公益財団法人日本デザイン振興会(東京・港)が「2021年度グッドデザイン大賞」を発表した。大賞に輝いたのは、コミュニケーションロボットの研究・開発などを手がけるオリィ研究所(東京・中央)が運営する「分身ロボットカフェDAWN ver.β(ドーン バージョンベータ)」と、同社が開発する分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」だ。

東京・日本橋にある「分身ロボットカフェDAWN ver.β」は、難病などで外出困難な人々が「分身ロボットOriHime」を遠隔操作し、サービススタッフとして働くカフェ。給与も払っている(写真/丸毛 透)
東京・日本橋にある「分身ロボットカフェDAWN ver.β」は、難病などで外出困難な人々が「分身ロボットOriHime」を遠隔操作し、サービススタッフとして働くカフェ。給与も払っている(写真/丸毛 透)

 大賞は2021年11月2日に発表した。グッドデザイン金賞受賞者の中から大賞候補として選出された5件の中から、国内外のデザイナーや建築家、専門家などの審査委員に加え、一般からの投票で選出した。21年度の応募数は約5800件で、20年度から約1000件増えた。グッドデザイン賞受賞は1608件。その中から大賞のほか、金賞に19、グッドフォーカス賞に12の企業・団体を選出した。

授賞式の様子。前列左から日本デザイン振興会理事長の深野弘行氏、2021年度グッドデザイン賞審査委員長の安次富隆氏、大賞を受賞したオリィ研究所の吉藤健太朗氏、審査副委員長の齋藤精一氏。後列は最終審査に残った4企業・団体の代表者
授賞式の様子。前列左から日本デザイン振興会理事長の深野弘行氏、2021年度グッドデザイン賞審査委員長の安次富隆氏、大賞を受賞したオリィ研究所CEO(最高経営責任者)の吉藤健太朗氏、審査副委員長の齋藤精一氏。後列は最終審査に残った4企業・団体の代表者

 分身ロボットカフェDAWN ver.βと分身ロボットOriHimeは、障害を抱える就労希望者を社会とつなげるためのカフェとロボット。遠隔操作できる分身ロボットOriHimeを開発し、それを活用して就労できるカフェと組み合わせた。外出困難者が自らロボットを遠隔操作し、自宅などから接客できるようにした。18年からのテストを経た結果、21年6月に今回の常設店を開店。ここでOriHimeを操作していた外出困難者が別の企業に就職できたケースもあるという。社会課題を最新のテクノロジーによって解決できた好例だろう。

外出困難者の就労を支援

 オリィ研究所CEO(最高経営責任者)の吉藤健太朗氏は大賞受賞のスピーチで「身体機能が不自由な先輩の、仕事をしたいという望みをかなえたい一心から始まったプロジェクト。さらに研究を進め、寝たきりで体が動かなくても、自分の意志でいつでも会いたい人に会え、行きたいところに行け、社会に参加し続けられる未来をつくりたい」と語った。

 審査委員長の安次富隆氏は「21年度のテーマ『希求と交動』は、人や社会、自然がこいねがう気持ちを交感させながら、新しい未来をつくるために共に動くという意味。OriHimeはまさにそれをかなえるものであると、審査員らの共感を大いに集めた」と述べた。

「グッドデザイン金賞」を受賞した19件のうち大賞候補となった作品
ワークヴィジョンズ(東京・品川)と黒岩構造設計事ム所(熊本市)、竹味佑人建築設計室(東京・豊島)による「小さくても地域の備えとなる災害支援住宅[神水公衆浴場]」
ワークヴィジョンズ(東京・品川)と黒岩構造設計事ム所(熊本市)、竹味佑人建築設計室(東京・豊島)による「小さくても地域の備えとなる災害支援住宅[神水公衆浴場]」
台湾のHair O'right International Corporationによる「Operations The best sustainability-oriented organizational adaptation to climate change」
台湾のHair O'right International Corporationによる「Operations The best sustainability-oriented organizational adaptation to climate change」
富士フイルムによる「移動型X線透視撮影装置 FUJIFILM DR CALNEO CROSS」
富士フイルムによる「移動型X線透視撮影装置 FUJIFILM DR CALNEO CROSS」
国土交通省都市局都市政策課による「3D都市モデル PLATEAU[プラトー]」
国土交通省都市局都市政策課による「3D都市モデル PLATEAU[プラトー]」

(写真提供/日本デザイン振興会)

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