伊藤園の「お~いお茶 濃い茶」が、2019年8月のリニューアル以降好調だ。同年9月から29カ月連続で、販売数の前年同月比がプラスを続けている。驚くべきは、中身や価格はそのままに、新規層やリピーターの獲得に成功したことだ。好調の要因となったリニューアルの内容とは。

「お~いお茶 濃い茶」は2004年発売。19年8月にリニューアルした
「お~いお茶 濃い茶」は2004年発売。19年8月にリニューアルした

健康面での付加価値で訴求

 伊藤園の主力ブランド「お~いお茶」の「濃い茶」が誕生したのは2004年。もともとは03年に発売された冬季限定品だったが、予想以上の反響があったため、翌年から通年商品として再発売された。伊藤園マーケティング本部 緑茶飲料ブランドマネジャーの安田哲也氏は「濃い茶は初年度から1000万ケースを販売した。日本では現在でも販売数が1000万ケースを超えているペットボトル商品が40程度しかない。爆発的な売れ行きだった」と当時を振り返る。

伊藤園マーケティング本部 緑茶飲料ブランドマネジャーの安田哲也氏
伊藤園マーケティング本部 緑茶飲料ブランドマネジャーの安田哲也氏
濃い茶発売時からの変遷。発売当時の04年は「お~いお茶 濃い味」という名前だった
濃い茶発売時からの変遷。発売当時の04年は「お~いお茶 濃い味」という名前だった

 そんなメガヒット商品の濃い茶が、ここ2年ほどでさらに売り上げを伸ばしている。19年9月から22年1月まで29カ月連続で、発売数の前年同月比がプラスになった(インテージによる調査結果)。

 注目すべきは、売り上げが増加し始めた19年9月の前と後で、商品の中身、製法、価格を変えていないことだ。躍進が続く一因には、飲料市場全般に作用している新型コロナウイルス禍の健康志向の高まりが挙げられる。無糖飲料のニーズの上昇や、在宅時間の増加で飲用機会に恵まれた。

 加えて、濃い茶は、19年8月のリニューアルを機に「機能性表示食品」と打ち出したことが大きい。消費者庁に機能性表示食品として販売するための届け出を行い、ペットボトル商品に「実は!体脂肪を減らす」と記載したシールを貼った。結果、リニューアル直後の翌月から長期的な売り上げ増につながった。

キャップ部分に「体脂肪を減らす」と記載されているのが、19年9月のリニューアル後から貼っているシール
キャップ部分に「体脂肪を減らす」と記載されているのが、19年9月のリニューアル後から貼っているシール

 商品自体を変えず、機能性食品の表示だけでここまで顕著に売り上げが増加したことについて、安田氏はこう分析する。

 「リニューアル以前は、濃い茶の購買層の6~7割が男性だった。発売時は健康面での訴求を狙っておらず、ユーザーのニーズに合わせて、おいしさを大前提に商品化した。しかしいくらおいしいといっても、若い男性と女性全般には、渋みや苦みが強いという先入観からなかなか商品を手に取ってもらえなかった。

 そこで19年8月のリニューアルで、濃い茶に含まれるカテキンに体脂肪を減らす機能があることを前面に押し出し、購入のきっかけを生み出した。新しい角度から濃い茶を訴求することで、それまで敬遠していたユーザーがおいしさに気づき、今ではあらゆる世代や年代にリピート買いしてもらえる商品になった」(安田氏)。最近では、リニューアル後に流入した若い男性と女性全般から、「もっと濃くて渋い味の商品はないのか」という問い合わせの声も多いそうだ。

 安田氏が語るように、リニューアル後の濃い茶の好調は、健康面での付加価値で間口を広げ、一度つかんだ新規層のリピート購入につなげた一連の流れにある。具体的にその流れはどのように生み出していったのか。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
12
この記事をいいね!する