新型コロナウイルス禍で密を避けた屋外のレジャーとして、キャンプなどアウトドアが人気だ。コロナ禍をきっかけにアウトドアを始めたユーザーも多く、今後2~3年は高水準で推移するという見方もある。そんな中、キャンプ用品の代名詞とも言えるメーカー、コールマンは、現状をどう見ているのか? 日本法人であるコールマン ジャパン(東京・港)の中里豊社長に話を聞いた。

コールマン ジャパン 中里豊社長。1972年生まれ。米サンダーバード国際経営大学院を修了後、96年丸紅に入社。その後、日本ロレアルでロレアル パリやケラスターゼの事業部長を経て2015年11月、コールマン ジャパンの代表取締役社長に就任
コールマン ジャパン 中里豊社長。1972年生まれ。米サンダーバード国際経営大学院を修了後、96年丸紅に入社。その後、日本ロレアルでロレアル パリやケラスターゼの事業部長を経て2015年11月、コールマン ジャパンの代表取締役社長に就任

転機は2011年、東日本大震災から

――「アウトドアブーム」といわれる昨今ですが、コールマン ジャパンとしてそれを実感するようになったのはいつごろからでしょうか。

中里豊社長(以下、中里) コロナ禍以降は確かにブームと呼べる状況にありますが、その前から徐々にすそ野は広がってきていました。弊社として実感したのは2010年ごろからで、特に11年の東日本大震災の後、アウトドアのマーケットが動き始めたと認識しています。14、15年ごろからは、さらに手応えを感じるようになってきました。

 東日本大震災は多くの方が命を落とす、非常に悲しい出来事でした。経済にも打撃がありましたし、何より「日常の生活で何が大切なのか」といったことを考え、家族との生活、余暇などに目を向けるきっかけにもなったと思います。

 一方で、都市機能が失われた中で生活するための避難用品として、アウトドア関連商品に関心を寄せる人が増え、キャンプやキャンプ用品の価値、重要性が見直された点も否めません。

――確かに、東日本大震災は防災意識の面でも大きな転機となったと思います。さらにここにきてコロナ禍による生活様式の変化による影響も指摘されています。御社の事業にも変化はありますか。

中里 右肩上がりだった売り上げが一層伸びました。コロナ禍において成長速度がさらに増しました。

 ソロキャンプブームでソロ関連商品が売れていますが、少し大きな枠でとらえると、エントリーユーザーがどんどん多様化しているという認識です。

 1990年代にあったアウトドアブームはRV(多目的用途の車)人気が中心にあり、キャンプ場にいるのは、ほぼ全員ファミリーキャンパーという状況でした。今のアウトドアブームは、引き続きファミリー層が中心ながら、男性同士、女性同士、若い人同士、それにブームを機に増えたソロキャンプの人たちもいます。ひとくちにソロキャンプと言っても、気の合う人たちが現地で落ち合うなど、以前とは異なる楽しみ方もされています。

 強く感じるのは、それぞれが自分なりのライフスタイルを楽しんでいることですね。コロナ前後で大きく変わったというよりも、そうしたエントリー層の多様化と、ソロキャンパーの増加がより加速しているという印象です。エントリー向けの道具は数も幅も大きく増えています。

――ソロキャンプブームが始まったのはいつごろでしょうか。

中里 ソロキャンプという言葉がよく聞かれるようになったのは3年ほど前からですが、それよりさらに2~3年前から動きはありました。そういう意味でもコロナ前、コロナ後で製品の売り上げ動向に大きな違いはありません。

 強いて違いを挙げるなら、ベランダでグランピングのような楽しみを味わう「ベランピング」など、私どもの製品を「家の中で使うケース」が増えたことでしょうか。すそ野が広がった実例の1つです。

 スペースが限られたベランダにアウトドア用のテーブルセットなどを置いて、ちょっとしたダイニングスペースのように活用する方もいて、私自身、Instagramなどで皆さんの写真を拝見するのが楽しみになっています。

コールマンの2022年新商品「ソロキャンプスタートパッケージ」(税込み7万6800円)。テント、ランタン、調理器具、たき火台、寝袋と、ソロキャンプの必須アイテムがそろうパッケージ。しかも全アイテムを専用のキャリングケースに収納できる。カラーリングに統一感があり、ソロキャンプブームの中央を撃ち抜く戦略性が感じられる(2枚目)
コールマンの2022年新商品「ソロキャンプスタートパッケージ」(税込み7万6800円)。テント、ランタン、調理器具、たき火台、寝袋と、ソロキャンプの必須アイテムがそろう。しかも全アイテムを専用のキャリングケースに収納できる。カラーリングに統一感があり、ソロキャンプブームの中央を撃ち抜く戦略性が感じられる
コールマンといえばガソリンランタンが有名だが、今の売れ筋はLED光源のもの。「クアッドマルチパネルランタン」は4面の発光パネルが取り外し可能で、多彩な使い方に対応する。スマートフォンの充電に使えるUSBポートを装備しているところも人気の理由
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