コロナ禍の米国では「極小住宅」が注目され始めた。厳格な定義はないものの、おおむね総床面積が500平方フィート(約46平方メートル)以下の住宅とされているようだ。この中にキッチンやバスルーム、寝室、リビングルームが造り込まれている。日本の住宅事情でいえば2DKぐらいの広さといえるが、米国人には極小住宅なのだろう。
一般に米国の住宅は広い。2019年に建てられた新築住宅の平均総床面積は2531平方フィート(約235平方メートル)で、1975年と比べて約2倍(統計の出所はhttps://bit.ly/3AG82Ub)。全体的には大型化が進んでいる一方で、床面積が5分の1ほどの極小住宅が人気となった理由は何か。
1つはコロナ禍前からある住宅の高騰だ。都市部はアパートの賃貸料も高く、住む場所を確保するためにシェアハウスと並行して極小住宅や「極小アパート」も登場した。もう1つは、余計なものを持たない「生活のミニマル化」だろう。地球環境に優しい生活スタイルというイメージがあり、若い世代ではなるべく所有せず、車さえ持たない人々が多くなった。極小住宅もミニマル化の一環のようだ。
極小住宅にはいろいろなタイプが出てきている。建築家がクライアントのためにデザインする住宅もあれば、住宅メーカーやトレーラーメーカーが手がける住宅もある。住宅用だけでなく、別荘用や移動休暇用などもある。図面だけを売る企業も出てきた。コロナ禍で注目を集めたのは、ソーシャルディスタンスを確保する目的で極小住宅を集めてレンタルをするサービス。自治体が借り、ホームレス用に提供するケースもある。
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