紙加工を専門とする福永紙工(東京都立川市)は「UNBOX(アンボックス)」と名付けたプロジェクトを立ち上げた。「箱」をテーマとし、「箱を、再発明する。」がコンセプトだ。ターゲットはパッケージにこだわりたいメーカーやブランド、あるいはプランナーやデザイナーなど。BtoB(企業間取引)を目的としている。
一般的に箱はパッケージの一部で、それだけでは商品として成り立たない。しかしネット通販の台頭で購入体験が考え直されており、コミュニケーションの一環として梱包に注目が集まりつつあるという。
アンボックスのクリエイティブの担当は、山田十維氏や坂本俊太氏を中心に活動するデザイナーズコミューンのNEW。業種の異なる4つの店舗の協力を得て、各商品のための箱を商品と展示した。それぞれの箱を「○○店のためのアンボックス」と名付けているが、サイズやグラフィックを変えればほかの商品にも応用できるように工夫している。今回の展示がきっかけで、実際のブランドに採用された例もある。
同社はこれまで「空気の器」や「テラダモケイ」など、クリエイターとのコラボレーションによる一般消費者向けの自主製作プロダクトを発表してきた。今回のターゲットはパッケージにこだわりたいメーカーやブランド、あるいはプランナーやデザイナーなどで、BtoB事業を目的としている。構造設計や製作を得意としている同社が、生業に立ち返った企画ともいえる。2021年9月24~28日、立川市にある複合施設「GREEN SPRINGS」内の店舗「TAKEOFF-SITE」で「Pop-Up Stores by UNBOX」と題した展示会で作品を発表した。
○○店のためのアンボックス
1つ目は、「パン屋のためのアンボックス」。店舗でパンを選ぶときは平面のトレーとして、持ち帰るときはバッグとして機能する。トレーの縁となる両端に紙が蛇腹状に折り畳まれており、それぞれの端を持ち上げることでドーム形の形状を生みだす。展示会では、地元のベーカリーショップ「Sesto」(運営はトラスパレンテ=東京・目黒)のパンやタルトをトレーに乗せ、包んで実際に持ち帰ることができた。
2つ目は、「花屋のためのアンボックス」。花を持ち帰るときは袋として、家では花瓶として使える構造を開発した。折り返すことで自立が可能となり、家に花瓶がない人でもコップやペットボトルを使えば簡易的に花を飾れる。グラフィックを工夫することで、それぞれのブランドの個性も出せるようにした。
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