ファミリーマートとその親会社である伊藤忠商事の第8カンパニーが、デジタル技術とデータを生かした新ビジネスの展開に力を入れている。2020年10月にNTTドコモ、サイバーエージェントとともに4社で設立したデータ・ワン(東京・千代田)がデジタル広告で実績を上げているのに加え、21年9月には、ファミリーマート店内に設置したデジタルサイネージに対してコンテンツや広告配信を手がける新会社ゲート・ワン(東京・港)を2社で設立。データ・ワンとの連携も強めて、事業を拡大していく構えだ。
「ファミリーマートと取引のある飲料や食品、日用品のメーカーを中心に、当社が取引する企業(アカウント)の数、取引額とも、この1年で順調に増えている。5年後に売り上げ100億円という創業当初の目標達成は視野に入った」
こう語るのは、データ・ワンの太田英利社長だ。データ・ワンでは、ファミマでの購買履歴などを整理・分析。広告主であるメーカーが希望する想定ユーザー向けに、データに基づいたターゲティング広告を配信。その結果、実際に購買につながっているかをファミマの店頭POS(販売時点情報管理)などで確認できる。広告が実際の購買につながっているかを検証可能で、しかもPDCAサイクルを回しながら広告の精度を引き上げることができる点が、広告主から評価された。
マス媒体を使った大規模な広告を展開する前に、広告主がデータ・ワンのデジタル広告を使ってABテストを実施し、どのクリエイティブが適しているかを判定するという、「当初は想定していなかった利用法も増えている」(太田氏)という。
2021年9月には、化粧品EC「NOIN」を運営するノイン(東京・渋谷)とデータライセンス契約を締結。ノインの持つECサイト上で得られた購買履歴情報と、ファミマの購買履歴などデータ・ワンの持つデータを連係させて、広告主が求めるターゲティング広告の精度を引き上げることをまず狙う。「ファミマのデータだけだと化粧品など日用品の品ぞろえに限りがある。ノインのデータを連係させることで、手薄だったカテゴリーをカバーする」(太田氏)ことを考えた。もちろん、連係したデータを活用して、NOINへの送客やファミマへの送客にも積極的に取り組むという。
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