糖質ゼロで本格的なビールの味わいを実現した「パーフェクトサントリービール」が、リニューアルした。これまで以上のおいしさを伝えるため、サントリービールは缶のパッケージを刷新。「糖質ゼロのおいしさに半信半疑なユーザーに向けて、おいしさが一目で分かるよう工夫した」という。

2022年1月25日にリニューアルしたパーフェクトサントリービール
2022年1月25日にリニューアルしたパーフェクトサントリービール

 パーフェクトサントリービールは、糖質ゼロのまま、麦芽の使用料をこれまでの1.3倍にしてリニューアル(食品表示基準に基づき、100ミリリットル当たり0.5グラム未満を「糖質ゼロ」と表示)。「ザ・プレミアム・モルツ」で培った醸造技術を駆使して、高い麦芽使用比率で糖質ゼロを実現した。力強く麦の味を感じつつも、後味は糖質ゼロらしくスッキリとしている。

 パーフェクトサントリービールのような、プリン体や糖質をカットした「機能系ビール類」の市場は、ここ数年で大きく伸長している。サントリーによると、2019年から20年にかけて、機能系ビール類の売り上げは前年比108%、20年から21年にかけては109%と伸びており、今後も増加していく見立てだ。新型コロナウイルス禍による健康志向の高まりが追い風となった。

 さらなる売り上げ増に向け、パーフェクトサントリービールには、他の機能系ビール類にはない有利なポイントがある。それが、酒税改正による減税の恩恵を受けられる点だ。

 パーフェクトサントリービールは、麦芽使用比率が50%を超えるため、ビールカテゴリーに区分される。そのため、20、23、26年の3回にわたって施行される、酒税改正による減税が適用される。糖質ゼロの機能系ビール類には、麦芽使用比率が25%未満の発泡酒や、麦芽以外の発泡性酒類を使用した第三のビールなど、酒税改正で増税対象となる商品が多い(麦芽使用比率25%未満の発泡酒は26年の酒税改正時に増税となる)。価格面で、競合の類似商品に比べて有利な状況にあるのだ。

 こうした市場背景を味方につけ、サントリービールはパーフェクトサントリービールの売り込みに一層注力する。21年の販売数量が約200万ケース(4月13日から発売)だったのに対し、22年の販売目標を300万ケースと掲げた。

缶の文言とエンブレムを刷新

 これまで以上の販売目標を達成するため、パッケージも刷新した。サントリービールマーケティング本部課長の三谷京平氏は、21年4月にパーフェクトサントリービールを発売してからの課題をこう語る。

 「パーフェクトサントリービールは新しいブランドなので、ビールを週に1回以上飲むユーザーでも、認知率は約3割にとどまっている。商品の存在を知っていても、糖質ゼロの味わいに疑問を持つユーザーが、購入を見送るケースが多い」

 三谷氏が語るように、歴史が浅いブランドで糖質ゼロをうたうだけでは、機能系ビール類の味わいに懐疑的なユーザーの流入が難しい。リニューアル前のパッケージでは、ラベルに「糖質ゼロ」とだけ表記しており、商品のおいしさに触れていなかった。そこでリニューアル後は、「本格ビールのうまさで糖質ゼロ」と文言を加えて、缶の中央に大きく記載した。また、ブランドの印象強化のため、エンブレムも「PSB」とパーフェクトサントリービールの名称が伝わりやすいように変えた。

 サントリービールの調査では、リニューアル前後のパッケージを比較して見せたところ、リニューアル後のほうが、購入に意欲的なユーザーが多かった。

アンケート調査の結果(サントリービールが21年8月、220人に調査した)。上がリニューアル後で、下がリニューアル前のパッケージ
アンケート調査の結果(サントリービールが21年8月、220人に調査した)。上がリニューアル後で、下がリニューアル前のパッケージ
リニューアル前のパーフェクトサントリービール。中央に「糖質0」とだけ書かれている
リニューアル前のパーフェクトサントリービール。中央に「糖質0」とだけ書かれている

 ユーザーの懐疑心を和らげる商品特徴の明示と、ブランドを印象付けるエンブレム。サントリービールは、この2つを記載する位置にもこだわった。「本格ビールのうまさで糖質ゼロ」という文言は缶の中央に、「PSB」と書かれたエンブレムは上部に配置した。小売店などで商品が陳列棚に置かれる際、POPや棚帯、プライスカードに隠れて、缶の下部が見えない場合は多い。他商品が数多く並ぶ店頭でも、ちゃんとユーザーに視認してもらえるよう意識した。

飲食店にも販路を拡大

 リニューアルにともない、プロモーション活動もより多角的に展開していく。大きな施策としては3点ある。

 1点目は、サンプリングを中心としたプロモーション活動だ。サントリービールマーケティング部によれば、21年4月の発売以降、パーフェクトサントリービールのリピート率は高い。一度飲めば、ユーザーはリピートする傾向にある。

 そこで、リニューアル商品発売に先駆けた21年12月には、10万人にパーフェクトサントリービール3本が当たるキャンペーンを実施。発売後は、コンビニをはじめとした店頭での引換券やクーポンの配布、飲食店でのサンプリングを行う予定だ。これらの施策で、のべ50万人に飲んでもらう接点を創出し、飲用のきっかけを生み出していく。

 2点目は、22年3月から、飲食店向けに樽(たる)詰めを販売することだ。サントリービールでは21年8月、飲食店でテスト販売を実施したところ、85%のユーザーが「また飲みたい」と回答した。この結果を受け、飲食店にも販路を拡大する。コロナ禍の影響も加味しながら、取扱店数は22年内に最低で1000軒、目標で1万軒という見通しを示した。

 3点目は、テレビコマーシャルのリニューアルだ。新キャストには香川照之と堺雅人を起用。最初はビールのクオリティーに半信半疑の2人が、飲酒後お互いに味を絶賛する様子を描く。

香川照之と堺雅人を起用した新CM。2人が酒を酌み交わすシーンが描かれている
香川照之と堺雅人を起用した新CM。2人が酒を酌み交わすシーンが描かれている

 商品の中身、見せ方、販促方法を、満遍なく強化するサントリービール。同社が自信を持つ「おいしさ」をこれまで以上に訴求することで、21年4月に誕生した新興ブランドのさらなる浸透を狙う。

(写真提供/サントリー)

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