プラントベースフードのカフェ「2foods」が2021年11月2日、6店舗目となる銀座ロフト店をオープンした。21年4月に開店した渋谷ロフト店に続く2つ目の旗艦店ながら、メニューは全商品のうちの約2割に絞った。その裏には、日本でなじみの薄いフードテックを浸透させるための戦略があった。

2foodsで提供されているドーナツ。カラフルな見た目が印象的だ
2foodsで提供されているドーナツ。カラフルな見た目が印象的だ

 ショーケースを彩る、カラフルにコーティングされたドーナツ。一見すると派手だが、見た目からは想像がつかないほどヘルシーな一品だ。合成着色料や化学調味料などの添加物は一切入っておらず、乳製品や卵など動物性由来の原料は使用していない。油は低トランス脂肪酸のものを選び、特殊なフライヤーで吸油率を50%に抑えている。

 このドーナツはTWO(東京・渋谷)が手がける、プラントベース(植物由来原料)の食品ブランド「2foods」の商品だ。同ブランドはカレーや担々麺などの主食から、アイスやガトーショコラといったスイーツまで、幅広いメニューを開発・販売している。

2foodsのロゴ画像。プラントフードベースのブランドとして2021年4月に発足した
2foodsのロゴ画像。プラントフードベースのブランドとして2021年4月に発足した

 プラントベースフードは今世界で注目を集めるフードテックの一分野だ。プラントベースフードは人口増加による動物性たんぱく質不足を補う代替食として台頭し、二酸化炭素(CO2)排出量削減など環境問題にも貢献。食の安全性も高く、人々の健康にも寄与するとされている。

 ただ、TWOの東義和CEO(最高経営責任者)によれば、日本では世界に比べてプラントフードの浸透が遅れているそうだ。その大きな要因として、プラントフードが環境や食糧不足に貢献するという商品背景や社会貢献としての役割が、ユーザーに十分理解されていない点を挙げた。

 そこで2foodsは商品自体のおいしさやヘルシーさ、リピートにつながる中毒性を意識した。ユーザーに直接響く五感に訴えた商品開発で、新規層を取り込む工夫を施した。

コロナ禍で店舗展開を進める理由

 2foodsのコンセプトは「ヘルシージャンクフード」。特徴はヘルシーでオーガニックなのに、病みつきになる味わいだ。店内で食べたドーナツは生地が分厚く、油の匂いが香ばしかった。生地はふわっともちもちで小麦の風味が広がる。コーティングされた砂糖は人工甘味料不使用でもしっかりと甘く、ドーナツチェーン店に近い食べ応えを感じた。

 ユーザーに受け入れられるには、「プラントベースフードが持つ機能的な健康さやエシカルという要素に、おいしさが必要。ジャンクとヘルシーの要素をくっつけた、『ヘルシージャンクフード』というのが我々の開発コンセプト」(東CEO)と説明する。

TWO代表取締役CEOの東義和氏
TWO代表取締役CEOの東義和氏

 この「ヘルシージャンクフード」を掲げて、同社は2021年4月、都内3店舗と自社ECサイトを立ち上げ、飲食業界に参入。そこからコンスタントに店舗を増やし、11月2日に6つ目となる銀座ロフト店を開店した。21年4月に開店した渋谷ロフト店に続く2つ目の旗艦店となる。

 コロナ禍が続く中での新店舗オープンとなったが、東CEOは店舗展開を「(ブランドを売り込む)投資的な感覚」と述べる。「コロナ禍の影響を踏まえた上でのローンチということもあり、(集客というよりは)どちらかというと、我々のプロダクトがどういう風に受け入れられていくかの検証をしたい」(東氏)

 2foodsにとって、開店当初の店舗の役割は売り上げを上げることがメインではない。ブランド発足から日が浅い段階では、まずブランドを認知してもらうことが重要だと言う。プロモーション効果やユーザーとの接点の増加を狙って、店舗を運営していく方針だ。

 「2foodsはビーガン(完全菜食主義者)向けや、プラントベースフードに関心のある方だけに提供するのではなく、より広い方に受け入れてもらうためにブランドコンセプトをつくってきた。店舗へふらっと入った方に、おいしさを感じてリピートしてもらい、結果的に植物性由来の商品だと気づいてもらうのが、我々の望んでいる答え」(東氏)

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