統合マーケティング支援のサイカ(東京・千代田)は2021年11月12日、広告効果分析ツール「ADVA MAGELLAN(アドバ マゼラン)」に新機能を追加した。広告によるブランディング効果が、中長期的に売り上げに与える残存効果を測定する新機能「ブランド・エクイティ分析機能」だ。広告出稿後、時間が経過しても一定のブランド認知は記憶に残り続ける。そうした持続した効果を明らかにする機能だ。

統合マーケティング支援のサイカ(東京・千代田)は2021年11月12日、広告効果分析ツール「ADVA MAGELLAN(アドバ マゼラン)」に、広告の残存効果を10年先まで予測分析できる機能を加えた
統合マーケティング支援のサイカ(東京・千代田)は2021年11月12日、広告効果分析ツール「ADVA MAGELLAN(アドバ マゼラン)」に、広告の残存効果を10年先まで予測分析できる機能を加えた

 ADVA MAGELLANは広告主の持つさまざまなデータを統合的に分析するツール。マス広告、デジタル広告、小売店への配荷情報など、売り上げに与えるマーケティング施策の影響度をオンライン、オフライン問わず統合的に分析して、効果の高い施策からマーケティング予算の正しい配分を見極め、全体最適化するための分析ツールだ。

 従来、デジタルマーケティング部門とマス広告中心の宣伝部は部門が異なり、個別最適に陥りがちだった。例えば、検索連動型広告の効果分析に使われる重要な指標の1つがCPA(顧客獲得単価)だ。広告のCVR(コンバージョン率)を高め、CPAが下がることで、広告効率を高められる。そのために顧客化につながりやすい検索キーワードを精査したり、競合の出稿状況を鑑みて、広告費を変えたりするなどの最適化を施すことが、広告効率の向上には有効だ。検索連動型広告だけを出稿していれば、効果分析はやりやすい。

 ところが、複数の広告施策を並行していた場合はそう単純ではない。もしテレビCMを並行して放送していた場合、検索連動型広告のコンバージョンに大きな影響を与える要因になる可能性が高い。テレビCMを見て関心を持った層がブランド名や商品名で検索すれば、当然コンバージョンにつながりやすいからだ。そうしたテレビCMの影響を鑑みずに検索連動型広告のデータだけで分析しても、広告効果を正しく評価できないことになる。

 消費者の購買行動は、デジタルメディアや新たなデバイスの普及でより複雑化している。さまざまな接点で情報を得て、商品を購入している。施策ごとに単一で分析していては、そうした消費行動に見合った分析ができなくなる。企業側は売り上げに結び付いた複数の要因を統合的に分析し、マーケティングプランの全体最適を施すことが求められている。

 ADVA MAGELLANはそうした全体最適を支援するツールとして開発された。売り上げ、テレビCMの出稿データ、デジタル広告の出稿データ、価格、店舗への配荷情報などさまざまなデータを取り込み、独自のアルゴリズムで相関関係を導き出し、参考データとして見られるようになる。

 「全体の分析は非常に手間がかかり、多くの企業は1年に1回の実施がせいぜいだった。ADVA MAGELLANを有効活用する企業は、月次でPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回せるようになっている」とサイカCEO(最高経営責任者)の平尾喜昭氏は言う。

記憶に残るCMの効果を分析

 このADVA MAGELLANに新たに加わったのが、ブランドの残存効果を分析するブランド・エクイティ分析機能だ。平尾氏はブランド残存効果を、人材派遣会社のスタッフサービスがかつて放送していたテレビCMを一例に挙げる。荒唐無稽な上司の命令に悩む人々を背景に流れてくるチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」と「オー人事」のフレーズが印象的なテレビCMは、記憶に残っている読者も多いだろう。1997年から2004年まで約6年間シリーズ展開されたCMで、2018年に14年ぶりに放送されていた。

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