茨城県に本拠を持つ酒造会社、明利酒類(水戸市)が、厚生労働省から指定医薬部外品の製造販売承認を得て、アルコールを活用した手指消毒液「MEIRIの消毒」を2021年11月24日に発売する。総合アルコールメーカーへの転身を図る同社の取り組みを追った。

2021年11月24日に発売される「MEIRIの消毒」。1リットル入り、5リットル入り、20リットル入りをラインアップ。価格はオープン価格。商品パッケージやブランディングは、レイ・イナモト氏率いるI&CO(アイアンドコー)に東京オフィスが手がけた(写真提供/明利酒類)
2021年11月24日に発売される「MEIRIの消毒」。1リットル入り、5リットル入り、20リットル入りをラインアップ。価格はオープン。商品パッケージやブランディングは、レイ・イナモト氏率いるI&CO(アイアンドコー)東京オフィスが手がけた(写真提供/明利酒類)

 江戸時代の酒造店を前身とし、清酒「副将軍」などを販売する明利酒類は、「MEIRIの消毒」を製造・販売するに当たり、約1億2000万円を設備投資して、医薬部外品となる消毒用アルコールを製造するための新工場を2021年6月に建設した。酒造会社の片手間などではなく、自社の新規事業として、公衆衛生事業を第2の柱に育てることを狙っている。

まず度数65%のウオッカを消毒液の代用品として発売

 明利酒類が新規事業に取り組むきっかけとなったのは、新型コロナウイルス感染症の拡大だ。酒造りのために地下40メートルからくみ上げていた地下水を、断水時には近隣に無償で配るなど、もともと地域貢献・社会貢献を意識してきた同社は、感染拡大が本格化してきた20年3月、市中から消毒液やマスクが消えてしまったのを目の当たりにし、「何かできないか」と考える。

 そこで始めたのが、高濃度アルコール「メイリの65%」の発売だった。アルコール度数65%のウオッカを500ミリリットル瓶に詰めて売り出し、入手が難しい消毒液の代用に使ってもらうようにしたのだ。

「メイリの65%」(写真提供/明利酒類)
「メイリの65%」(写真提供/明利酒類)

 20年4月には、新たなアルコールの活用方法を模索する社内タスクフォース「チームMEIRI」を立ち上げ、経済産業省から工業用アルコールの使用に関する許可を得た上で、大容量の除菌用アルコール製剤「MEIRIの除菌 MM-65」を「食品添加物」として開発した。

 明利酒類は、この「MEIRIの除菌」150キロリットル分を、消毒液が行き渡らない地元・茨城の自治体や小中学校へまず寄贈。その後、20年6月から生産を本格化して、主に医療機関や一般企業などの法人向けに販売を開始した。

「MEIRIの消毒」(左3点、左から20リットル入り、5リットル入り、1リットル入り)と「MEIRIの除菌」(右2点、左から16.6リットル入りと5リットル入り)
「MEIRIの消毒」(左3点、左から20リットル入り、5リットル入り、1リットル入り)と「MEIRIの除菌」(右2点、左から16.6リットル入りと5リットル入り)

レイ・イナモト氏のI&COが参加

 実はチームMEIRIには、明利酒類の社員だけでなく、米ナイキや独アウディなどのデジタル戦略とクリエイティブを手がけるなど、世界的に著名なクリエイティブディレクターであるレイ・イナモト氏らが創業したI&CO(アイアンドコー)の東京オフィス(I&CO Tokyo、東京・渋谷)のメンバーも、事実上参加していた。以前、博報堂に勤務していた明利酒類の執行役員社長室長である加藤喬大氏が、I&CO Tokyoのデザイナーであった橋本明花氏と知り合いだったため、I&COに「MEIRIの除菌」の商品パッケージのデザインやブランディングを依頼したのだ。

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