ファミリーマートは2021年10月18日、プライベートブランドの「ファミリーマートコレクション」と「お母さん食堂」を新ブランド「ファミマル」に統合すると発表した。19日から全国約1万6600店で順次展開する新ブランドでは、日用品から軽食、飲料、総菜まで800商品以上を取り扱う。
ファミリーマートのプライベートブランド(PB)には、日用品や軽食、飲料、菓子類などを展開する「ファミリーマートコレクション(ファミコレ)」と、総菜・食材に特化した「お母さん食堂」「お母さん食堂プレミアム」があったが、今回の統合でどれも終了となった。2017年9月に始まったお母さん食堂はもともとファミコレから独立させてつくったブランドなので、ブランド名を変えての再統合といっていい。
ブランド統合の狙いはファミリーマートのイメージアップだ。ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクターCMO(最高マーケティング責任者)兼マーケティング本部長の足立光氏は、「コレクションは単に『集めた』という意味なので『おいしさ』『安全・安心』といったファミリーマートの理念が伝わらない。またお母さん食堂にはファミリーマートの要素がないため、PBだと認識してもらいにくい」と、両ブランドを新ブランドに統合し直す理由を説明した。
またお母さん食堂のコンセプトは当初、「小さい頃、母親が作ってくれたような総菜」だったが、その後、タイ料理のガパオライスやジョージアの郷土料理であるシュクメルリなど、日本人が抱く“おふくろの味”から懸け離れたメニューも扱うようになっていた。そのため、SNSなどでは「お母さん、頑張りすぎ」と揶揄(やゆ)されることも多々あった。
加えてお母さん食堂は、「『お母さんが食事を作るのが当たり前』というアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を助長しかねない」と、そのネーミングに疑問を持つ人たちからの批判もあった。足立氏は「(それ以前の)20年春からPBの強化策としてブランド統合を検討していた」と話すが、ネーミングの影響も少なからずあるのかもしれない。
そうした事情もあって、どちらかがどちらかのブランドを吸収する形ではなく、新規ブランドとして立ち上げ直したわけだ。
新PBには現在のファミコレから切り替わる「ファミマル」と、お母さん食堂に弁当などの中食(なかしょく)の要素を加えた「ファミマルキッチン」、お母さん食堂プレミアムがリニューアルする「ファミマルキッチンプレミアム」の3つのカテゴリーがある。ファミマルの対象は主に日用品、菓子類、飲料、加工食品など。ファミマルキッチンは総菜、冷凍食品、弁当、調理パンなどが対象で、ファミマルキッチンの中で特に製法、素材にこだわったものがファミマルキッチンプレミアムとなっている。
ファミマルのコンセプトは「ファミリークオリティー」。家族にも安心して勧められる品質と安全性を目指すという。また、「おいしい◎ うれしい◎ あんしん◎」をキーワードに、子供から高齢者まで、誰にでも分かりやすい情報発信を心掛ける。
そんな新ブランドの立ち上げに当たってファミリーマートがこだわったのがパッケージデザインだ。分かりやすさを重視し、産地や製法、環境への配慮といった情報をモノクロのアイコンで表示した。またその中で特に強調したい要素はアイキャッチとしてカラーで大きく表示している。アイコンは商品が信頼できる理由や、安全・安心の裏付けとなるような情報を中心に、その商品の特徴を消費者が直感的に理解できるように工夫した。
ファミリーマートでは、新ブランドの立ち上げに先立ち、21年10月18日付の読売新聞朝刊に「負けていたのは、イメージでした。」と大きく書いた全15段広告を出稿。東京・渋谷駅には「そろそろ、No.1を入れ替えよう。」と訴える交通広告を掲示した。
また19日からは東京・新宿、大阪・梅田、名古屋、博多、札幌で駅張り広告を展開、店頭ではポスターなどでファミマルの商品を展開していくことを伝えるほか、テレビCMや新聞広告、交通広告、SNSによる発信なども予定しているとのこと。
ファミリーマートでは、ブランドの切り替えに際して商品の一斉入れ替えなどはせず、在庫が切れた商品から順次切り替えていく方針。現在約30%を占めるPBの売上比率を35%以上に引き上げるのが目標だ。
(写真提供/ファミリーマート)