コンサルティング会社のD4DR(ディー・フォー・ディー・アール、東京・港)は、リポート『消費トレンド2040市場予測』を日経BPから刊行。2030~2040年に存在すると予想される象徴的な15の新たな消費市場を定義し、各市場の将来を予測した。本記事ではリポートで取り上げた15の新・消費市場の1つである「ウェルネス市場」を取り上げ、一部を紹介する。

リポート『消費トレンド2040市場予測』で取り上げた15の新・消費市場(出所/D4DR)
リポート『消費トレンド2040市場予測』で取り上げた15の新・消費市場 出所/D4DR

2030~2040年に有望な新市場「ウェルネス市場」とは

 現在は、第4次産業革命や、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った、既存の価値観やビジネスモデルなどが通用しない「VUCA(ブーカ)」の時代とも呼ばれる変化のただ中にある。10年後には現在の市場が消失していることも十分考えられる。そこでD4DRは、市場がどのような技術によって商品・サービスとして出現するかを考えることで未来を見通す「バックキャスティング」によるアプローチで、2030~2040年に存在するであろう15の新たな消費市場の未来を予測した。そのうちの1つ、ウェルネス市場は、個人の心身の状態を可視化・学習し、状態の最適化を行うサービスの市場である。

 ウェルネスは、身体・精神の健康に加え、社会的・環境的健康を基盤に、輝く生き方をデザインしていくことと定義される。そのゴールは、病気ではない状態を表す「ヘルス(健康)」を基盤とし、ウェルビーイングを実現し自分自身の人生を輝くものにすることとされる。ゴールに向かっている状態もウェルネスと捉えられる。

ウェルネス市場の構造図
出所/Global Wellness Instituteの定義「身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な状態」を基にウェルネスを定義
Global Wellness Instituteの定義「身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な状態」を基にウェルネスを定義 出所/D4DR

 従って、ウェルネス市場のサービスは身体の健康状態を保つ「ヘルスケア」、疾病から回復するための「メディカル」といった従来の健康に関する概念の範囲に加え、高次の欲求であるウェルビーイングの実現をも射程に入れ、生活全般の質を高めることを目指す。そのため、心身の不調に対応するサービスだけでなく、例えばツーリズムやペット向けサービスといった領域もウェルネス市場の対象となる。

 またヘルスケア・メディカル領域のサービスも、健康寿命の延伸が個人・社会の双方にとってますます重要な課題となっていくことや、ウエアラブルデバイスによるデータ取得の普及、BMI(Brain Machine Interface)やゲノムモニタリングなど新たなテクノロジー利用の拡大といった要因により、さらなる拡大を見せると予想される。従って、ウェルネス市場は有望市場であると言える。

ウェルネス市場のサービスの構造

 2025~2040年に実現するウェルネス市場のサービスの全体像を下図のように想定した。まずは心身の健康・生活品質が、ウエアラブルデバイスや住宅・オフィスなどに設置されたセンサーなどによって(1)モニタリングされ、そのデータの分析結果が(2)診断やアドバイスの形でフィードバックされる。それに基づき、健康状態や生活を変化させるための(3)アクションをサポートする多数のサービスが提供される、という構造である。

実現される新サービス例

 ウェルネス市場では具体的にどのようなサービスが実現されるのか。ここでは2025~2030年と2030~2040年に分けて未来を想定し、それぞれの時期に登場すると考えられるサービスの具体例を示す。

 ■幸福度/メンタルマネジメント 

関連主体・サービス:P&L Associates「Weekare」

2025~2030年
 個人のメンタルマネジメント分野では、血圧、心拍、呼吸、血中酸素濃度、体温、呼気、瞳孔などのバイタルサインからストレス/リラックス度を測定し、目に見えない心の状態を可視化しアドバイスを提供するサービスが登場する。それにより、本人も意識していない不満や不安などもマネジメントできるようになる。同時に、幸福度を管理・共有しやすい指標が設計され、社会全体での利用が試みられる。

 その他、パブリックスペースで笑顔や声のデータを収集し、幸福度などを把握し、街のブランディングなどに活用する事例が登場する。

2030~2040年
 テクノロジーの進化によって脳内伝達物質の計測・調整やBMIなどによるアクティブ制御が可能になることで、健康なメンタルの維持が容易になる。自宅やオフィスでのモニタリング結果を基に、幸福度を向上させるアクションが食事、睡眠、運動、体験の多領域にわたって提案される。

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