ、近いうちに試してみます。暗号資産、NFT(非代替性トークン)、Web3にとても興味があるので、もっと知りたいと思います。私は自分の知識を蓄えるために本当に始めたばかりですが、特に若い人たちがもっとアクセスしやすく、ナビゲートしやすいものにしたいのです。

――日経エンタテインメント!では25歳以下のZ世代の人たちに自分たちが影響を受けたエンターテインメント作品について聞いています(特集「U-25が選ぶ新スタンダード」)。最後に、大坂さんが大きく影響を受けたというエンタテインメント作品を3つ教えていただけないでしょうか?

大坂 フォートナイト、『ブレイキング・バッド』(米国のテレビシリーズ)、そして『NARUTO』です。

「なおみはアスリート以上の存在」

 続いて、米エピックゲームズのパートナーシップ担当グローバルVPのネイト・ナンザー氏にも大坂なおみのフォートナイト“参戦”について聞いた。

――大坂なおみさんがフォートナイトに参加することになった経緯を教えてください。

ネイト・ナンザー氏(以下、ナンザー) 彼女が登場した「アイコンシリーズ」は、フォートナイトの数百万人の視聴者の文化の中でも、最もダイナミックなフィギュアの祭典です。初の女性アスリートとしてシリーズに参加するのに大坂なおみほどふさわしい人物はいないでしょう。フォートナイトがゲーム以上の存在であるように、なおみはアスリート以上の存在なのです。

米エピックゲームズが運営する『フォートナイト』は世界的にも人気が高い(写真提供/米エピックゲームズ)
米エピックゲームズが運営する『フォートナイト』は世界的にも人気が高い(写真提供/米エピックゲームズ)

――「アイコンシリーズ」にはこれまで、レブロン・ジェームズやアリアナ・グランデも登場しています。登場するアスリートやアーティストはどのように選んでいるのですか?

ナンザー フォートナイトを理解し、世界中の何百万人ものプレーヤーにとって本物であるアーティストやアスリートと一緒に仕事をすることが重要です。私たちの目標は、プレーヤーにとってもパートナーのファンにとっても、大きな価値をもたらすコラボレーションを実現することです。

 フォートナイトは、ゲーム以上のものに進化しています。プレーヤー同士が社会的につながり、自己表現し、まったく新しい体験を共に作り上げるソーシャルエンターテインメントの場なのです。ファッション、音楽、スポーツ、エンターテイメントなどのカテゴリーでカルチャーイベントや文化を形成する人々を表現し、フォートナイトが進化し続ける中で世界中のプレーヤーが利用できるようにすることは、非常に重要なことです。

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