加工食品大手のニチレイフーズは2022年1月14日、電子レンジで温めても冷たく仕上がる「冷やし中華」を3月1日に発売すると発表した。冷凍食品市場が拡大傾向にあり、また「個食」が増えていることから1食分の冷凍麺として冷凍冷やし中華の開発に着手したという。

ニチレイフーズが3月に発売する「冷やし中華」は1人前360グラム。オープン価格だが実売は400円前後の見込み
ニチレイフーズが2022年3月に発売する「冷やし中華」は1人前360グラム。オープン価格だが実売は400円前後の見込み

カップ麺より短時間で作れる冷やし中華

 「レンジでチンする」と聞くと、ほかほか、熱々の料理を思い浮かべるだろう。だが、ニチレイフーズが開発した冷凍麺「冷やし中華」は、電子レンジ(600ワット)で2分50秒ほど加熱すると、解凍されて“冷たく仕上がる”という不思議な商品だ。メディア向け試食会で実食したが、「キンキンに冷えている」とは言えないまでも、十分に冷たい仕上がりだった。

 加熱するのに冷たく仕上がる秘密は、冷凍麺の上にのっている十数個の氷片だ。電子レンジはマイクロ波を料理に照射して温める仕組みになっているが、氷はマイクロ波の影響を受けにくいのだという。実際に、2分50秒加熱した「冷やし中華」をレンジから取り出すと、麺の上には氷片が残っている。これに付属のしょうゆだれをかけてかき混ぜると、冷たい冷やし中華が出来上がる。ちなみにたれは、袋から取り出したものをそのままかけるだけ。冷凍しても凍らないよう、甘くならないギリギリまで糖度を高めてあるとのことだ。

不思議な冷やし中華の秘密は、麺の上の氷。レンジで温めた後も氷は溶けずに残っている
不思議な冷やし中華の秘密は、麺の上の氷。レンジで温めた後も氷は溶けずに残っている
冷たいたれをかけてよくかき混ぜ、麺と一緒に解凍した具材をのせれば出来上がり
冷たいたれをかけてよくかき混ぜ、麺と一緒に解凍した具材をのせれば出来上がり

 冷やし中華を彩る具材は、煮豚、錦糸卵、オクラ、紅ショウガの4種類。冷やし中華の具材としてはハムやキュウリ、モヤシのイメージがあるが、飲食店の冷やし中華の場合、店の個性を出すためにハムではなく煮豚などを使うことが多いのだという。またキュウリやモヤシを使っていないことについては「含まれる水分量が多く、冷凍すると再現するのが難しいため断念した」と、ニチレイフーズ マーケティング部マーケティンググループ グループリーダー補佐の渡辺千春氏は説明する。

 冷やし中華といえば「しょうゆだれ」と並んで「ごまだれ」も人気だ。発売の予定はないのか尋ねると、渡辺氏は「今回は『しょうゆだれ』のみだが、いずれは『ごまだれ』も開発したい」と前向きな回答をくれた。近い将来、冷凍麺の「ごまだれ冷やし中華」が発売されることを期待してもよさそうだ。

冷やし中華の課題を一気に解決

 ニチレイフーズによれば、家庭用冷凍食品の市場は増加傾向にあり、「調理や食事を家庭外に依存するライフスタイル」が定着しつつあるとのこと。また、単身世帯の増加を受けて「パーソナルユース需要(1人前規格の主食・主菜や、片手で食べられる軽食メニューの需要)」も急増しているという。

個食商品で構成されている冷凍ラーメン類の市場は2019年と21年で比較すると37%も伸びている
個食商品で構成されている冷凍ラーメン類の市場は2019年と21年で比較すると37%も伸びている

 冷たい麺類のなかで「作るのが面倒だ」と思われているのが冷やし中華だ。ニチレイフーズの調査では8割以上が「手間のかかる冷たい麺類」として冷やし中華を挙げたとのこと。冷やし中華は麺をゆでてから冷水で締めるという工程に加え、うどんやそば、そうめんなどより多くの具材を用意しなければならないのがその理由だ。

 そこでニチレイフーズが着手したのが、火を使わず、短時間で作れる冷やし中華の開発。「氷を利用することはすぐに決まったが、麺と具材の両方を最適な温度、品質に仕上げることが難しく、構想から約5年、具現化するまでに約3年かかった」とニチレイフーズ 家庭用事業部 家庭用商品グループリーダーの城戸俊治氏は振り返る。

 ニチレイフーズでは商品の発売に先駆けて「#冷やし中華チンしました」と題した、「冷やし中華」2つをプレゼントする先行試食キャンペーンを22年1月14日にTwitterで開始した。SNSなどでは「画期的」と早くも話題になっており、3月の発売を待ち望んでいる消費者も多い。“カップ麺より短時間で作れる冷やし中華”がヒット商品になる可能性は高いとみる。

(写真提供/ニチレイフーズ)

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