電通は2021年11月、企業の従業員・経営層に向けてアート思考を学ぶプログラム「ビジョンスケッチ」の提供を開始した。アートをビジネスに生かす部門横断のプロジェクトチーム「美術回路」が担当している。
「アーティストやキュレータなどアート界との幅広いネットワークを生かし、企業のアート活用戦略について、幅広い視点からコンサルティングや実施に向けたサポートを統合的に行っている」と美術回路を推進する電通のクリエーティブディレクター、若林宏保氏は話す。もともとは美術館の広報支援を担当したことがきっかけで立ち上がったという。
ビジョンスケッチによるアート思考は、自己の問題意識を起点に新たなビジョンを生み出せるプログラムとして体系化したもの。デザイン思考は既にある顧客ニーズを起点に課題解決を目的とするが、現在の企業課題は先の見えない時代にビジョンをどう描いていくかにあるという。
「ビジョンを描く方法として、アート思考を活用できるのではないかと考えた」(若林氏)。アーティストは前提を疑い(問題提起力)、想像を働かせて見えないモノを形にし(想像力)、世の中と対話しながら(対話力)、作品を作り上げていく(実現力)という思考回路を持っている、と若林氏は言う。
現代美術が対象
ビジョンスケッチは、このアーティストが持っている思考回路を身につけ、自己の問題意識を起点にオリジナリティーのあるビジョンを描くきっかけを与えるプログラムだとしている。
「アート思考のワークショップの中にはアートを制作するだけ、アーティストと交流するだけというものもあるが、ビジョンスケッチはアーティストの思考回路を見つけられるプログラムとなっている」(若林氏)
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