カルビーはホクレン農業協同組合連合会(札幌市)と連携した新商品として、豆菓子ブランド「miino(ミーノ)」から「あじわいmiino 北海道産大豆 ゆきほまれ しお味」と「同 北海道産あずき きたろまん やさしい甘味」を発売した。国内農業と連携し、新たな食領域での新事業確立を目指す。

「あじわいmiino(ミーノ) 北海道産大豆 ゆきほまれ しお味」(内容量27グラム)と「あじわいmiino(ミーノ) 北海道産あずき きたろまん やさしい甘味」(同20グラム)。価格はどちらも税抜き184円。2022年2月1日より全国のセブン‐イレブンで順次発売
「あじわいmiino(ミーノ) 北海道産大豆 ゆきほまれ しお味」(内容量27グラム)と「あじわいmiino(ミーノ) 北海道産あずき きたろまん やさしい甘味」(同20グラム)。価格はどちらも税抜き184円。2022年2月1日より全国のセブン‐イレブンで順次発売

豆をジャガイモに次ぐ素材にしていく

 カルビーが2022年2月1日に発売したのは、新商品「あじわいmiino 北海道産大豆 ゆきほまれ しお味」と「あじわいmiino 北海道産あずき きたろまん やさしい甘味」。全国のセブン-イレブンで順次、数量限定で販売し、売り切れ次第終了とする(一部、取り扱わない店舗あり)。

 新商品はいずれもホクレン農業協同組合連合会(札幌市、以下ホクレン)と連携して開発したもの。カルビーは国内農業の振興と新たな食領域での事業確立を目指し、商品開発から流通に至る事業全般について協業を進めるため、20年8月にホクレンと連携協定を締結。同月に連携後第1弾商品となるポテトチップス「CHIPS NEXT Original」を、カルビー公式オンラインショップにて数量限定で販売した。21年11月29日には、同商品を「CHIPS NEXT よくねたいもキタアカリ」としてリニューアル。公式オンラインショップ「カルビーマルシェ」とアンテナショップ「カルビープラス」の一部店舗で限定発売した。

 今回のあじわいmiino 北海道産大豆 ゆきほまれ しお味とあじわいmiino 北海道産あずき きたろまん やさしい甘味は、カルビーとホクレンの連携商品としては第2弾に当たる。第1弾と同じジャガイモを原料としたポテトチップスではなく、豆原料での新商品を企画した背景について、カルビー社長兼CEO(最高経営責任者)の伊藤秀二氏は、「新型コロナウイルス禍でサプライチェーンが混乱する中、バレイショ(ジャガイモ)を使用した冷凍ポテトの輸入が滞っていたのは既知の通り」と説明。ジャガイモは食料としてだけでなく畜産における飼料としても活用されており、グローバルで高騰が発生していることから、輸入のジャガイモに頼ることへの危機感を示した。その上で、「原料確保の視点、食料自給率の向上を見据えて豆に注目した。バレイショに次ぐ素材にすべく注力する」(伊藤氏)とした。

あえて塩を振らず素材本来の甘みを存分に引き出す製法で作ったという「CHIPS NEXT よくねたいもキタアカリ」。カルビー公式オンラインショップ「カルビーマルシェ」では6袋セット1944円(税込み、別途送料)を販売。アンテナショップ「カルビープラス」の一部店舗では1袋324円(税込み)で販売している。パッケージにもこだわっており、紙素材を使ったフィルム、植物由来原料のバイオマスインキを使用している
あえて塩を振らず素材本来の甘みを存分に引き出す製法で作ったという「CHIPS NEXT よくねたいもキタアカリ」。カルビー公式オンラインショップ「カルビーマルシェ」では6袋セット1944円(税込み、別途送料)を販売。アンテナショップ「カルビープラス」の一部店舗では1袋324円(税込み)で販売している。パッケージにもこだわっており、紙素材を使ったフィルム、植物由来原料のバイオマスインキを使用している

豆のミーノで目標売上高50億円へ

 豆は旧来、日本人の食生活に取り入れられてきた。小豆は和菓子に多く使われており、大豆は煮豆として食べるほか、豆腐、納豆、みそなどの加工食品としても定番。近年は大豆ミートとしての需要も高まっている。「豆は、タンパク質や食物繊維といった様々な栄養素をバランス良く豊富に含む健康食材として注目され、摂取量は年々増えている。だが、それに比して日本での生産量が増加しているわけではない」(伊藤氏)。そこでカルビーでは良質な豆の原料調達量拡大に向けた取り組みを強化。その一環として、今回のミーノの新商品開発に至った。

