東京企画(東京・千代田)のCM総合研究所は2021年12月9日、21年度(20年11月度~21年10月度)に放送されたテレビCMの中から消費者の支持を多く集めた商品・サービスを発表した。1位はKDDIの「au」で、7年連続の受賞となった。

テレビCMに対する好感度は商品・サービスの購入行動に直結するため、どの企業も力を入れている
テレビCMに対する好感度は商品・サービスの購入行動に直結するため、どの企業も力を入れている
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 新型コロナウイルス感染症の流行拡大で巣籠もり生活が常態化した2021年は、どんなテレビCMが消費者の支持を集めたのか。CM総合研究所が発表した「BRAND OF THE YEAR(ブランド・オブ・ザ・イヤー)2021」のトップ10は以下の通りだ。

2021年度銘柄別CM好感度トップ10(全6737銘柄)
※2021年度のCM展開(東京キー局):2454社/6737銘柄/14742作品、集計期間:20年10月20日~21年10月19日、関東1都6県在住の一般モニター 男女3000人の「月例CM好感度調査」の12カ月分より集計(CM総合研究所調べ)
※2021年度のCM展開(東京キー局):2454社/6737銘柄/14742作品、集計期間:20年10月20日~21年10月19日、関東1都6県在住の一般モニター 男女3000人の「月例CM好感度調査」の12カ月分より集計(CM総合研究所調べ)
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 21年度にテレビCMが放送された全6737ブランドの中で、最もCM好感度が高かったのはKDDIの通信事業ブランド「au」だった。auは15年度から7年連続の1位。同ブランドでは松田翔太、桐谷健太、濱田岳が桃太郎、浦島太郎、金太郎を演じる「三太郎シリーズ」、神木隆之介、松本穂香らを起用した「意識高すぎ!高杉くん」などを展開している。

 今回発表されたランキングのうち、上位6位までを通信・サービス業が占めた。これには、シェアの奪い合いが繰り広げられている通信・サービス業各社が、自社のブランドイメージをアップするために積極的にテレビCMを展開したという背景がある。CM総研の関根心太郎代表は「マインドシェアがアップすると、人はそのブランドに良い印象を持つ。CMに好印象を持てば、それが通信事業者選びにも有利に働くのは間違いない」と話す。

auの「三太郎シリーズ」は25作品が放送された。写真は村山輝星が桃姫を演じる「5G・桃姫登場」篇
auの「三太郎シリーズ」は25作品が放送された。写真は村山輝星が桃姫を演じる「5G・桃姫登場」篇

 また作品別でCM好感度が高かったのは、ブランド別で9位となった出前館のテレビCM。赤い法被を着たダウンタウンの浜田雅功が昭和の流行歌「スーダラ節」の替え歌でサービス名を連呼する「Demae-canの歌」は、「BRAND OF THE YEAR 2021」と同日に発表された「消費者を動かしたCM展開」で特別賞を受賞している。

 CMが始まった20年7月と21年3月で比較すると、出前館の認知度は27%向上したという。また20年9月から21年8月までの同社の流通取引総額は、前年同期比の158%を記録したとのことだ。

浜田雅功が「で、で、出前館、出前がすいすいすい~」と歌う「Demae-canの歌」
浜田雅功が「で、で、出前館、出前がすいすいすい~」と歌う「Demae-canの歌」
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 出前館と同様、巣籠もり需要を背景に注目されたのが、ブランド別CM好感度で7位のウーバーイーツだ。このブランドは「今夜、私が頂くのは……」をキーワードにシリーズ展開しているが、特に話題となったのが松嶋菜々子がMatt風メークアップを披露した作品。同サービスの登録店舗数は21年9月時点で前年比約2.2倍の13万店を超えたという。サービス提供エリアの拡大や取扱商品の増加など、いくつかの要因が考えられるとはいえ、テレビCMも登録店舗数の伸びに貢献したことは間違いない。

松嶋菜々子のまさかのMatt化で話題になったウーバーイーツのテレビCM
松嶋菜々子のまさかのMatt化で話題になったウーバーイーツのテレビCM
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 CM好感度では13位となったが、日清食品のカップヌードルも関根代表が注目しているブランドだ。天井や壁から飛んでくるイカをよけながら踊る人のアニメーションがネットをざわつかせた「イカよけダンス」篇や、チーズ星人が自分の頭部を削る「パラパラパウダー」篇など、人の目を引きつけるテレビCMを次々と展開し、若者層に支持された。

アニメーションの独特な動きから目が離せなくなる日清食品カップヌードルの「イカよけダンス」篇
アニメーションの独特な動きから目が離せなくなる日清食品カップヌードル シーフードの「イカよけダンス」篇
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 「SDGs(持続可能な開発目標)に取り組んでいることをアピールする企業は多いが、消費者はそうしたメッセージには興味がない。そこに刺さるテレビCMを作れるかどうかはアイデア勝負。テレビCMではないが、日清食品が『フタ止めシール』を廃止してプラスチック原料を削減すると発表したときはTwitterに10万件以上の『いいね』が付いた。日清食品はコミュニケーション活動を通じた話題づくりに長けている」(関根代表)

 21年度に東京キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)で放送されたテレビCMは2454社、6737ブランド、1万4742作品で、放送回数は148万2303回に上る。「20年度のテレビCMは、コロナ禍で自粛生活を強いられていた人たちを元気にさせようという傾向が強かった。しかし、21年の春以降はニューノーマルの中でも広告活動を通して経済を活性化しようという気運が高まり、そのためにテレビCMを活用したブランドが目立った」と関根代表は21年度のテレビCMを振り返った。

(写真提供/KDDI、出前館、ウーバーイーツジャパン、日清食品)