コロナ禍で働き方が変わるなか、これからのオフィスはどうあるべきか。課題を解決するため、イケア・ジャパンが法人向けの登録制サービスを2021年7月から展開している。家庭用の家具を開発・販売するイメージの強い同社が、企業へどのように新しいオフィスの在り方を提案し、商品を売り込むのか。
「テレワークにメリットを感じている人は89.8%、デメリットを感じている人は84.5%」
これはイケア・ジャパン(千葉県船橋市)が2021年10月5~7日に、週1回以上テレワークを実施している全国の企業の会社員600人にアンケートを行った結果だ。「通勤時間の削減」や「人間関係のストレスの軽減」などテレワークの利点を感じると同時に、「運動不足」や「オン・オフの切り替えがしづらい」などの弊害を実感する人が多いようだ。
同アンケートでは、新型コロナウイルス収束後に出社したい人が78.2%に上ることも判明。同僚との会話や雑談を求める声が多く上がり、約3分の2にあたる社員が、勤務先のオフィスにコミュニケーションスペースが欲しいと回答した。
アンケートの結果を受けて、イケア・ジャパン イケアビジネス総責任者の佐川季由氏は、現在のオフィスには「リモートと出社のハイブリッド」と「社内でのコミュニケーション」を求める声が増えていると分析。
「BtoBでも、ホームファニシング(家庭用家具)の知識、機能性とデザインに優れた幅広い商品、手ごろな価格、オムニチャネルへのニーズがある。また、法人向けに今後実現していく要望としては、コミュニケーションスペースの確保や導入コストの削減、サステナビリティー(持続可能性)の観点がある」(佐川氏)とした上で、BtoBにもイケアの強みは生かせるという見解を示した。
同社では、10年10月から法人向けサービスを展開。21年7月には、入会費・年会費が無料の法人向け登録制サービス「IKEA Business Network」を開始するなど、BtoB事業を強化している。
BtoB事業の核となるのは、約9500点のイケアの商品群だ。「特別、BtoB向けに家具を作っているわけではないが(従来、イケアが販売している商品の)低価格、サステナブル、美しい形状、高品質、機能性といった要素から、法人ユーザーのニーズも満たせる」(佐川氏)
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