サントリー食品インターナショナルの法人向け新サービス「社長のおごり自販機」は、社員が2人そろって社員証をかざすと無料で飲み物が出てくる仕組み。法人向け自販機の新たな活用法を模索し続けている同社が考えた、コロナ禍におけるオフィスの課題解決策とは。

サントリー食品インターナショナルの法人向け新サービス「社長のおごり自販機」
サントリー食品インターナショナルの法人向け新サービス「社長のおごり自販機」

 同社はこれまでも、法人向け自販機の新たな活用策を次々と繰り出してきた。2018年には自販機から弁当も注文できる「宅弁」を開始し、ランチタイムに混雑で昼食を食べられない“ランチ難民”の救済に挑戦(現在はサービス終了)。20年にはスマートフォンアプリと自販機を連動させ、社員が健康的な生活を促すタスクを達成するたびに自販機で健康飲料を入手できる「サントリープラス」を始動し、すでに200社に導入されている。

 サントリービバレッジソリューション 事業推進本部長の須野原剛氏は、法人向け自販機のポイントとして「需要が明確化しやすく、従業員に直接届けられる」点を挙げる。

「法人向け自販機は需要が明確化しやすく、従業員に直接届けられるのもポイント」とサントリービバレッジソリューション 事業推進本部長の須野原剛氏
「法人向け自販機は需要が明確化しやすく、従業員に直接届けられるのもポイント」とサントリービバレッジソリューション 事業推進本部長の須野原剛氏

 法人の課題解決サービスとして健康促進に続いて設定した課題が、「コミュニケーションの活性化」だった。コロナ禍におけるリモートワークの急速な広がりにより、社員同士のコミュニケーションが希薄化してしまっているという声を多くの企業で聞いた若手社員が出したアイデアが、社長のおごり自販機だったという。

 宅弁に続いて今回の施策を発案したサントリービバレッジソリューション 事業推進本部の森新氏は、リモートワークのメリットとして、移動時間の削減、会議や情報共有のしやすさを挙げつつ、運動不足と並んで“雑談不足”も大きなデメリットだと指摘する。

 「2、3分で済むようなほんのちょっとしたことが聞きづらい。私自身、雑談からアイデアを生み出してきたが、雑談のためにリモート会議を開くわけにもいかず、歯がゆい思いをしていた。企業によってはコロナ禍以降に入社した同期社員同士がいまだに会えていないケースもあると聞く。若手社員の孤立も深刻な問題」という。

 雑談の機会と効果について日本能率協会(東京・港)がビジネスパーソン1000人に調査したところ、テレワークを実施している人の8割以上が「雑談がしにくくなった」と感じ、全体の6割以上が「雑談が生産性や創造性を高める」と答えていることが分かった。

 森氏は「雑談不足に自販機そのものが役立てるのではと考えた。目指したのは、あいさつ以上、食事未満のコミュニケーション」と話す。

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