サッポロビールは2022年2月25日、同年の「エビス」ブランドの戦略発表会を開催。新たな施策として、CCCメディアハウス発刊の雑誌「Pen(ペン)」との協働によるライフスタイル誌の創刊、ファンコミュニティーサイトの立ち上げなどを発表した。商品背景やストーリー性の訴求に注力し、コアなファン層の獲得を狙う。

説明会に登壇したサッポロビールマーケティング本部 ビール&RTD事業部長の武内亮人氏(左)とブランドマネージャーの沖井尊子氏(右)
説明会に登壇したサッポロビールマーケティング本部 ビール&RTD事業部長の武内亮人氏(左)とブランドマネージャーの沖井尊子氏(右)
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20代男性の購入率が前年比153%

 「コロナ禍の影響で家庭内の飲酒時間が増えたことで、『飲酒の楽しみ方を広げたい』というユーザーのインサイトが高まっている。飲酒時間を楽しめるよう、お酒の質やラインアップを充実させるとともに、知的好奇心を刺激するようなコンテンツを生み出していく」

 サッポロビール マーケティング本部 ビール&RTD事業部長の武内亮人氏は、発表会で22年の「エビス」ブランドの方向性をこう語った。

 エビスブランドは、21年にブランドコンセプトを「Color Your Time!(カラー・ユア・タイム)」とリニューアル。プレミアム感を演出するこれまでの路線から、ブランドの世界観に共感してもらい、飲酒時間を楽しんでもらう方向性に舵(かじ)を切った。

21年に刷新されたブランドコンセプト
21年に刷新されたブランドコンセプト
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 具体的には、多様な缶商品を投入し、商品背景やブランドの歴史の訴求に注力する。21年の取り組みでは、例年発売する季節性のある期間限定品に加え、新商品「エビス ホップテロワール」「エビス マイスター ザ・ロイヤルリーフ」などを発売。商品ラインアップを拡充した。

 加えてブランドの世界観を伝えるため、エビスビール記念館のオンラインツアーや、商品に関するエピソードを盛り込んだ小説の公開、飲食店のレシピをTwitterで紹介するフェアを行った。

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 その結果、21年は20年と比較して出荷数で前年比102%に。20年10月~21年9月の年代別購入率を見ると、20代男性が前年比153%、20代女性が141%と伸長した(出荷数はサッポロビール、年代別購入率はインテージ SRI+調べ)。

歌舞伎俳優の松本幸四郎らが登場

 そして22年、エビスブランドは顧客接点をより増やしてブランドに愛着を持ってもらうため、22年から新たな取り組みを大きく2つ始める。

 1つ目は、ライフスタイル誌の発刊だ。CCCメディアハウスの「Pen(ペン)」と協働し、「Pen + 暮らしを彩る、エビスのある時間。」を年2回刊行する。創刊号は2月25日に発売され、価格は1320円(税込み)、全国の一般書店やコンビニで購入できる。

創刊号の表紙、アマゾンなどのネット書店でも購入できる
創刊号の表紙、アマゾンなどのネット書店でも購入できる
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 コンテンツは、歌舞伎俳優の松本幸四郎らにエビスビールの楽しみ方を語ってもらう企画を筆頭に、ブランドの歴史やビールの製造現場をひもとくページ、エビスに合う料理のレシピ、提携している飲食店の紹介など多岐にわたる。エビスビール公式サイトのオウンドメディアをより詳細に誌面で表現した。

 サッポロビール マーケティング本部 ビール&RTD事業部 ブランドマネージャーの沖井尊子氏は、「ユーザーとの印象的な出合いを演出し、手元に残るブランドとして定着させていきたい」と語る。書店での新しい接点を生むことで、グルメやファッションなど、身の回りの生活に関心の高い層に知ってもらうきっかけを生み出す。

 2つ目は、ネット上でのファン・コミュニティー・サイト「YEBISU BEER TOWN(エビスビアタウン)」の創設だ。2月25日にプレオープンし、10月から本格始動する。プレオープン段階では読み物がメインだが、今後はファン同士が交流できる掲示板、オンラインイベント、ファンミーティングなど、会員が自主的に参加できるようなコンテンツを盛り込む予定だ。

YEBISU BEER TOWN、実際は建物の上にピンがあり、そこをクリックするとコンテンツが提示される
YEBISU BEER TOWN、実際は建物の上にピンがあり、そこをクリックするとコンテンツが提示される
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 エビスビアタウンは、恵比寿の街をイメージした仮想現実空間となっている。街の中にある建物(サッポロビールの本社や書店、大学)にはピンが立っており、クリックすると建物の中に入れる演出で、上記のコンテンツが楽しめる仕様にする。

 目標の会員数は16万人を見込む。「現時点で、月2回以上エビスビールを飲んでいるユーザーや、メルマガを開封している人の規模感から数字を出した。むやみに会員数を追うのではなく、ファンと呼べるユーザーの数を増やしていく」と沖井氏。

 他にも、ポイントプログラムや恵比寿でグルメイベントなど、過去に開催した取り組みも並行して実施する。

 ポイントプログラムは、対象商品の缶に貼付されているシールを集めて応募することで、3ポイントから48ポイントまでのポイント数に応じて賞品が当たる。48ポイントだと世界遺産の二条城の非公開施設への招待(ペア25組)、24ポイントだとオンラインでの料理教室の参加資格(各回50人の計200人)など、体験型の企画を用意した。応募期間は22年2月1日から8月31日までを予定している。

 グルメイベントは、恵比寿を中心とした飲食店が料理を出品し、参加者にエビスビールに合う料理を投票してもらうコンテスト形式の催しだ。「ヱビスビールに合う逸品グランプリ」と題し、7回目となる22年は過去最大規模の70店舗以上が参加する。地域密着型のイベントで、ブランド名にもある恵比寿の街を活性化させ、飲食店との連携を強化する。開催期間は22年3月15日から4月24日を予定している。

 「新しい取り組みを始めるからといって、特にターゲット層は設定していない。性別や年代、収入など関係なく、ブランドに興味がある方に入ってもらいたい」と沖井氏。22年のエビスブランドの販売計画を前年比114.8%と掲げた。

(写真提供/サッポロビール)