 ミーノは健康的に豆を摂取できる商品シリーズとして、17年にそら豆を丸ごと素揚げした「miino そら豆しお味」を発売。「(ジャガイモを使用したポテトチップスに関しても)われわれは脂質も糖質も悪いものではなく、摂取量のバランスが課題と考えている。よって、タンパク質を提供することにより、お客様が摂取する三大栄養素のバランスを向上していくビジネスを始めていこうと、19年に長期ビジョン『Next Calbee 掘りだそう、自然の力。食の未来をつくりだす。』を策定した」(伊藤氏)。このビジョンの実現に向けて、ジャガイモに次ぐ新たな農産物を原料とする製品開発の1つが、「身近なところにある豆を使うこと」(伊藤氏)だった。

 伊藤氏は「24年3月期非財務指標では、販売商品の食塩相当量を20%削減し、タンパク質を多く含む商品(総エネルギー摂取量に占めるタンパク質の構成比が13%以上のもの)の売り上げ構成比を10%まで拡大する計画。今後、ミーノをフラッグシップブランドとし、売上高50億円を目指していく」と抱負を語る。

カルビー社長兼CEO(最高経営責任者)の伊藤秀二氏
カルビー社長兼CEO(最高経営責任者)の伊藤秀二氏

生産基盤の維持に寄与できるのでは

 もちろん、ホクレンの期待も高い。ホクレン代表理事会長の篠原末治氏は、「北海道は全国で生産されている大豆の約4割強を、小豆の9割を生産している巨大な産地。北海道の農業においては、ポテトチップスなどの原料となるバレイショとともに、豆類は重要な作物だ。コロナ禍において、特に小豆は土産物需要の減少から、影響を受けている。大豆や小豆のさらなる可能性を探る中で、これまでにない豆の風味を生かした新しい商品ができたのではないか。豆の商品拡大に大いにつながり、さらには生産基盤の維持に寄与できるのではないかと考えている」とした。

ホクレン農業協同組合連合会代表理事会長の篠原末治氏
ホクレン農業協同組合連合会代表理事会長の篠原末治氏

 カルビーのマーケティング本部商品2部部長の三浦太志氏は、今回発売する新商品について「どちらも北海道産の豆だけを使っている。豆の形を残したままの商品を提供し、豆本来が持つおいしさ、豆自体の良さを視覚的にも再認識してもらえると考えている」と話す。

カルビーのマーケティング本部商品2部部長の三浦太志氏
カルビーのマーケティング本部商品2部部長の三浦太志氏
発表会に登壇したタレントの優木まおみは「大豆のほうは塩味がしっかりありながら強すぎず、かみしめるたびに豆自体のコクも広がる。あずきのほうは、あんこのような甘さと“シャリサク”という食感が初めての感覚」と試食の感想を伝えた
発表会に登壇したタレントの優木まおみは「大豆のほうは塩味がしっかりありながら強すぎず、かみしめるたびに豆自体のコクも広がる。あずきのほうは、あんこのような甘さと“シャリサク”という食感が初めての感覚」と試食の感想を伝えた

 パッケージは、北海道産の豆の良質感が伝わるシンプルかつ上質なデザインを意識。好きなときに適量で楽しめ、机の上にも置きやすく持ち運びにも便利なチャック付きのスタンドパック型を採用した。仕事中、小腹がすいたときにデスクで食べられる手軽さで、女性を中心としたビジネスパーソンに訴求する。

これまでのミーノと比べても、落ち着いたデザインが特徴(撮影/山田真弓)
これまでのミーノと比べても、落ち着いたデザインが特徴(撮影/山田真弓)
記者が実際に食べてみると、軽い食感と素材そのものが感じられる味わいが特徴的で、子供というよりはカロリーが気になる大人の女性に好まれそうな味だった。大豆は塩味で食べるとお茶が飲みたくなる。あずきは井村屋の「あずきバー」を思い出させる甘みがあった(撮影/山田真弓)
記者が実際に食べてみると、軽い食感と素材そのものが感じられる味わいが特徴的で、子供というよりはカロリーが気になる大人の女性に好まれそうな味だった。大豆は塩味で食べるとお茶が飲みたくなる。あずきは井村屋の「あずきバー」を思い出させる甘みがあった(撮影/山田真弓)

(写真提供/カルビー)

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