メルカリが2021年11月25~27日の3日間限定で、初のファッション実店舗を立ち上げた。過剰消費や売れ残りが懸念されるブラックフライデーへのアンチテーゼとして、自社のフリマサービスを訴求する。ユーズドアイテムだからこそ実現する、循環型の消費サイクルを促す。
25日間の応募期間で、約5万点が出品
メルカリが3日間限定でオープンした初のファッション店舗は「サステなストア」。渋谷区神宮前にあるレンタルスペースを用いて、メルカリで出品されているアクセサリーや小物などのファッションアイテム、レトロ商品など約450点を販売する。来店は事前予約制で、1日あたりの想定来客数は140人。
店頭に置かれるアイテムは、メルカリで「#サステなストア」とハッシュタグをつけて出品された、5万点を超えるアイテムから選別した(応募期間は21年10月5~30日)。売上金はすべて、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)を推進する団体に寄付される。
なぜこの時期に、3日間限定なのか。メルカリジャパンCBO兼CMO(チーフ・ブランディング・オフィサー兼チーフ・マーケティングオフィサー)の野辺一也氏は、欧州を中心に広がる「グリーンフライデー」という取り組みにからめ、サステなストア出店の経緯をこう語った。
「グリーンフライデーは、(大規模なセールが行われる)ブラックフライデーのアンチテーゼに近い取り組みと考えている。ブラックフライデーは消費喚起を促す一方、大量生産や過剰消費といった課題もある。そこでメルカリは、『グリーンフライデー』という表現で、環境に与えるポジティブな影響を理解し、中古品の価値を再認識してもらうきっかけをつくれればと考えた」
ブラックフライデーとは、毎年11月の第4金曜日(2021年は11月26日)に行われる、年末商戦を意識した大型セールのことだ。もともと米国発祥の文化が、クリスマス消費も後押しして日本に浸透。現在ではイオンなどのリテールや、アマゾンジャパンなどのECでも割引を行う。こうした新品商品のバーゲンセールが各所で行われる一方、過度な生産と消費により、地球環境に負荷がかかるという懸念も生まれている。
こうした中、持続可能な消費サイクルを啓発する目的で広がっているのがグリーンフライデーだ。メルカリは、自社のフリマサービスを活用し、サステナブルな活動を実店舗で体感してもらうことでこの取り組みに参加する。店頭には、環境負荷やSDGsの知見を深めてもらうためポップも設置した。
店頭商品はユーザーが使用した中古品のため、商品が売れるほど循環型社会への貢献につながると考えられる。そのためメルカリは、来店者が自然に買い物を楽しんで、よりサイクルが回るような工夫を施した。サステなストアに出品するアイテムを、タレントでモデルの池田美優をはじめとした、本プロジェクトのアンバサダーに選定してもらった。
出品者には「自分の商品が選ばれるかもしれないという期待感」で応募してもらい、購入者には「有名人が選んだというブランド」で消費を促す。中古の商品でありながら、付加価値をつけて売買の流れを生み出す狙いだ。
池田は「(出品数が5万点を超え)多くの方に参加していただき、皆さんの意識の高さを感じる。今は、気軽に出品したり、買い物をしたりするだけでも、サステナブルなアクションの1つになるのを知ってもらえたら」と語った。
サステなストアの商品は、メルカリのECサービス「メルカリShops」でも販売。店舗が開店する3日間限定で、全国各地のユーザーにも商品を購入してもらう。
「メルカリのサービスがスタートして約8年経過している中、これだけ多くの方に短期間で受け入れられているのは、社会的な背景として循環型を意識した消費行動が一般化してきているから」と野辺氏。世間的にも循環型社会の価値観が浸透する中、ブラックフライデーの時期にぶつけた取り組みで、自社の活動をより広く訴求する。
(写真提供/メルカリ)