発売から10周年を迎えたホンダの軽自動車「N-BOX」の2021年の新車販売台数が18万8940台となり、軽四輪車販売年間1位を7年連続で獲得。Nシリーズが支持され続ける理由を、ブランディング統括を務める佐藤可士和氏、商品企画担当者、開発担当者はどう考えているのか。

初代誕生から10周年を迎えた2021年12月16日に発表された改良版のホンダ「N-BOX」。写真は「N-BOX custom(カスタム)」をベースにした特別仕様車「N-BOX custom STYLE+ BLACK(スタイルプラス ブラック)」。記念のトークイベントにはNシリーズのブランディングディレクターを務める佐藤可士和氏(写真右)、起業家の山川咲氏が登壇
初代誕生から10周年を迎えた2021年12月16日に発表された改良版のホンダ「N-BOX」。写真は「N-BOX custom(カスタム)」をベースにした特別仕様車「N-BOX custom STYLE+ BLACK(スタイルプラス ブラック)」。記念のトークイベントにはNシリーズのブランディングディレクターを務める佐藤可士和氏(写真右)、起業家の山川咲氏が登壇

10周年の改良で販売台数首位に

 ホンダは軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」の初代誕生から10周年を迎えた2021年12月16日に、N-BOXの一部改良を発表し、同17日に販売を開始した。全国軽自動車協会連合会の発表によれば、22年1月の車名別新車販売台数(確定値)で首位となった。販売台数は1万9215台で、日本自動車販売協会連合会が発表した登録車の車名別新車販売台数ではトヨタの「ヤリス」が1万8169台で首位だったことから、軽自動車、登録車の総合でも首位になったことになる。

 N-BOXの大きな改良点は、停車中にブレーキペダルを踏み続けなくても自動的に停止を保持する「オートホールド機能付き電子制御パーキングブレーキ」を全車に標準装備したこと。これに伴い、安全運転支援機能のパッケージ「Honda SENSING(ホンダ センシング)」に含まれるアダクティブクルーズコントロール(ACC)は、渋滞追従機能付きACCへと進化し、高速道路における渋滞時などの運転負荷の軽減が図れるようになったという。税込み価格は144万8700円から。

 またN-BOX誕生10周年を機に、N-BOX、N-ONE(エヌワン)、N-WGN(エヌワゴン)、N-VAN(エヌバン)による“Nシリーズ”共通の新ブランド「N STYLE+(エヌスタイルプラス)」をスタートさせる。その第1弾として、「N-BOX custom(カスタム)」をベースにした特別仕様車「N-BOX custom STYLE+ BLACK(スタイルプラス ブラック)」を同時に発売した。N-BOXカスタム スタイルプラス ブラックは、シリーズ誕生から個性と存在感を求める層に向けたN-BOX カスタムにブラックカラーのアクセントパーツを追加したデザインで、高級感や引き締まった印象を高めている。税込み価格は192万9400円からとなる。

軽自動車への本気を示す「N」の記号

 発売同日開催された10周年記念のトークイベントに登壇した、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏は、初代N-BOXの発売当初からシリーズのブランディング統括を務めている。その経緯についてこう振り返る。

 「Nシリーズ誕生前のホンダは軽自動車があまり売れていなかったが、軽自動車のニーズの高まりを予想し、再度、力を入れて頑張ろうとしていた。そのブランディングを依頼された」(佐藤氏)

 当時「ライフ」や「バモス」など個別の名称を与えていたホンダの軽自動車を1つのシリーズにまとめ、「N」とネーミングすることを提案した。「N」はホンダ初の軽乗用車「N360」からの着想したものだ。このホンダにとって重要な記号を使うことで、ホンダらしい新しい軽自動車であることをアピールしようとしたという。

 これに対してホンダ社内では当初、賛否の声が上がった。だが、特別な記号である「N」を使うことで、「テコ入れの本気度を示そうとした」と佐藤氏。分かりやすい名称とシリーズ共通の世界観により、ホンダの軽の支持率は上昇。初代N-BOXは4年連続で軽四輪車新車販売台数年間1位を記録した。

ホンダにとって特別な記号である「N」をネーミングに使うことで、「テコ入れの本気度を示そうとした」と佐藤氏
ホンダにとって特別な記号である「N」をネーミングに使うことで、「テコ入れの本気度を示そうとした」と佐藤氏

 17年登場の現行型である2代目は、新Nシリーズの幕開けを伝えるモデルとして、Nのある生活、Nが提供する快適な暮らしをイメージさせる「N for Life」を掲げて売り出された。「(2代目発売当時は)既にNシリーズは成功を収めていた。そこで良いクルマをつくるだけでなく、良い暮らしをつくりたいという思いを(キャッチコピーに)込めた」と佐藤氏。生活を豊かにするというNの思想、世界観を示した短いコピーは分かりやすく、Nシリーズそのものが支持される要因となったという。

 ホンダによると、佐藤氏はテレビCMやロゴデザインなどの監修を手掛けているが、クルマ自体の商品企画には携わっていないという。ただ、佐藤氏と開発チームの考えには共通する部分が多く、「N for Life」のコピーが象徴するように、どんなライフスタイルを表現していくかを両者とも重視しているという。

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