サントリーは、人気の国産ジン「翠(すい)」をソーダ割り缶商品にして、2022年3月22日に発売する。ハイボール、レモンサワーに次ぐ「第3のソーダ割り」とうたい、食中酒としての日常的な飲用を促す。販売目標は150万ケース。角ハイボール缶の発売初年度と同等の強気な目標を掲げた。
「翠」のソーダ割り缶商品、通称「翠ジンソーダ缶」は、2022年2月15日からコンビニで先行販売、3月22日から全国発売となる。20年3月発売の瓶(700ミリリットル・1380円、税別)と業務用に加えて、販路を拡大する。
350ミリリットルで希望小売価格175円(税別)。アルコール度数は7%で、サントリースピリッツが推奨する「翠1:ソーダ4」で配合した。特徴は、原材料にゆず、緑茶、しょうがを使用したことだ。オーソドックスなジンの味わいを形成するボタニカル(植物の種や根、皮などの素材)に加え、和素材のうまみを引き出し、日本人になじみの深い味わいを目指した。実際に飲んでみると、最初にゆずの風味を感じ、その後ジンらしい口当たりにかすかな緑茶のコクが見え隠れする。後味は、辛口のジンジャーエールを思わせるしょうがのさっぱり感が鼻から抜ける。
缶のデザインも爽快感が伝わるよう意識した。透明感あふれるジンソーダのイラストを背景に、商品カラーの青みがかった緑色の帯を際立たせ、筆で書かれたような力強い「翠」という文字を中央に据えて、インパクトを持たせた。
サントリースピリッツの神田秀樹社長は「瓶、業務用に加え、缶商品で『ジンソーダ』が当たり前となるような世界にしたい。三位一体(瓶、業務用、缶)の販促形態は、サントリーが一番得意とする勝ちパターンであり、より幅広い新規ユーザーを獲得していく」と自信をのぞかせる。手軽に買える缶商品で間口を広げ、飲食店での注文や量の多い瓶の購入につなげていく作戦だ。
20年3月からの短期間で、翠は国産ジンの代表格に躍り出た。調査会社インテージの調査結果を基にサントリーが推計したデータでは、21年における2000円未満の国産ジンカテゴリーで、翠は国内シェアの7割弱を占めた。21年の翠の販売状況は、瓶の販売本数が前年比236%、飲食店の取扱店舗数は同146%、小売店では同320%と大きく伸長した(サントリー調べ)。
翠が好調な理由として、神田氏は大きく2つを挙げた。
1つ目は「翠ジンソーダが食中酒として浸透したこと」だ。ジンといえば、甘苦いトニックウォーターで割るのが主流で、バーで飲むイメージが強い。しかし、翠をソーダで割ることにより、さっぱりした味わいに和素材のアクセントが効いた、食事に合うカクテルとして提案。控えめな味付けからこってりした油物まで、幅広い料理の味に調和すると、バーだけでなく居酒屋や家庭でも飲用されるようになった。
2つ目は「CMシリーズの放映」だ。CMシリーズでは、翠が居酒屋料理に合うことを伝える内容に仕上げている。女優の桜井ユキとお笑いトリオ・東京03の角田晃広が、居酒屋、自宅、スーパーとあらゆるシーンで会話を繰り広げる。
このCMシリーズで視聴者にインパクトを与えたのが、「それはまだ、流行っていない。」というキャッチコピーだ。これまで放映してきたCMシリーズでも、最後にキャッチコピーのセリフとテロップを流した。桜井が家庭や居酒屋でジンのソーダ割りを飲む光景を見せ、「これからジンの新しい飲み方がはやる」というメッセージを伝えた。
翠ジンソーダ缶でも引き続き、食中酒としての提案を行い、3月下旬から新しいCMシリーズを放映する。「ハイボール、レモンサワーに次ぐ、第3のソーダ割りとして新カテゴリーを創造する。新たなお酒文化を広げていきたい」と神田氏。販売目標は150万ケース(1ケース6リットル換算)と、角ハイボール缶の初年度目標と同じ強気の数字を掲げた。22年の注力商品として売り出していく。
(写真提供/サントリースピリッツ)